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前書き

挿絵(By みてみん)

「師の夢を 継ぎて新しき 星を織る」


【しおの】

中華文学の至宝でありながら、その壮大さと複雑さゆえに日本の読者には敷居が高いと感じられてきた『紅楼夢』。本創作は、この「最大の奇書」を、現代日本の読者の心に響く「青春恋愛物語」として再構築し、その豊かな世界観をより身近に感じてもらうことを目指します。


単なる翻訳に留まらず、筆者である私自身の読解、分析、そして深い共感を織り交ぜた「私的小説」という形式をとることで、読者は登場人物たちの感情の機微、複雑な人間関係、そして中国封建文化の奥深さを、よりパーソナルな視点から追体験できます。難解とされる詩や詞も、物語の流れと心情に寄り添う形で丁寧に意訳し、理解を助けます。


さらに、各所に配される美しい挿絵は、物語の情景を鮮やかに彩るだけでなく、それぞれに添えられた詩が、登場人物たちの秘めたる思いや物語のテーマを象徴的に表現し、作品全体の完成度を高めます。これは、視覚と文学が融合した新たな読書体験を提案する試みです。


『私説 紅楼夢への夢』は、単に古典文学を紹介するだけでなく、読み手自身の内面に深く響く、普遍的な「夢」の物語として提示されることを目指します。


到達するゴール:

『紅楼夢』の新たな読者層の開拓:

 これまで『紅楼夢』に触れる機会がなかった、あるいは挫折してしまった日本の読者層(特に若い世代)に対して、物語の魅力を再発見させ、熱心なファンへと導きます。

 古典文学の堅苦しいイメージを刷新し、「感情移入できる青春恋愛物語」としての側面を強く打ち出すことで、エンターテイメントとして楽しめる作品として位置づけます。

深い共感と考察を促す読書体験の提供:

 筆者の「私小説」としての語り口を通じて、読者は物語の世界へより深く没入し、登場人物たちの喜び、悲しみ、葛藤に共感します。

 筆者独自の分析や解釈が、読者自身の『紅楼夢』に対する新たな視点や深い考察を促し、作品を多角的に味わう喜びを提供します。


中国封建文化への理解促進と美的体験の向上:

 難解な文化的背景や詩歌を丁寧に意訳・解説することで、中国封建文化への理解を自然な形で深めます。

 厳選された美しい挿絵と詩の組み合わせが、読者に視覚的・文学的な感動を与え、物語の美的価値を最大限に引き出します。


『紅楼夢』の二次創作文化の活性化:

 本作自体が『紅楼夢』の新たな二次創作として、日本のクリエイターや読者にインスピレーションを与え、多様な形での『紅楼夢』関連作品の創出を促します。

 『紅楼夢』を巡るコミュニティ形成の核となり、読者間での活発な議論や交流のきっかけを提供します。

「夢」という普遍的テーマの探求:

 単なる恋愛物語としてだけでなく、人生の儚さ、理想と現実の乖離、そして人間の「夢」という普遍的なテーマを深く掘り下げ、読者自身の人生観にも影響を与えるような、示唆に富んだ作品として完成させます。


この『私説 紅楼夢への夢』は、単なる古典の紹介に終わらず、現代を生きる日本の読者にとって、心の奥底に眠る「夢」を呼び覚ますような、深く、そして美しい物語体験となることを目指します。


光闇居士

『紅楼夢』は登場人物が非常に多く、関係性も複雑で深いため、相関図は物語を理解する上で非常に役立ちます。

主要な人物相関図は、大きく分けて以下の三つの家系図を中心に構成されています。


『紅楼夢』主要人物の相関図(四大家族)

物語の中心は、都(京都)にある家の寧国府ねいこくふ栄国府えいこくふの二つの屋敷です。これに姻戚関係にある史家、王家、薛家を加え、「四大家族」と呼ばれます。


| 家系 | 代表的な人物 | 賈家との関係 | 概要 |

| 賈家(栄国府) | 賈宝玉 | 主人公 | 玉を口に含んで生まれた主人公。賈政と王夫人の息子。

| | 林黛玉 | 宝玉の父方の従妹 | メインヒロインの一人。林如海と賈敏(宝玉の叔母)の娘。

| | 王熙鳳(鳳姐) | 宝玉の母方の従姉 | 賈璉の妻。栄国府の家政を仕切る実力者。

| | 賈母(史太君) | 栄国府の最高権力者 | 賈赦・賈政の母。史家の出身。

| 賈家(寧国府) | 賈珍 | 栄国府とは同族 | 寧国府の当主。


| 王家 | 王夫人 | 宝玉の母 | 賈政の正妻。王熙鳳の叔母、薛宝釵の叔母。

| | 薛夫人(王氏) | 宝玉の母方の叔母 | 王夫人の妹。薛宝釵と薛蟠の母。

| | 王子騰 | 王夫人の兄 | 京営節度使(武官の要職)。


| 薛家 | 薛宝釵 | 宝玉の母方の従姉 | メインヒロインの一人。雪のように色白でふっくらとした美貌。

| | 薛蟠 | 宝玉の母方の従兄 薛宝釵の兄。「呆おろかな覇王」と呼ばれる放蕩息子。


| 史家 | 史湘雲 | 賈母の親戚 | 宝玉の親戚の娘。お茶目で活発。


特に重要な関係性

物語の「情痴」の核心に関わる三人の関係です。

* 賈宝玉(主人公)

* 林黛玉:父方の従妹。幼なじみで、魂レベルで結ばれた運命の相手。繊細で病弱。

* 薛宝釵:母方の従姉。世間的に宝玉に最もお似合いとされる相手。宝玉が持つ「通霊宝玉」と対になる「金の首飾り」を持つ。

* 賈宝玉と襲人(侍女)

* 賈宝玉の侍女。宝玉と初めて肉体関係を持つ。

* 賈家の娘たち(金陵十二釵に含まれる一部)

* 賈元春:宝玉の異母姉(のちの妃)。

* 賈迎春:宝玉の従姉(賈赦の娘)。

* 賈探春:宝玉の異母妹(賈政の妾の子)。

* 賈惜春:宝玉の同族妹(寧国府の賈珍の妹)。

まずはこの構造を頭に入れておくと、物語の進行が追いやすくなります。

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