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VS魔神

「お前が星野天使か」


青い魔神が星野を白い瞳で見下ろした。高層ビルと同じ高さの巨体は鍛え上げられている。


極太の腕と足。


身体には摩訶不思議な模様が彩られて、耳元まで裂けた口からは長く鋭い二本の牙が覗いていた。


下等な人間が暮らす人間界を支配しようと現れた魔神は天候を自在に操作して強烈な台風や豪雨、落雷、吹雪や噴火などこれでもかというほどの自然災害を引き起こし人々を恐怖のどん底に陥らせていた。


放置すれば人類滅亡はも当然のこと大好きなカレーパンを食べることもできないので、星野は魔神との直接対決に挑むべく、彼が建設した超巨大な宮殿に足を運んだのである。


「約束してください。僕が勝利したら二度と人間界に危害は加えないと」

「いいだろう。だが、お前ごときに私が倒せるとは思えんが」

「僕の名前は星野天使。その名の通り天使です。それ以外の何者でもありません」

「天使風情が魔神の私に勝つなど夢物語であろう」

「では、どうぞ。どこからでも攻撃してください」


棒立ちの星野を魔神は部屋ほどもある巨大な拳で殴打し宮殿の端まで吹き飛ばすが、星野はすぐに立ち上がる。


魔神は巨大な足で虫のように星野を踏みつけるが、原型を留めないつもりで念入りに潰したにもかかわらず星野は全身から血を流すだけで起き上がる。


口から超高温の炎や光線を真っ向から受ける星野だが、倒れる気配はない。


一切の防御姿勢を取らない態度に魔神は苛立った。


指を鳴らして黒雲から雷を落とすが、黒雲がエネルギーが尽きるまで雷を落としても星野は棒立ちのままだ。


「終わりですか」

「まだ、まだだ!」


魔神は脂汗を流して魔法陣から死霊を召喚すると星野の四肢を拘束して彼を指差す。


「爆ぜろ」


一瞬にして大爆発が起き、星野の身体は服の破片すら残さず消え去った――が白煙が晴れたあとには無傷の星野が立っていた。


「バカな……」


どんな相手でも一発で消し飛ぶ魔法を繰り出したのに即再生されている現実を魔神は否定し何度も爆破魔法を唱える。


最初は感覚を置いて唱えていたがやがて意地になり息継ぎなしでの連続詠唱を行い、全身から汗を流しぐったりと椅子に身体を預けた。


魔法の使い過ぎで極度の疲労を覚えたのだ。


「満足しましたか」


魔神は指先一本すら動かす力を失い、頷くしかなかった。

星野天使が存在するかぎり、絶対に人間界を征服できないと考え、全てを元に戻して去っていった。


次回は全ての(天使や悪魔や神も含めた)を人間に変える能力者が登場します。


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