< 15 >
「先ぶれもなく無礼にも邸へ押しかけるような方に差し上げるお茶ではなくてよ? このお茶は旦那様と親しい間柄のお相手には、商会で販売する以前に試供品として渡してあるの。旦那様やご家族と親しい間柄と言っておきながら、このお茶を手にした事がないのは何故かしら?」
「そっ、それは……」
「グリーンティーはわたくしが開発した商品ですのよ。ほぼ初対面のご令嬢に差し上げる理由はありませんよね?」
ゆっくりした動作でお茶を飲む。
風味と香りの調合に苦労したが、前世で良く飲んでいた緑茶の味と同じ。騎士団員や領民向けのお茶は、どちらかと言えばほうじ茶に近いだろうか。
緑茶とほうじ茶に続き、玄米茶もどきも作ってみたい。
サルメラ大森林を散策して材料が見つかれば、すぐにでも商品化へ進みたい所だ。
「貴方、客人に対する礼儀がなっていなくてよ」
「あら、そのお茶は入手困難な最上級のアールグレイですわ。無作法なお相手にも最大のもてなしをしていると思うのですけど……お気に召さなかったのね。お口に合わないものを提供したのは申し訳なかったわ。別のお茶に変えましょう」
「奥様、それでしたら王太子妃殿下から献上された異国の茶葉か、エルヴァスティ公爵夫人から頂いたダージリンのどちらに致しましょう?」
「ご令嬢はどちらの茶葉がお好みかしら?」
「王太子妃殿下? エルヴァスティ公爵夫人?」
「お二人は旦那様を通じて交流がありますの。それで茶会にもご招待を頂く機会もあり、その時に手土産で茶葉や珍しい物を頂く事もあるわ」
お二人にも広告塔になって頂いているので、新商品を出す前に正規品とサンプルを渡している。
彼女たちだけではなく、友人のアーヴィッコ侯爵夫人にも協力をしているのだが、それぞれ影響力が大きくて商品の売れ行きが予想以上に素晴らしい。
公爵家と実家のアールトネン伯爵家は、商品の売れ行きがうなぎ登りで資産も潤い感謝している。
私の個人資産も莫大な金額となっているので、老後は安泰なのだ。
「ご令嬢は異国のお茶と、我が国のエルヴァスティ公爵領が誇る茶葉のどちらがお好みかしら?」
「……エルヴァスティ公爵領産のお茶をお願いするわ」
エルヴァスティ公爵領のダージリンも、先ほどのアールグレイ同様に入手困難な茶葉である。
ちなみにアールグレイはアーヴィッコ侯爵領産の高級品。
広大な茶葉畑を持つ二人のどちらかに、いつかウーロン茶をお願いしたい。
同じ茶葉なので可能なはずだ。
緑茶も同様で販売も可能なのだが、それはマルヴァレフト公爵家の専売特許にしておく。原材料は茶葉ではなく雑草だが、こちらは回復効果があるので真似できないだろう。
「それでーーここへはお茶を飲みに来ただけなのかしら? 先ぶれもなく押しかけて来るのだから、わたくしに急ぎの要件があるのですよね?」
彼女を対応したアールノが、私を指名していたと言っていたのだ。
「わたくしに話があると執事から聞いております。特に要件がないのならお引き取り頂きたいですわね」
「クリスティアン様と離婚して欲しいの」
「理由をお聞きしても?」
「何かの間違いなのよ。彼はわたくしとの結婚を望んでいたはずよ。貴方みたいな若い子が相手なんて、クリスティアン様もきっと肩身の狭い思いをしていると思うの。ここは円満に離婚して、貴方は別の方と再婚した方が良いわ」
「どうしてですの?」
「貴方みたいな方を押し付けられてクリスティアン様は可哀そうだわ。彼の隣に貴方は相応しくない。わたくしのような淑女でなければ釣り合わないわ」
「ご令嬢が旦那様の妻に相応しいと?」
「そうよ。誰もがそう思っているわ」
「誰もが? 具体的に誰がそう言っているのかしら?」
「うるさいわね! わたくしが誰もが言っていると言ったらそうなのよ。クリスティアン様の婚約者だった方も、自分の身の丈を自覚して結婚式当日に逃げ出したわ。まあ……彼女の場合は親が決めた結婚に反発していたのと、思い人がいたのが理由だけれど。その存在に気づいたのが結婚式当日だったというのが皮肉だったわ。わたくしは彼女……ブレンダに以前から進言していたのに、全く気付いていない様子だったから彼を仕掛けたのよ」
コイヴレフト侯爵令嬢は当時を思い出しているのか、得意げな表情を浮かべて話す。
やはりーーコイヴレフト侯爵令嬢や双子の姉たちのように、婚約者や妻のいる相手に恋慕する女性は、常識的な脳を持ち合わせていないようだ。
彼女の場合、姉二人と比べて会話は通じているけれど。
こういった存在は姉二人だけで十分である。それもようやく解放されたと思ったのに、また新たな存在が増えるのは勘弁して欲しい。
だがーーークリスティアン様の元妻もとい、結婚式当日に逃げ出した令嬢は親同士が決めた縁談だったのか。彼女の事について深く聞いた事はない。
クリスティアン様もあまり気にしていないので、彼もまた同じ気持ちだったのだろう。
「そう……良く分かったわ」
「クリスティアン様と離婚するのね!」
「いいえ、どうしてわたくしが旦那様と離婚しなくてはいけないの? この結婚は旦那様から正式にプロポーズされて結ばれたものよ。家同士の繋がりとか経営とは無関係。わたくしが必要だからプロポーズして下さった。他人が割って入る隙などないわ」
私はソファから立ち上がり、アールノを呼び寄せる。
「アールノ、客人がお帰りよ」
「かしこまりました」
「ちょっと! 何勝手に話を進めているのよ。クリスティアン様が小娘の貴方にプロポーズするはずないわ!」
「わたくしの言葉が嘘だと言うのかしら?」
私の言葉が終わると同時に応接室の扉が開く。
いつも本当にタイミング良く現れてくれる。今回は私の身を案じての行動だった。おそらく私にストレスを与えない為だろう。
私の横に立ったクリスティアン様は、すかさず腰に腕を回して抱き寄せた。
「我妻に暴言を吐くとはな。話を聞くに先ぶれもなく邸に押しかけ、公爵夫人である妻に暴言とはーー何時からコイヴレフト侯爵家は公爵家へ物申すほど出世したのだ?」
クリスティアン様の登場にコイヴレフト侯爵令嬢が動揺している。
先ほどまでの威勢はどこに消えたのか。
「私は貴方と婚約するつもりもなかったし、ましてや結婚相手に望んだ事はない。亡き兄上の婚約者の家族で領地は近いがそれだけの関係だ。コイヴレフト侯爵令嬢も本腰を入れて結婚相手を見つけないと、独身を貫くのかと他の殿方に勘違いされて婚期を逃してしまう。お子を望まれるなら早い方が良い」
クリスティアン様が前世で言うセクハラになる言葉を発する。確かに出産育児は体力が必要と聞くので、あながち間違ってはいないけれど。
それを直接面と向かって告げられてしまうのは、本人にはキツイかもしれない。
「クリスティアン様……わたくしは」
もう既に涙目となっている。
これが演技であるなら素晴らしい役者だ。
「私はコイヴレフト侯爵令嬢に名を呼ぶ許可を出した覚えがないのだが? なぜ気安く私の名を呼ぶのだ?」
クリスティアン様が静かな怒りを露わにする。
彼女に名前で呼ばれたくないのだろう。
「そんな……クリスティアン様、わたくしの事を好いておりますでしょう?」
「貴方に勘違いをさせるような態度を取った覚えはないが? コイヴレフト侯爵令嬢は誰かと勘違いされているのだろう。私はこれまで女性に対して距離を取っていたつもりだ」
「嘘よ! わたくしの事を愛しているとブレンダも言っていたわ。クリスティアン様がブレンダに冷たいのは、わたくしを愛しているからって……それにイングヴァルも同意していたわ」
ブレンダ・バルテルス侯爵令嬢と彼女の護衛騎士だったイングヴァル・ハリーン侯爵令息の二人は、コイヴレフト侯爵令嬢をクリスティアン様に押し付けようとしていただけなのでは?
親に反発していたと言っていたから、結婚そのものを無くしたかったのかもしれない。
もしくはクリスティアン様に不貞させて、婚約破棄を有利にしたかったのか。
当人がいないので憶測でしか図れない。
「ブレンダーーブレンダ・バルテルス侯爵令嬢か? その名を聞くまで存在を忘れていたな」
クリスティアン様は逃げ出した元花嫁の存在を忘れていたようだ。
「嘘……ブレンダの事を覚えていないなんて……仮にも結婚を約束した相手なのに? 嘘よ……信じられない」
「これは貴方の父君コイヴレフト侯爵が、バルテルス侯爵との縁をしつこく迫って仕方なく結ばれた婚姻だった。元より私は兄上より先に結婚するつもりはなかったのだがーー無理に私との婚姻を進めておきながら、親が勝手に決めたと言い出し、気に入らないからと結婚式当日に逃げ出した相手の事など記憶に残す必要はないだろう?」
「え……? わたくしの父が勧めた?」
コイヴレフト侯爵令嬢は何も知らされていなかったようだ。
彼女の父親はパヌラ王国出身の貴族である。
そしてーークリスティアン様と結婚させようとした相手も、パヌラ王国の侯爵令嬢。
クリスティアン様の亡き兄の婚約者は、パヌラ王国出身の父親であるコイヴレフト侯爵令嬢の妹なのだから、やはり何か意図があってのものだろう。
「何度も断りの令状を送ったにも関わらず、貴方の父君は本当にしつこくて、最終的に私の父上が折れた形だった。彼女と結婚したとしても一年で離縁する予定でいたから、結婚式当日に逃げてくれて良かったと思っている」
クリスティアン様はバルテルス侯爵令嬢に対して、本当に何とも思っていなかったのが分かる。一年という期限は円満に離縁できる理由が取れるのだ。
白い結婚も理由の一つ。
性格の不一致であったり、世継ぎが出来ないといった適当な理由が簡単に作れる。
「そんな……最初からブレンダと離縁するつもりでいたなんて」
「兄上も同じだ。コイヴレフト侯爵令嬢の妹君は、マルヴァレフト公爵家の妻に向いていない性格だったからな。貴族令嬢としては控えめでおとなしいのは理想だったかもしれないが。マルヴァレフト公爵家の当主夫人には向かない。だからこそ早々に婚約を解消して、兄上は妹君の性格に合った相手を探していた」
「アンティラは何も言ってなかったわ」
「当たり前だ。まだ水面下での事だったのに、当事者の令嬢へ先に言うはずがない。それにコイヴレフト侯爵が何を考えていたのかーーなぜパヌラ王国の貴族と、我がマルヴァレフト公爵家への繋がりに拘るのか理由を探していた」
コイヴレフト侯爵令嬢は、当主の父親から何も聞かされていなかったのだろう。
彼女が突拍子もない行動に出たのは、単純にクリスティアン様に向ける恋心が暴走しただけなのか分からないが。
本当に迷惑な話だ。
「現状で言えるのは、私は妻だけを愛している。他の女性に興味が湧かない。私は妻一人だけで十分だ」
クリスティアン様がきっぱりと宣言する。
こうして口にして言われるのは嬉しいが、人前で言われるのは恥ずかしい。
背後で誰かの気配を感じた。
クリスティアン様が背後にいる人に目配せをしている。応接室の扉の前には、アールノが空気のように立っていたはずだ。壁側にはヘルガとミカエラも気配を消して待機していたと思う。
その合図で応接室に護衛騎士が二人入ってきて、コイヴレフト侯爵令嬢を拘束して外へ連れ出した。
相手が侯爵令嬢なので丁重な扱いとも言える。
彼女は何かを口走っていたが、もう既にその声は聞こえないほど遠ざかっていた。
想定外の来客で精神面が急降下している。
まさに嵐のような相手だった。
「リューディア、遅くなってすまない」
「いいえ、姉二人で免疫はついておりますので大丈夫です。少し疲れた程度ですわ」
ごっそり体力を奪われたのは間違いない。
いや、心身共に疲弊したと言っても過言ではないだろう。
「それは良くない」
クリスティアン様が慌てたような口調で告げる。
「奥様、安静に致しましょう」
私の言葉に傍に控えていたアールノを筆頭に、ヘルガとミカエラが顔色を悪くする。
クリスティアン様は彼ら以上に過保護だ。
「リューディアは夕食の時間まで横になっていた方が良いだろう」
そう言い終わらないうちに、クリスティアン様は私を横抱きにして執務室を出る。そのまま私室へ足を進めると、私の体を寝室のベッドの上に寝かせた。
「あんな迷惑な客人の対応が原因で、大切な子が流れるのは阻止したい。精神的な負担が特に胎教には良くないと聞いた。リューディアには心が落ち着ける状態で健やかに過ごして欲しい」
「クリスティアン様が傍にいて下さるから、わたくしは安心して過ごせるのよ」
自分の耳に手を添えて、耳飾りの魔道具を解除しておく。
この魔道具は本当に便利なものだ。
「リューディア」
クリスティアン様の長い指が私の頬を撫でる。
その撫で方がくすぐったい。
彼の何気ない言葉や態度で愛されている実感が湧く。
前世を含めて彼以上に他人を愛した事はない。デビュタントの夜会で言葉を交わした時は互いにドライだったはずなのに、こんなに愛情を注いでくれるとは思っていなかった。
家に利益を齎す損得だけの関係じゃない、きちんと相手を見て愛情を注いでくれる。
私のピンチには絶対に駆け付けてくれるのだ。
敵と認定した相手には冷酷に対応する。
自分には過ぎた相手だと思うが、もう彼の傍から離れられない。この先、子が産まれて家族が増えても彼に対する思いは変わらないだろう。
あの時、彼のプロポーズを受けて良かった。
「クリスティアン様」
彼の顔が近づいてきたので目を閉じる。
優しいキスが唇に落ちてきた。
三か月前にユリアの第一子が誕生。
元気な女の子で名前はユアンと名付けられた。
私の子も順調に育ち、腹部も膨らんでいる。前世を含めて妊娠と出産は初めてだが、ユリアの話を聞くと出産に伴う痛みはなかったらしい。
おそらく本邸に張り巡らされている魔道具と付与の影響だろう。
出産予定は二か月後くらい。
まだ自由に動けるうちに執務と事業をこなす。
ユリアが出産した頃、姉二人の婚姻が結ばれたのである。
姉カタリーナはフェリクス・ユレルミ伯爵と結婚が決まり、妹カトリーナはヴェイセル・パーヤネン辺境伯と結婚が決まった。
双子同士で相手を取り合う事もなく、両親と祖母が立ち会って縁談が進んだらしい。
祖母の再教育もそうだが、本当の母親も一緒になって叩きこまれたおかげで、難航と思われた二人の軌道修正がようやく叶った。
姉カタリーナのお相手となったフェリクス・ユレルミ伯爵は二十八歳で、とても頼りになる方である。見目も麗しく均整の取れた体もそうだが、やはり人柄が素晴らしいのだ。
スタンピードの災害で長兄と次兄を失ったのは不幸な事故だが、その悲しみを乗り越えて立派な当主となっている。
おまけに姉を包み込むような包容力!
本当に良い方を紹介して貰ったと思う。
妹カトリーナのお相手のヴェイセル・パーヤネン辺境伯も同様である。三十二歳という年齢差のせいか、カトリーナの操縦が巧みなのだ。
おまけに物凄い美貌の持ち主で、彼を見た瞬間にカトリーナは堕ちたらしい。
領地は辺境の地ではあるが侯爵家に準ずる家柄でもあるし、パーヤネン辺境伯領は特産も多く資産が潤沢の家だ。
彼が姉の理想の顔だった事が一番大きかったのだろう。
二人の婚約者は転移陣を利用し、月に二度のお茶会で親睦を深めているようだ。
婚約者と過ごしている姉たちの姿を見かけたが、とても幸せそうで何よりである。
もうかつての姉たちではない。
どの茶会や夜会に参加しても、立派な高位貴族の令嬢として振舞っていたようだ。実際その場を見たわけではないが、実家へ顔を出す時に交わす会話でも二人の成長が垣間見えたのである。
二人の結婚式は半年後らしい。
双子なので互いの相手と相談し、王都の神殿にて合同で行うようだ。その後、それぞれの領地で簡素な式を挙げて、領民にお披露目する予定だと聞いている。
実家の方は母が元気になったのを機に、とても良い方向へ向かった。
後はマルヴァレフト公爵家を取り巻く謎を解明する事。
その鍵はパヌラ王国。
パヌラ王国の国が動いているのか、一部の貴族の策略なのかを突き止めなければ。
現状で分かっているのは、カスヴィオ・コイヴレフト侯爵が暗躍していること。
彼はパヌラ王国貴族の元バルテルス侯爵家の三男で、クリスティアン様の結婚相手にと勧めた相手の叔父だった。
バルテルス侯爵の内情を調べたいが、パヌラ王国となると調べるのに時間が取られる。転移陣が使用出来れば移動に時間を取られないが、隠密に探るとなると正攻法で入国しなければ怪しまれてしまう。
私が直接動けたら良いのだが、さすがに妊婦ではクリスティアン様も良い顔はしない。
ただでさえ過保護でいるのだから。
こうして一人でいると悶々と考えてしまう。
こういう時はーーーー。
「ユリア、癒しが欲しいわ」
ユリアの娘ユアンに癒して貰うのだ。
生後三か月でとても可愛い。
「奥様、程々に……」
「良いじゃない。こんなに可愛いのよ」
ユリアに連れてきて貰ったユアンを抱きしめる。
赤ちゃん特有のミルクの匂いが堪らない。
「奥様も時期に子育てを味わえますよ」
「そうね」
「この子の将来は奥様のお子の侍女か……」
ユリアは子供の将来まで考えているようだ。
まだ生後三か月だというのに、もう将来の話とは気が早いと思う。
私の子供は生まれていないが、お腹の中の子の性別は男の子だと直感している。
何となく子の魔力を感じるのだ。
クリスティアン様と同等かーーそれ以上の魔力の強さを感じる。
私の転生ギフトを受け継いで生まれるのか、はたまた私と同じ転生者だったりするのか生まれてくるのが楽しみだ。最初の子が男の子だとすれば、嫡男に侍従はいても侍女は必要ないかもしれない。
そうなるとーーーー。
「もしかして料理長になるかもしれないわよ?」
「ああ……それもアリですね」
ユリアの好きな魚介料理を子供に仕込みそうだ。
「ふふふ、子供の将来を考えるのは楽しいわね。わたくしの子も早く生まれないかしら」
出産は年末あたりの予定である。
今年の大夜会への参加は、その時期が臨月なので欠席となるのが残念だ。
姉の結婚式は出席する予定ではあるが、年に一度の大夜会は国内にいる貴族が集合するので、個人事業の収益を考えたら参加したい気持ちが強い。
やりたい事が多すぎて体が一つしかないのがもどかしく思う。
今はーー私の出来る事をするしかない。
たとえ身重で自由に動けなくても、邸内でやれる事は色々とあるのだ。
少しずつ紐解いて謎を解き明かすのも良いだろう。




