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悪妻の定義とは?  作者: 尾木 愛結
本編
12/26

< 11 >

 私は小さな溜息を零す。

 そして目の前にいる相手に肩を竦めてみせた。



「こんなくだらない下位貴族の集まりに喜んで参加するのはお姉様だけなのよ」



 まさにこの一言に尽きる。

 こんなくだらない茶会など参加する価値はない。ただのおしゃべりがしたいだけなら、わざわざ茶会など開かなくても個人的な集まりにすれば良い話だ。


 多勢に無勢で一人を嬲り者にするなんて、下位貴族の令嬢はやる事がえげつない。

 これは高位貴族の夫人令嬢にも同じ事が言えるだろう。


 ただ一つ違うと言えば、高位貴族は下位貴族より血統と名誉を重んじるので、相手の素性と素行を徹底的に調べ上げる権力と資産を駆使して真実を突き止める。ただの噂話を鵜呑みにして、相手を攻撃する行為はしない。


 本当に気に入らない相手であれば消す力を持っているのだ。物理的に抹殺するのも厭わない。

 こういった茶会で晒しものにするのではなく、裏で個人を呼び寄せて消す。下位貴族より残虐な面を持っているのが高位貴族なのだ。



「わたくしのお姉様は下位貴族の方々としか付き合えない、伯爵令嬢として恥ずかしい存在なのですよ。そんな底辺のお姉様と仲良く出来て、取り巻きの貴方たちは光栄ね?」



 ふふふと笑みを零す。



「侮辱だわ!」



 どの口が言うのか。

 侮辱されているのは私であって、彼女は加害者に当たる。



「あら、侮辱ではなくて事実を申し上げているの。お姉様は頭が足りないのだから、下手に口を挟まないほうがバレにくいわよ?」


「カトリーナ様に酷い事を……」


「ヨエンパロ男爵令嬢もお姉様のせいで婚約が破談になったのでは? お姉様は他人の物が欲しいのですよ。また新たな婚約が決まりそうならーーというより、お相手の方の容姿が美形だった場合、お姉様には内緒にした方が破談にならずに済むわね。もしくは、平凡なお顔の方との縁談をお勧め致しますわ」


「どういう事よ」


「お姉様は美形の殿方が好みなのです。お顔が整った麗しい殿方にしか目にいかないようですわ。これはカタリーナお姉様に限りますが」



 ヨエンパロ男爵令嬢に向かって告げる。

 彼女の婚約を破談に導いたのは、双子の姉であるカタリーナの方だ。男爵令嬢である彼女の縁談は、どう頑張っても子爵家まで。伯爵家の令息との縁談が舞い込むのは奇跡に近い。


 カタリーナが破談に導いたのなら、子爵家の令息が婚約者だったのだろう。

 


「ちょっと待って! 貴方が唆して奪ったのではないの?」



 それこそ、何故? と、問いたい。

 そもそも論になってしまうが、私は彼女が婚約していた事も、その相手が誰なのかを知らないのだ。

 姉が婚約を破談にさせた事によって、男爵令嬢が婚約していた事を知ったのである。



「それこそ間違った話ね。わたくしは頭の悪い方が嫌いなのですよ。お姉様たちみたいな成績が最下位な方とか、裏どりもせずに噂を鵜吞みにして攻撃してくる方はーー本当に反吐がでるほど大嫌いなのです」



 私の言葉に、その場にいた令嬢たちが固唾を飲む。

 


「まずはケラネン伯爵令息は、わたくしが六歳の時に参加した王宮のお茶会で出会い、その後に婚約を結びました。きちんと公式な書類にサインをしてケラネン伯爵夫妻と、わたくしの祖母と父が立ち会った正式なもの。そしてクレーモラ侯爵令息も同じ。クレーモラ侯爵夫妻と、わたくしの祖母と父が立ち会って公式な書類にサインを致しました。わたくしの元婚約者だった二人と姉は無関係だったのです。ただ彼らのお顔が姉たちの好みだったが故に、わたくしの婚約者を追いかけ回し、自分の婚約者などと偽りを口にしていただけ」



「……」



「そんな事、調べればすぐに分かるのに。それとーーわたくしの悪い噂と悪評は、下位貴族の夫人令嬢の間でしか回っていないのよ。不思議よね」



 ちらりとヨエンパロ男爵令嬢に視線を向けると、彼女の顔色が真っ青ではなく白い。

 タンミレフト子爵令嬢も同様だった。


 この二人は下位貴族でありながら、代々受け継がれてきた領地を持つ数少ない旧家という存在。何の取柄もなく爵位も継げない次男以下の令息には人気の高い家である。

 領地があるだけで恩恵に預かれるのは大きいのだ。



「そしてーーわたくしの夫となったマルヴァレフト公爵様も、夜会で直接プロポーズをして下さいましたの。婚約期間は置いていませんが、こちらも正式な結婚に関する書類にサインをして提出済み。それを……カトリーナお姉様に来た縁談? 彼から直接プロポーズを受けたのは、このわたくしですのよ」



「……っ…」



「わたくしの間違った悪評を流している。もしくは信じているような方々に、茶会だけじゃなく夜会の招待状すら届いていないのではなくて? わたくしが悪女から悪妻になったとか……毒婦とも呼ばれているようね? そういった噂話はどこから流れているのかしら?」



 ふふふと再び笑みを零す。

 


「果たしてーー悪女や毒婦は、わたくしとお姉様二人どれが正解だと思われます?」



 この状況が楽しくなってしまい、くすくすと声が漏れてしまった。

 双子の姉二人に加え、その場にいた令嬢たちが言葉を失っている。思い当たる一面があるのだろう。


 実際、伯爵家以上の家格のお茶会は、祖母がしっかりと牽制しているのだ。私が公爵当主と結婚した事により、権力に弱い貴族たちは迂闊な事が言えなくなる。


 双子の姉二人の評判は学院時代から、当時の同級生の親たちへ伝わっているのだ。姉二人の伯爵令嬢という立場に擦り寄る下位貴族家の令嬢はそれを知らない。


 伯爵家以上になれば付き合う相手の素性を調べるものだ。

 これまで付き合いのあった家から、茶会や夜会の招待状が届かなくなった理由も、アールトネン伯爵家の双子の姉妹と親しい相手だからーーこの一言に尽きる。



 静まり返った場所に空気を読まない相手が姿を現す。



「皆さん、どうなさったの?」



 ようやく主催者であるマリアンネが茶会の場に顔を出してきた。

 まるで夜会に着ていくような肌を露出したデザインのドレス。茶会にそぐわない衣装だ。伯爵邸にいた頃は、もう少し節度があった衣装を着ていたはずなのに。


 叔母である母親が元伯爵令嬢だった事もあり、マリアンネの着る衣装に気を遣っていたのだろう。その母親がいなくなってしまい、彼女に注意する者がいなくなったので場にそぐわない衣装を選んだという事だ。


 すぐさま私に視線を移す。



「リューディア、遅かったわね。アンタに紹介したい方がいるのよ」



 マリアンネの背後から見知らぬ男性が現れる。

 くすんだ色の赤髪に濁ったような鼠色の瞳をした痩せ型の男と、こげ茶の髪と薄い緑色の瞳の男だ。



「こちらはタルヴォ・マーサロ子爵令息様、バーバラのお兄様ね。そしてヨアキム・ニュマン男爵令息様よ」



 既婚者の私に男性を紹介する意味とは?

 目の前に立つ二人は立派な貴族令息とは思えない。濁ったような目に不健康そうな体つき。


 普段から不摂生で自堕落な生活を送っていそうだ。仕事はおろか家に寄生して資産を食いつぶすタイプに見える。

 どれを取っても近づきたくない。



「わたくしに紹介して何か利になるのかしら?」



 マリアンネに向かって首を傾げる。



「あら、リューディアは結婚生活が破綻しているのでしょう? 新しい出会いが欲しいと、タリ―とトリ―に相談していたと言うじゃない。だからバーバラにお兄様を紹介して頂いたのよ」


「わたくしの結婚生活が破綻ねぇ……そして新しい出会い?」


「あんな素敵な旦那様なのに、リューディアは何が不満なの? 高位貴族の中でも上級で資産も潤沢にある。立派なお屋敷で沢山の使用人に傅かれ、ドレスと宝石に囲まれ贅沢で優雅な生活をしているクセに! 邸内で働いている侍従や執務補佐官と浮気をしているのですって? 不貞を行うなんて本当に悪妻だこと」


「マリアンネは馬鹿なの?」



 私は思い切り馬鹿にしたような表情を見せた。


 マリアンネは姉二人にくっついて行動していた分、もしかしたら二人に洗脳でもされているのかと疑うほど、昔から姉二人の話を信じて疑っていないのである。


 他の令嬢たちの態度を見れば、あながち間違いでもなさそうだ。姉たちのスキルは知らないが、魅了スキルを持っていそうで怖い。



「は? わたくしがバカ?」


「ええ、そうよ」



 マリアンネが信じられないといった表情を浮かべる。



「どうせ頭の悪いお姉様の話を信じているのでしょう。わたくしと旦那様の事について、お姉様に相談するはずないじゃない。相談するなら祖母様か義理の姉にするわ。こんな頭の悪いお姉様に相談? 無理ね。何も解決しないし、余計にこじれてしまうわ」



 私がマリアンネに向かって呆れたように言葉を吐き出した。



「貴方も懲りないわね。わたくしの夫マルヴァレフト公爵様を怒らせ、叔母様は子爵様と離縁されて修道院へ行かされたのに。その事も忘れたのかしら? 旦那様も次はないとおっしゃっていたわよね? 今度こそ貴方も修道院行きかしら? でも、大好きな叔母様と再び一緒に過ごせるのだから、マリアンネにとっては良い話かもしれないわね、ふふふ」


 すると黙って立っていた男性二人が顔色を変えていく。



「おい、話が違うじゃないか!」


「相手が公爵夫人だなんて聞いてないぞ! さっきの話を実行すれば、オレたちは不敬罪で極刑か奴隷落ちになる!」


「そんなの冗談じゃない!!」



 彼らもマリアンネに向かって不満を口にする。

 そこへ足音もなく近づいてきたクリスティアン様と目が合う。



「お前たちは自分の立場を弁えているようだな」


「マルヴァレフト公爵様っ!」



 クリスティアン様が私の腰に腕を回し、ぴたりとくっつく。

 その様子を見た二人は慌てて逃げ出す。


 一人は令嬢の兄だったはずだが、妹を置き去りにして逃げるとは薄情な兄だ。

 そんな事を思っていると、クリスティアン様が鋭い視線でマリアンネと姉を見据える。



「アールトネン伯爵家の双子、お前はこれで何度目だ? 我妻に対する不敬罪と侮辱を幾度繰り返せば己の立場が分かる? そして寄生虫の娘だったか? お前も同罪だ」



 クリスティアン様がマリアンネの事を寄生虫の娘呼ばわり。



「旦那様、寄生虫ではなくキーヴェリ子爵令嬢ですわよ」



 一応、マリアンネは従姉なので形だけでも取り繕う。



「キーヴェリ子爵や嫡男に落ち度はないから、コレは寄生虫の娘で十分だ」


「ふふふ、ユリアと同じことをおっしゃる」



 キーヴェリ子爵と嫡男のマティアスは常識者だ。

 宮廷で真面目に働いているのに、娘が家名を貶める行為をするのは痛手となる。


 叔母と離縁した話は社交界で大きく広まっていたのに、今度は娘が家名を貶める行為をしたのだ。

 父親であるキーヴェリ子爵も、娘の事は庇いきれない事だろう。



「それでーーーこの茶会の趣旨は何だ?」


「そういえば聞いてないわね。招待状にも何も記載されていなかったわ」



 貴族が主催する茶会は趣旨によって形式が変わるものだ。例えば新緑が芽吹く時期には緑色の物をテーマに、慈善事業での寄付に関する討論だったり。

 自領での新たな特産品の紹介や、他国から流通している品々に関する情報。


 それが一般的な茶会の在り方だ。

 しかし、本日の茶会には趣旨が全くない。



「まさか趣旨もなく軽い気持ちで主催されているのか?」



 クリスティアン様も驚いている。



「下位貴族では無駄なおしゃべりがしたくて茶会を開くそうですわよ? わたくしが参加する茶会は趣旨が決まっておりますし、雑談を交えながら商談にも熱が入るほど活気があるわね。こんな無駄話しかしない茶会は初めてだわ」


「無駄話がしたくて茶会を開くとは酔狂だな。そんな事に手間と金を注ぎ込んで意味はあるのか?」


「下位貴族の方が皆それに該当するとは思えませんが、マリアンネは無駄使いが好きなのです。わたくしは単純におしゃべりがしたいだけなら、個人的に邸へ招いて楽しみますが。お茶会を開いてまでする事ではないですわね。手間と時間もかかるし、それにかかる費用も馬鹿にならないもの」



 お茶会の主催は夜会ほど費用はかからないが、それでも招待客の好みに合わせたりと準備が必要となる。侍女とメイドへの指示に、提供するお茶と菓子類も試行錯誤を重ねるのだ。

 更に招待客への手土産も必要となるので、小規模であっても費用はそれなりにかかる。


 ただのおしゃべり会であれば、お茶会としてではなく友人を家に招く形にすれば良い。

 そうすれば費用も必要最低限で済む上に、不特定多数な他人に聞かせたくない内緒話も可能だ。



「家の利にならぬ茶会ほど無駄なものはない。もしくは暇人なのか?」


「ええ、いつも暇を持て余しているのですよ。マリアンネは特に秀でた才もございませんし、誰かに寄生するしか生きられませんので」


「無駄飯食らいほど邪魔な存在はないな」


「本当に……わたくしの実家に二人もいるので、祖母様は常に頭痛の種なのですよ」



 私の言葉にクリスティアン様が双子の姉へ一瞥する。

 


「マルヴァレフト公爵様、誤解なのです」



 彼の視線に気づいたカトリーナが取り繕うように声を上げた。



「誤解ではないと思うが? それに結婚の申し込みは、最初からリューディアにしている。先ほどリューディアが夜会でプロポーズをされたと告げていただろう。当主となる者は結婚相手を探す時、まず最初に学院での成績を確認する。その次に、相手の普段の行動や評判を調べて裏どりをするものだ。リューディアは十二歳で学院を主席で卒業、十三歳では伯爵領で個人事業を立ち上げて家に繁栄を齎せた才を持つ」



「ーーーは?」



「アールトネン伯爵領で有名な洗髪剤、そして美容に関する商品。これらはリューディアの個人事業の産物だ。最近だと綿花の事業にも携わっていたな。公爵領でも新な事業を起こして販路を広めている。リューディアを妻に選んだのは、こういう才があるからだ」



「わたくし達の妹なのだから、その評価は正しくないわ」


「そ、そうよ!」



 二人の声にクリスティアン様が、あからさまに溜息を漏らす。



「その姉という立場だが、お前たちは妹以上の功績を上げているのか? 何もないだろう? 当主夫人に求められる資質すら持たぬのだから。しかしーーお前たちに結婚話を持ち掛ける物好きな貴族は探せばいるだろうが、ほぼ絶望的だと自覚した方が良い」



 いつも以上に饒舌である。

 こんなクリスティアン様を初めて見た。


 クリスティアン様の話を聞いていた令嬢たちがにわかにざわつく。



「え? どういう事?」


「カトリーナ様がおっしゃっていた話と違うわ」


「妹は悪女で悪妻って……公爵様との離縁も確実だろうって。それこそ侮辱罪? 不敬罪? わたくしは知らない、関わっていないわ!」



 背後で何か言い合っているのが耳に入ってきた。

 姉たちに自分の婚約を破談された時点で、二人が話す内容が全て嘘だと気が付いて欲しい。


 彼女たちは姉二人の被害者だが、私にとっては姉二人と同じく加害者なのだ。

 学院時代から続いている不名誉な噂ーーー。


 姉二人の話を鵜呑みにして、子爵家や男爵家の夫人令嬢へその話を流していたのだから。



「アールトネン伯爵家へ苦情の手紙を送っておく。また祖母様の厳しい教育が待っているだろう。もしくは三行半を押され、令嬢ではない身分となるかーーー」


「なぜ、わたくしを責めるのです?」



 カトリーナがクリスティアン様に縋ろうとするも躱される。

 しかもクリスティアン様は、私の腰をしっかりホールドしているのだ。


 クリスティアン様はわざと二人に見せつけているのだろう。

 私としては居たたまれない状況である。


 二人で密着するのは外ではなく、部外者のいない個室に限定して欲しい。外見はこの世界の容姿だが、中身は奥ゆかしい日本人なので過剰なスキンシップに慣れていない。



「責める? それこそ心外だな。いつ私がお前を責めた?」


「わたくしには苦言を申し上げて厳しい態度でいらっしゃるのに、どうしてリューディアには優しい態度でおられるのですか。義理とはいえ身内になったのですから、わたくしにも優しくして頂きたいのです」



 またカトリーナが理解不能な事を言い出した。



「お前に苦言を申す? そんなの当たり前だ。それにリューディアは私の妻なのだから、夫が妻を大切にするのは当然の事だろう」


「なぜリューディアばかりが良い思いをするのよ!」


「学年最下位の成績しか取れない無能な令嬢を、誰が好き好んで結婚を申し込むのだ? リューディアは学年主席で更に難しいと言われるスキップ制の試験も満点で卒業。それだけじゃなく、実家の領地を新事業で財を成した。私と結婚後は公爵領の利になる事業を起こしたがーーーお前には何ができる?」


「あ、あの……わたくしはしゃ、社交で」


「話にならん」



 とうとうクリスティアン様が匙を投げた。

 双子の姉二人は話が通じない。


 カトリーナの方は高位貴族が相手だと、更に悪化する傾向にある。

 彼女の高位貴族に対する執着は一体なんだろう。

 


「ええ、祖母様にお灸を据えて頂きましょう」



 姉の事は祖母に任せる事にする。

 不意にカタリーナと目が合った。



「わたくしは関係ないわよね。今回はマリアンネとトリ―が考えた事よ」



 カタリーナが妹を見捨てるような発言をした。

 これまで何をするにも一緒に行動していた姉の一人が、片割れの妹を見捨てようとしている。



「タリ―?」


「わたくしは幸せな結婚がしたいのよ。リューディアに絡んでも幸せはやって来ない。祖母様の言う通りに教養を積み、わたくしは穏やかで幸せな結婚生活を送るのよ」



 カタリーナの方は祖母の再教育で少し考え方が変わったようだ。

 もう既に十八歳となっているから婚期は遅くなりそうだが、ようやく自分の立場を自覚したのだろう。このままでは良くて領内の教会で奉仕生活、悪くて規律の厳しい修道院へ送られる。


 その修道院は一度入ったら二度と出られない。

 


「リューディア、失礼しよう」



 クリスティアン様の言葉に頷き返す。



「はい。ユリア、エーヴァ、イェンナ」



 侍女のユリアと護衛騎士の二人を呼び寄せると、私たちは子爵邸からマルヴァレフト公爵邸へ一瞬で戻ったのだった。



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