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第4話 疑問解消タイム!

さあ始まるぞ

 その日の内に村人が戻る前に出る事にした一行。

 ライラは自分の壊れた家から大切なモノをかき集めている。灰色オークは自己治癒力を高める魔法を使用し魔法陣の上に胡座で座り回復中の為に動かない。

 サヴァイヴは特に指示もされずに放置中。


「............主役は私なんだよね?めっちゃ放置されてるわ、異世界行ったからって無条件でチヤホヤされるのは作品だけかぁ............取り敢えずオークは話しかけないでって言ってきたからライラの手伝いと、流れで疑問点を解決していくぞ!ってうわっ!へぶっ!?」


 調子良くその場から動いた瞬間、さっき武器として使い砕けた落ちた木に引っかかり転けてしまう。だがその顔の前には装飾がほぼ無い慎ましい銀色のロケットペンダントが落ちていた。


「パカッと開くやつか?............小さい頃のライラ?両親らしき人も両サイドにいるな。............この世界にはカラー写真があるのか。発展しきった科学は魔法と見分けがつかないという、その逆で魔法があると科学は発展し難いきがするが............カメラ魔法とかあんのか?」


(これはライラに渡さなければ、それよりも科学も発展しているならば元の世界(前世)より快適で殺伐とした世界になっているだろうな............)


 多趣味で電子や電気工作をしていたりと前世で科学に興味を持ち趣味で色々と扱っていた彼女にとってはワクワクと恐ろしさが半々であった。

 ライラの家に急いで行くと煉瓦などの瓦礫を退けて作業をしている彼女を見た。


「ライラ!」


「ちょっと待って、大切なモノが無いのっ。私の真名魔法は理性が飛んだりして乱暴になるから落としたのかも............」


 少し泣きそうな声で手と服を土で汚しながら必死に探す彼女の顔の前に開いた状態でペンダントを出す。


「これだろ?大きな傷は無い、安心して」


 見せた瞬間手に持っていた瓦礫を投げ捨ててペンダントを受け取り写真を見る。


「ああ............良かった............。貴女って人は肝心な時には的確に助けてくれるわね、ありがとう」


 ライラは少し涙を流しながらペンダントを握り、心に余裕が無いせいか貶しているのか褒めているのか微妙な事を彼女に言う。


「良かったよ、他に手伝える事は?それと村人はいいのか?」


(基本ドジなのは仕方ねぇよ............生前と中身は変わらないんだから。まあそのドジで見つけたから良いかな)


「大丈夫、両親の形見とここを出て行くのに必要なモノは集めたから。それにあのオークが金貨に手をつけなかったから下剋上の旅の資金の足しにはなったから。あと村人はいいのよ、王国から派遣された守護者の私たちレリエル家をぞんざい扱ったんだから。............と言っても私の真名魔法のせいで忌み子扱いされたのが原因だけどね、両親には罪は無かったのに」


 派遣というよりは左遷だが認めたく無いプライド高きライラ、だが元々は自身が原因と思い詰めてしまう繊細さがある。


「まるで自分に罪がある様な言い方だな?罪は生まれ持つモノじゃ無い、行動で生まれ背負うモノ。だからライラにもご両親にも罪は無い、勝手に決めつける方が悪だ」


 明るく、なるべく明るくライラの肩に手を置き励まそうとする。


「だと良いなぁ............」


 下唇を少し噛んでから小さく呟いた。


「あー............その............絶対今聞く事じゃないんだけどさ?気になる事が多くて質問してもいい?」


(今じゃないのはわかるが早めに知っておかないと、トラックに轢かれるより酷い死に方しそうだし............)


「そうね、当然よね。何が知りたいの?」


 そう言いながら彼女の顔を見上げて目を合わせるライラ。


「聞きたい事が絶えることは無いけど、まずは魔法とは?それと真名魔法ってちょいとばかり特別そうなモノは何?」


 少し考える様に俯くとまた顔をあげ答えた。


「貴女の世界ではお伽話の力なのよね?こちらでは当たり前で赤子でもない限り知っているし使えるの。色々なグリモア(魔導書)があって使用して魔法が発動するタイプや教本タイプがあって読んで練習したり、学校や養成所で学べるわ。そして勿論習わずとも我流ですごい魔法を使える人もいる。規模によって呪文を詠唱、もしくは念じる必要があるけど不要な場合もあるのと、魔法文字が空中に浮かび上がる場合もある。実際に見たでしょ?私が鏡を出す時に文字が出たのを?それと貴女が私の真似をした時にも浮かび上がった、正直............アレはイレギュラーだけどね」


「なんでイレギュラー?」


「それを含めて次は真名魔法とは何かを教えるわ。これは誰しもが一つ何かしらの固有の魔法を持ち生まれるの、それを真名魔法と言うの。親に名を貰う前から魂に刻まれた力だから真名魔法(トゥルーネーム)という名前になったわ、諸説ありよ。ちなみに発動条件と発動魔法が完全に被る事は無いの、その人が亡くなった後なら例は幾つもあるけどさっきみたいに貴女が私の真名魔法(バーサーク)を使い、更に練度は私より確実に上だった。不思議ね、でも魔法の練度が高くても使い方を知らないと意味が無いけれどね............あ!例外で複数持ちの人は存在するから気をつけてね、それとさっき言った練度が上と判断した理由は身体に刻まれた模様が原因よ、でも本来は魔法の練度が上がると四肢の指から心臓にドンドンと伸びて行くんだけど貴女は両腕だけ、それも肩にまで広範囲なんて変ね〜」


「変............か............」


「ああ!悪い意味では無くて本当に変なのよ、見た事がないから。............変で思い出したけど貴女が私の真名魔法を使った時に、私の身体の魔力が戻ったのよ。戦闘中に飲んでいた不味いポーションよりも魔力回復が大きかったと感じたわ。そこで思ったのだけど貴女の真名魔法は相手に魔力を与えるのを代償に相手の真名魔法、いや魔法もかな?それを使える様になるんだと思う」


「ほお............なんかビデオ屋でレンタルしているみたいだなぁ............」


「ビデオ屋?」


「ビデオ屋は映像作品をお金払って借りるモノ、私は魔力を払って相手の魔法を借りる者」


「あー動画ね。そっちにもカメラあるのね?こっちはカラーの動画がやっと撮れる様になったのよ!ただかなりお高いのよね............それに画質が悪いわ」


 やっぱりあんのかよとサヴァイヴは驚きつつも返答する。


「こっちはもっと進んでいる。科学の世界だからな、目で見ている世界より綺麗な映像が撮れるし誰でも買えるし使える価格だよ。ちなみに聞きたいんだけどそれは魔法?それとも電子部品を使って回路図を書いて作成された科学の産物?真空管とかトランジスタって部品はある?」


 真空管はトランジスタより古い技術で出来たほぼ同じ役割の部品。その2つを出す事で相手にわかりやすい様にした。


「んー............よくわからないけど作成には魔法を使っているけど部品は加工品だって聞いたからギリギリ科学って方かな?」


「べ、便利だな............」


(よくある文明レベルをアップさせて尊敬させる作品だとか俺なにかやっちゃいました?とかみたいにはいかないか............)


 中々、前世の現代社会に近づいている魔法がある社会に恐る。


「まあ、王国を乗っ取るんだから技術関連はその後沢山知れるんじゃなかしら?」


「そうだ!その王国の事も教えて欲しい!あとは一般常識とかも」


「常識は今も既にあるのじゃないかしら?貴女に腹が立つ事は今の所は無いから」


「そりゃあ何よりだ」


「そしてシュベリ王国は鉱物資源メインで成り上がっただけで倫理や道理が追いついてないクズが王サマで独裁政治しているトコ。世界には大小100を超える国があるけど特にカスで()()()()にされているのがシュベリ王国」


「特に大切?」


「あいつはラッキーだったの、もしくは奴の真名魔法の効果かしら?誰の領地でも無い場所を占領して王国樹立宣言した時は馬鹿にされていたけど、領地の山や地中には鉄、銅、石炭や確かニッケルとか沢山掘れたの。だからバックに大国がついているわ」


「叛逆したらマズいのでは............?」


「いいえ、どの国も定期的に鉱物を貿易できれば良いだけでシュベリの事は好いて無いの。だから問題ないわ............取り敢えずそろそろ出て行きましょう、あんな自己中のクズ(村人)達はもう見たくないから」


 そう言いながら手を伸ばして来た彼女の手を優しく取って崩れた家から出た。

 オークは折れた牙も治った様で同族の死体を焼いて食べていた。


「マジか............共喰いって治療がほぼ不可能な病気になるんだぜ?脳みそがスポンジみたいにスカスカになっちまうぞ?」


 サヴァイヴはかなり慌てて言うがオークは脊椎を齧りながら話す。


「俺は突然変異だから問題は無い、それよりも両親を殺した俺を見逃して頂いた事を改めて礼を言う」


「いいわよ、王様に尻拭いさせるから。それよりそんなにまともに話せたのに戦闘中はだいぶ人して終わっていたわね」


「殺したくも無い人間を2人殺した後にその子供も殺せと言われちゃあ正気でいられなくてな。自分を鼓舞する様にオークらしく野蛮に振る舞わないとキツかった」


「かなり人間味が強いな、あんた............。てかライラも獣みたいだったけど............」


「アレはバーサークを使用したから!............でもその理性が飛んだり戻ったりして暴れる危険性で村に飛ばされたんだけどね............ベルセルク(狂戦士)は強いが危険、王族は近くに置くと破滅が待っているって迷信というか伝承のせいね。それよりサヴァイヴがどこから来たとか貴方の名前がなんなのとか色々あるでしょ?はい!自己紹介しなさい!」


 とオークの方に手を向けた。指を刺さないところに育ちを感じるサヴァイヴであった。


「俺は言った通り異端者で名前は無い、はみ出し者クズを引き連れていた異端のクズだ。その時もリーダーだの長だの呼び名前すら聞いてくれんかった」


「じゃあ私が名前考えようか?」


 とウキウキで手を上げるサヴァイヴ。


「そうだなぁ、ファーストネームだけ頼もうか。見逃してもらった第2の生の様なモノだしな」


「そんな重く捉えなくても............ただ善悪種族問わず死んでほしくないだけ。んで本題の名前は............アシュグリムなんてどうかな?」


「灰の別名のアッシュに恐ろしいという意味のグリムとは直球だな。気に入ったぞ!灰色のオークを怒らせたらどうなるか示してやろう、そうすれば同胞の差別は無くなる」


 彼にとっての同胞はオーク自体では無く稀に生まれる灰色のオーク事を指すと気づく2人。

 サヴァイヴは灰色の肌とか恐ろしい見た目にコンプレックスが無くて良かったと安堵しつつ自己紹介の続きを促す。


「いやー良かったぁ!んじゃあ、もう仲間なんだし真名魔法が何か詳しく教えてよ!」


「ん?そうだな、名はアンチェインウルフだ。最初はチェーンの首輪をつけた巨大狼を出すだけだったが、武器にもなる事に気づき利用している。こいつの1番の利点は応用が効く事と詠唱や予備動作がほぼ不要な事だな。だからそれに合う魔法を独学で学び続けて今に至る。終わりだ」


「ほへー............いや、年齢とか好きな食べ物とか趣味も言うでしょ??」


「馬鹿以外と話すのは久しぶりでそんな発想は無かったな............年齢はおそらく40代半ば、好きな食べ物は骨髄、趣味は読書などで新たな知見を見つける事だ............終わって良いか?」


 2人は流石、知的に生まれただけある趣味だなと思った。


「この中では、とても年長者で驚き。頼りにしてるね、アシュグリム。じゃあ次は私ライラ=レリエル。17歳、好きな食べ物は............さっきサヴァイヴに作ってもらったハンバーガーモドキってものかなぁ、あとはお酒。趣味は思いつかないね、いつも役に立てる様に魔法の修行とかしていて忙しかったから。でも両親とボードゲームしたりはしたなぁ。じゃあ次よろしくね!」


 アシュグリムは保身の為にした己の所業に後悔する。様に俯く。そんな中でサヴァイヴは17歳でも飲酒しても良い世界かと思いつつ自己紹介をする。


「えーっと、何から言えばいいかな?実は異世界から来たんだよね。容姿は全然違うし前は男だった、今は両性で人間」


 それに彼は驚き反応する。


「異世界!?そして人間(ヒューマン)!?嘘だ、容姿に性別からしてお前は亜神(デミゴッド)だろう?神の権威の色をした髪に、雪の様な透き通る白肌に極め付けは金と銀の眼だ。半身半神として存在するモノ達はそれに近しい容姿だ。」


 それを聞いて自分の身体は自身の僅かな肉体と新しく精製した身体と元の精神の複合体であることに気付く、それと自身の全てを詳しく伝えると彼は言った。


「真名魔法が他者の力を模倣するとしても鍛錬無しに、短時間と言えど本人を超えた素質。そして亜神特有の強靭な肉体と魔力量か............鍛錬すれば世界征服も夢じゃない!最強の魔王の誕生だぞ!!こんなに本を読み漁って良かったと思える事は無かった!でなければ目の前の巨躯の女がデミゴッドだとは気づかなかった!!」


 興奮する様子にさながらマッドサイエンティスト感を感じたサヴァイヴ。


「魔王ねぇ............勇者とかの方が憧れるんだけども世界平和に繋がるなら順番に悪を倒すかぁ」


「独善のクズにはならないでね?必要悪もあるし世の中そんなに簡単じゃないのよ............」


「誓うよ。ただデミゴッドかどうかは断定できなくない?」


「もう俺としては決まった様な物だが、更なる根拠が必要ならば魔力量の測定と身体能力の測定をすればわかる。魔力量は俺の測定器がある、身体能力は............そうだな、そこの大木を本気で殴ってみてくれ」


 そう言うと彼は道具を召喚し始めた、その最中で彼女は拳に布を巻いて準備。


「拳が擦りむけて怪我したら回復してくれよなぁ............はぁ!!」


 弱気だが腰の入ったパンチを放つ。大木は折れて軽く吹っ飛んで地面に刺さる。


「わあ、村のシンボルが真っ二つね。こんな怪力だからバーサークの上乗せでアシュグリムを瞬殺したのね、でも慢心しちゃダメよ。貴女はまだ何も鍛えてないのだからねっ!でも逆に言えばここからすごい伸び代があるのねぇ〜頼もしいわ」


「ははっ」


(もっと褒めて............テンプレ通り完全なチヤホヤをされたい)


 そうしているうちに彼は測定を終えたらしいので呼びかけてきた。


「おーい!木は余裕で砕いたな!魔力の方なんだが............その............俺の道具が壊れているのかムラサメがイカれているのかわからないが馬鹿みたいに魔力を保有しているのがわかった」


「マジで!??わーい!!」


 クールな容姿でアホみたいな喜び方をするサヴァイヴ。


「だが気をつけろよ、魔力量が大きく魔力回復が遅い奴と魔力量が少ないが回復速度がすごく速い奴だと後者の方が強い場合があるからな。特にそう言う奴は搦手に特化している、先程の特別な身体で慢心して殴り掛かれば酷い目に遭う。まあお前の回復速度が遅いと決まった訳ではないがな」


「は、ははっ」


(忍者の漫画の主人公もエネルギーだけは無駄に多かったなぁ。なんか無敵とか最強は当然の様に遠く険しい道って時間させられたよ)


 少し悲しくなるも意思を固める要因になったので結果プラスである。

 アシュグリムは狼と巨大な馬車を魔法陣から召喚し、物を詰め込み終えると彼が手綱を握り旅立った。


「ねぇ?アシュグリムにサヴァイヴって良い名前と思うんだけど長くなくて?あだ名とか作らないかしら?」


 そうしていると彼が前方から即返事する。


「じゃあアッシュでよろしく。グリムはその辺に普通にいる名前だからな」


「わかったわ〜。じゃあ、貴女はどうしましょう」


「どうしよ............鯖、サブ、イヴとか?それか生前の名前の(ヒカリ)にする?」


「あら?元の名前も良い響きじゃないの、他の人間に名乗って無いのだから昔の名前に戻したら如何?」


「うーん............異世界の私のアイデンティティの消失............いやムラサメヒカリを本名にして偽りの名(コードネーム)サヴァイヴにしよう!」


「名案ね!私は因みにベルセルクと呼ばれているわ」


「............俺はそんなモノないしいらないぞ」

 

「そ、そうか。じゃあそれでよろしく!下剋上レッツゴー!!............因みに何キロあるの?」


「正確な長さはわからないが楽々に進めても1週間はかかるぞ」


「ガーン............」


 こうして最初の世直しの旅が始まった。

デミゴッド(暫定)ヒューマン(子供)オーク(突然変異体)の世直しが始まる。

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