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第3話 真名魔法

今回初戦闘です。慣れないジャンルなので稚拙な文章になりますがよろしくお願いします。

 爆発音、銃声の様な破裂音に焦げ臭い臭気が窓から流れて来ると反射的に身体を起こし目を覚ます。


「っ!?なんだ!??事故か?何か落ちたか?」


 日本人マインドなので平和ボケしている彼女は殺し合いが起きている事などすぐさまには思いつかなかった。

 とにかくライラはどうなっているのか見に行こうとするとフル武装と彼女がこちらに来る。


「奴ら遂にまた来やがったッ!今度こそぶち殺してやる............ごめん、ちょっと恨みがあってね。貴女は隠れていて、まだ戦えるかもわからないのだから」


 先程の優しく清楚なライラとは違い怒りに顔は歪み言葉遣いがかなり荒々しくなっていたかと思うと、正気に戻りサヴァイヴに隠れる様に指示する。だが彼女はサヴァイヴが返答する間も無く飛び出して行ってしまう。


「なっ............転生モノの定番ならあまり詳しく無いが、私の初陣かライラを失う事になる。ただ彼女の形相は凄まじかった............訳がある筈だ。とにかく物陰に隠れて見守るか」


(武装はよくわからないモノばかりであったが銃とナイフくらいはわかったが、この世界での戦闘は何を主軸とするのだろうか)


 サヴァイヴはかなり楽観的であった、ライラと村人の他何名かはわからないが大規模な戦闘を見れる事にワクワクしつつも、敵味方問わず死者が出るのは嫌だなと優しさにも甘えにも取れる事を思う。そんな事を考えているとライラ単騎で巨大で足の長い狼の様な生物の上に乗るオークらしき集団の前に出ていた。


「まだ私達を襲うのかっ!!」


 そう怒鳴りながら睨むライラ。


「ここはシュベリ王国の村だろう?テメェらが俺らの同胞を奴隷にするのが悪い」


 とボスのオークが言い返しながら巨大な片手斧を2本両手に持つ。


「ここはその王国にすら見捨てられ放置され寂れた場所、私達を襲おうが同胞は解放されないが?それとも弱い物イジメして鬱憤を晴らしたいのか?既に私の両親を人質にした上に、私が要件を飲んだのに殺したクズ共が!お前らが恨むシュベリ王と大して変わんねぇよクソカスがッ!!............真名魔法(トゥルーネーム)バーサークッ!!!!」


 そう怒鳴り腕をクロスにした瞬間に彼女の雰囲気が変わり両手の指先から手首までに謎の黒い模様が浮かび上がる。先程までの優しさが微塵も感じられない姿に少し恐怖するサヴァイヴ。


「映画を見ている様だ............しかし、何故ライラ以外は戦わない?この村に戦えるのはライラだけなのか............?」


 辺りを見渡すが壊れていない家だろうが何だろうが人の気配が感じれなかった、ライラ一人残して避難したと直感的に思うが理解が追いつかない。


「子供一人に戦わせるのか?何考えてんだ?私がライラの家にいる時、窓から村人の声は聞こえたからライラが廃村に住み続けている訳では無い筈............」


 そんな事を考えている間にすでに戦闘は始まっていた。


「行け!俺ら20の頭数があれば守護者といえどそ余裕で潰せるぞ!それに親に守られ続けていたガキだ!食料か性処理用に持ち帰るぞッ!!」


 そう言うとボス以外は棍棒や剣に盾2つだけを持ったオークの集団が走りライラを殺しにかかる。


「真名魔法無しとらナメられたモノね」


 そう彼女は言うと肩からかけたベルトに仕舞っていたガラス瓶を取り出し謎の中身を飲み干すと、自分の手首を切って血を瓶に入れるとオークに顔の前に投げ破裂させ目潰しをした。


「血の目潰しは初めてか?」


 そう冷たく言い、苦しむ前のオークを足止めする。その間に手に小さい何かを持ったかと思うとライラの身長以上の両刃の無骨な斧が現れる。


「レリエル家のライラ!両親から継いだ守護者としての責務を果たすべくその命頂戴するッ!!う゛ら゛あ゛あ゛ぁ゛ア゛ッ゛!!!!」


 その小さな身体にはあまりにも大き過ぎる斧を持ち上げ振りかぶる。ナメた盾持ちオークは呑気に受け止めた。


「テメェでも振れる軽い斧なんざにぃいぎゃあ゛っ゛」


 全てを両断し血肉が零れ落ちる音がする。それに構わずライラは攻撃の手を止めない。


「う゛り゛ぃ゛ヤ゛ァ゛ら゛ぁっ!!!!!」


 武器を持ち上げた勢いで1人殺し相手が狼狽えている間に狂った様に叫びながらグルグルと自分を軸に回転し斧を投げた。


「切り裂けえ゛ッ!!」


 その斧は円盤状になりオークの集団を一気に引き裂いた、サヴァイヴの死因と同じく上半身と下半身がバラバラで。そして斧の形に戻り、彼女の元にも戻りそれを片手で受け止めた。


「はぁ、はぁ............チョロいぜ。アンタで最後だ、両親の............仇を............」


 疲労困憊に見えるライラは更に先ほどの瓶の液体を飲んだ。もう残りはサヴァイヴから見て無い様に見えた。


「馬鹿な同胞達だ、まあ良い。頭の良い奴だけが必要である」


 狼から降りるとそれは武器である大きく長い鎖と片方の先端にナイフ、もう片方は文字が刻まれている巨大鉄球に、それを目の当たりにし魔法で作り出したモノだと理解したサヴァイヴは陰で現状の事に驚き続ける。


「あれは使い魔兼武器的な奴だったのか、それに(かしら)はやはり特に頭が良いのか。ライラは勝てるのか?私に何か出来ないモノか............真名魔法とか言っていたよな?ライラの言う感じ私にもあるはず............」


(オークって創作上だとまともに言葉も喋れないのが多いのに馬鹿な部類のやつも喋っていたな、恐ろしい。それより何かっ!何か出ろよ!!)


 物陰でパタパタしている間もライラとオークの長と近接の殺し合いを続ける。


「真名魔法に恵まれたガキだな、だが魔力が追い付いて無い様だぞッ!!その疲れ切った顔をぐちゃぐちゃにしてやる!!」


 ライラの巨大な斧は常に鎖に狙われ後手に回る、仮に絡めて奪われても先程の様に手元には戻せるが大きな隙が生じてしまうからだ。


「はぁ............はぁ、う゛ぐる゛る゛る゛ァ゛!!!」


 ライラはそれでも獣の様に吠え鉄球を躱し斧を振るう、しかし拳に巻いた鎖でガードされ有効打を与えられない。火災の炎に照らされた闇夜で金属同士がぶつかり合う音が連続して鳴り響く、クロスゲームどちらが勝つかわからない攻防が続くが遂にオークの攻撃がライラを捉えた。


「ふんっ!デッドスパイクッ!!」


 披露したライラを鎖で縛り魔法により棘が生やされた鉄球をくらい吹っ飛びサヴァイヴが隠れていた場所まで建物などをぶち抜き来た。ただ幸いな事にライラが小柄な事で相手が鎖を巻きすぎて逆にスパイクがあまり刺さらなかったのである。


「ライラァ!だ、大丈夫かっ!」


 炎の熱気のせいか焦りのせいかサヴァイヴは汗をかきライラの手を取る。


「に、逃げろッ............貴女は死んだばかりなのだから............」


 口調がいつものライラに戻るも先程の力を解放していた状態からも戻ってしまう。サヴァイヴは怪力で魔法製の己の服を引き裂き止血出来る場所を治療するもその手を振り払われた。


「いい............このままならお母さんとお父さんに会える............から。貴女はこの第二の人生を謳歌するの、いいね?」


「滅多な事言うモンじゃない!治療魔法とかあるのだろう?あと真名魔法?ってやつ私にも無いのか??」


「あるけど難しい............真名魔法は絶対にあるけど何かしらで気付かない限りわから............」


 そう話す途中に全てを破壊して目の前に現れた3.5メートルは下らない長のムキムキのオーク。それなりに深そうな切り傷は複数あるがまだまだ戦えるタフさを感じた。


「なんだァ?守護者以外が村に残るなど愚かな............ん?お前の巨躯に容姿、人間(ヒューマン)では無いな?貴重そうな種族の生き物は奴隷として売れる、抵抗しなければ命だけは保障するぞ」


 そう言いながら手に持つ玉をドスンと落とし地面は凹み土埃が舞う。


「へぇ、されて嫌な事を平気で他人にはするんだ?そうだ、私は特別だ!お前とは比較にならない強さがあるぞ!!今なら見逃すが?」


(あんな重さのモノを喰らったのか?畜生、ハッタリが通じてくれ............)


 大事そうにライラをお姫様抱っこで持ちハッタリをする。


「なら何故隠れる様な真似を?多少は痛ぶる必要がある様だなぁ!」


 オークは鎖の先端のモノを無くして両拳に巻き付けた。


「馬鹿っ!早く私を投げ捨てて逃げて!」


 ライラは頬を叩こうとしたのか触ろうとしたのか手を上に上げようとするも、それすら出来ない程にダメージと疲労が蓄積していた。その彼女の手を空いている右手で掴み握りしめた。


「足掻くだけ足掻くさ。いつも長生きしたい死にたく無いって思って生きて来たのに、結局人を助ける為に体が勝手に動いて死んじまうんだ。今世は君を助けて死ぬのかな............だが、それも悪くないッ」


 そう言うと彼女を近くの綺麗な木の下に置くとオークの前に立つ。


「蛮勇は死を招くだけだ」


「私の真名魔法(トゥルーネーム)があるの忘れてるでしょ?」


(クソ!クソッタレ!!ライラの猿真似だ、腕をクロスにして叫ぶしかねぇ!!)


「ほお?隠れる事に特化したモノかと思っていたが違うのか?見せてみろ」


 腕を組み余裕そうなオークは言う。


「見せてやるッ!真名魔法(トゥルーネーム)ッ!!」


 しかし、何も起こらない。


「ふははっ!もしやまだ己の力を自覚していないのか?ハッタリもここまでくると............ん?なっ!??バーサークッ!???」


 ただ叫んだだけでは何も発動しない。だが先程ライラに触れ、ライラの真名魔法の発動条件を真似した事によりサヴァイヴの目の前に赤い魔法文字が浮かび上がる。それの意味はバーサークだった。


「や、やった!!まさかライラと同じだなんて!!」


 歓喜する彼女の腕は指先から肩にかけて模様が浮かび上がる、ライラよりも大きな範囲で表れたのだ。


「あ、あり得ない............真名魔法は発動方法や能力までここまで一致する筈が無いし私より使いこなして............?な、なんだか元気になってきたわ?」


(もしかして私の力を使ったの?それが原因で私の魔力が戻ってきている............?)


 何故か疲労などが少しマシになり立ち上がるライラと拳を構えるサヴァイヴ。


「私はこれが見せかけじゃない事を祈る、だからお前は私に殺されない事を祈れ」


「ぐう゛う゛お゛お゛お゛!!!!!!」


 そう彼女が叫ぶと目にも止まらぬ速さで距離を詰めて飛びかかりオークの顔面を捉えた。


「うっ!??」


(速いッ!?だが回避できぬならっ)


 反応する暇も無く思い切り殴り飛ばされて歯が折れ飛んでいく。しかし、ただではダメージを受けない。彼女の着地地点に鎖の拘束魔法の魔法陣を置いていた。


「うぐあ゛!」


「予備動作無しでオークがあんなに魔法を使いこなすなんてっ!」


 ライラが絶望していたが彼女はまさかの簡単に鎖を引き千切る。


「オラァ゛ッ゛!!この頭脳派がッ!ぐわ゛ぁ゛!!」


 地面で倒れているオークに向け近くにあった折れた木で殴りかかる。木が砕け散るまで殴った後に地面にめり込んだオークの首元を掴み持ち上げた。


「うぐっ............か、完敗か。好きに殺せ、あのガキに復讐でもさせるんだな」


 首の骨を掴まれている上に全身打撲に複数箇所骨折したオークは諦めた。


「ふぅはぁ............ライラ?私はこいつを殺したくない、が両親を殺された因縁があるんだろう?委ねる」


 何とも言えない表情でライラの方を向く彼女に向けて答えた。


「いいわ、見逃しても。貴女の勝利なのだから生殺与奪は任せる。けど聞きたい事がある、何故両親の身代金として用意された金貨を無視して殺したの?その後も結局金貨には手付かずで」


「............シュベリに雇われていた。危険な真名魔法を使う奴がいる、だがお前が見習いとは言え守護者の立場の為に処刑は難しい。だからこのカスみたいな村にお前は家族を送ったんだとよ。だが歳月が流れ強まるお前が怖くてオークの中で異端の俺が雇われた」


「なら何故私だけ殺さなかった?」


「お前の両親が頼んできたからだ、仕方なくそれで済ませたかったが親だけ殺しても意味が無いとシュベリは怒り狂い今日の内に殺さなければお前も殺すと、だから俺を害し利用するつもりのアホだけを引き連れて問題を全て解消しに来た、それで終わりだ。他の緑の奴らと違って稀に生まれる俺みたいに知能が高く灰色のオークはお前と同じく邪魔な存在、シュベリは双方が相打ちで終える様に仕向けたんだろうなぁ............」


 寝そべりながら遠くを見つめ全てを話した。だがサヴァイヴにとっては王様とか守護者とかわからない事ばかりで困り果てているが顔に出さない様にする。


「お前ここらの奴じゃないな?サッパリって顔しているな」


 直ぐにバレるのであった。


「............そんなに顔に出やすいか?」


「「見ればわかる」」


 ライラとオークに同時に返され凹む。


「まあ貴方も話した事が真実であれば元を辿るとシュベリ王が悪いのね。............もう互いに失うモノも無いし手を組んで叛逆しない?」


「信じるのか?」


「くどいわね、手を組む?組まない?」


「ありがとう............手を尽くそう」


 と2人は和解するが理解の追いついてないサヴァイヴ。


「いやー良かった!で世界観の解説パートは??」


 置いてけぼりプラス1人で、こうして3人は組んでシュベリ王国の城を目指す事になった。

世界観の補足は次の話でしますのでよろしくお願いします。

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