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第2話 私の名前はサヴァイヴ

 なんだか懐かしい様な、気持ちが緩む匂いがする中で目を覚ます男。


「はっ!??ベッド?誰の家だ............?なんか古臭い家だな?これは中世ファンタジータイプの異世界か?............???声がっ、俺の声が違うっ!か、身体も女になってる!??」


 目を覚ました男は己の声に違和感を抱き目線を下に向けた。そうしたらデカい胸がある事に気づき毛布を退けてベッドから降り立つ。


「............?????ちんちんある?いや、性器が2つ!?まあ身体はめちゃくちゃになるって言っていたモンな............それよりこの家小さいな、ドワーフとか住んでるのかな?それに服はちょっと変なデザインだけど洋服に近い?」


 そう困惑して立ち尽くしていると走り近寄る音が聞こえたと思うと女性が出てきた。


「起きた!良かったぁ。貴女、森の中で無防備に裸で倒れていたから何とかみんなで運んで寝かしていたのよ。お医者さんはこの辺にはいないから本当に良かった!名前は何て言うの?」


 と背丈の低い美少女が言う。彼女の服には防具として機能するモノや武器と思われるモノが腰にあった。それを見て男だった人は戦う必要があるタイプの異世界だと察すると共に日本語な事に違和感を抱く。


「感謝します。ですが、申し訳ない。少し記憶があやふやで貴女のお名前は何ですか?それとここはどこの国で何語ですか?」


 困り顔で嘘をつき情報を引き出そうとする。


「あら、大丈夫ですか?頭を強く打ったりされたのでしょうか............それともポイポイの毒に............私の名前はライラ=レリエルで、ここはそこそこ大きい王国の外れの小さな村でね、古代に大和という国が作ったヤテラト語を話すんだけど文字が難しくてねアルファベット、漢字、平仮名、片仮名とか他にも色々な文字を使うの、だから貴女は外国の方みたいだから大変かも............」


 それを聞き、そりゃまた自分に都合の良い異世界やなと思うんのであった。そして最後の外国の人間と判定された事が引っかかる。


「言葉は問題ない様です、意識が先程よりは冴えてきました。ただ何故私が外国の方だと?」


(ポイポイってなんだ............?動物?植物?)


「えっ............だっ、だって貴女みたいに人で性別が両方の方何て聞いた事も見た事もありませんし、何よりその目の色や髪色に巨体は私達の村にいませんから」


 少し恥ずかしそうに言う彼女。男だった人は周りが小さいのではなく自身が高身長だと気づく。


「レリエルさん身長はどの程ですか?それと鏡はあります?」


「えーっと確かこの前計測した時は144センチですね、鏡の代わりならありますよ」


 そう言うと彼女は片手を突き出したと思うと、何かを呟き手の前の空間に読み取れない文字が浮かび上がった瞬間に大きな鏡が現れた。


「おお!それは魔法と奴ですか!」


(魔法も驚きだが単位がセンチか!ヤードポンドは無いよな?やめてくれよ?)


「?ええ、そうですよ?記憶喪失の方はお医者さんに頼んだ方が良いかもしれませんね............」


 現実と同じで常識な事ばかりを質問すると異常者扱いされたり心配される現象が起きてしまう。

 それよりも鏡を見た瞬間驚愕した男だった人。


「髪が真紅で目は金色と銀色のキラキラオッドアイ............鏡の端に表示されている205cmって俺の身長かよ!?てかめっちゃクール系の美人じゃないか!容姿ガチャ大成功!!」


「............」


(かっこいい方と思ったけど頭大丈夫なのかしら............)


 流石に気味が悪くなってきたライラは無意識に後退りしていた。それを察して自分がどう言う立場かを全部説明する事にした。


「あー............申し訳ありません。実は記憶喪失は嘘でして、話すと長くなるのですが............」


 全てを説明したがライラはちょっとしか驚かなかった。


「それは大変でしたね............ならばこの世界を知らないのは当然ですわ」


「あっさり信じてくれるのはありがたいのですが疑わぬのですか?」


「貴女の様な存在はこの世界での有名なお伽話に度々登場しますから、ただ実際現れたのは初かここ数百年ぶりかもしれません」


(伝承や神話にもある外界の侵略者(アウトサイダーズ)にも当て嵌まる............けど悪い人では無さそうだしなぁ............)


「はぁ、そうなんですね。取り敢えず、私はどうしたら良いのでしょう?これ以上迷惑をかけない為にも早く立ち去るつもりですのでご安心ください」


 他人に気を遣わせるのは居心地が悪いと立ち去ろうと決める。


「そんな急がなくても良いですよ!ここは今私1人だけしか暮らしていませんから!それにライラとお呼びください、敬語も不要です。私は17歳ですが貴女は見た目から見るに20歳くらいでしょうし」


 それを聞いた男だった人は本当に都合が良いなと思い、逆に警戒する。あの概念の神は何か目的があるのでは無いかと。それはそうと甘えるしか今は道がないと思うのであった。


「じゃあ、ライラよろしくね!私は死ぬ前は26歳だけど身体の年齢は20くらいであってると私も思う。元気溌剌だし!」


(この身体ならエナドリ要らずで仕事ができそうだ!............いや、もう仕事の事は考えなくて良いんだよ、馬鹿............)


「そうなのね、それでまだ名前を聞いてないのだけど聞いても良いよね?」


「良いけど死んだから古い名前と新しい名前合体させたいな............じゃあ、ムラサメ サヴァイヴで良いかな、苗字は生前で死んだ後は生き残りたいからド直球のサヴァイヴで」


(下の名前は光だったけど変えてみたが少し、いや割とダサいけど異世界なら良いか)


 と少し適当にこの世の名前を決めたサヴァイヴ。


「素敵だと思います!」


 顔は少し引き攣っていた様に感じて異世界でもダメだったかと思うサヴァイヴであった。そう思っているとライラが急に膝をついたので焦って身体が倒れない様に持った。


「だ、大丈夫??」


(違う、俺の名前に引いているんじゃなくて体調が悪かったんだ。何故それに気づけないんだ私のアホが)


 動揺のあまり一人称がごちゃごちゃのサヴァイヴ。


「ちょっと今日は頑張りすぎちゃったみたいで............ごめんなさい」


(みんなと運んだって言ったけど1人で魔法で無理に運んだし、服も魔法で組み上げたり鏡を出したりと鍛錬が足りないのに無理し過ぎた............私がこんなに弱いから............)


 ライラは疲労した顔と言うよりは苦悶に近い暗い表情をしていた。サヴァイヴは心配してお姫様抱っこをする。


「きゃっ!」


「いきなりでごめん、ただ寝た方が良いよ。さっきまで寝ていて世話になっている私が言う事では無いけどさ」


(この巨体はハリボテじゃないみたいだな)


 そう微笑んで言うと自身がさっきまで寝ていたベッドに置くと質問をする。


「何かすることある?やるよ、この世界の常識はわからないけどさ」


(彼女が寝たら少し外に出てみるか)


「あ、ありがとう............この世界では力が全てなの、そのせいで............はぁ、何でも無いわ。とにかくよそ者の貴女を信用する人なんていないから外にはまだ出ないで............夕飯をお願いしてもいい?その身体はこの世界に適応していると思うからアレルギーとかなければ毒はないはずだから............」


 そう言うと眠ってしまった。


「マジかぁ............やるしかないな」


(どんな世界でも力が全てなのは当然だろう............それより外に出るなってのは少し怪しいな、何故そんなに疑心暗鬼なのだ?)


 そう思い台所に向かった。


「冷蔵庫ってこれか?ん?よく見たらこの家電気通ってる?裸電球ぶら下がっているし家電があるぞ??もしかして技術力は前の世界と変わらない?いや、電気は魔法で作ったかもしれないし............」


 勝手に色々と想像し混乱してブツブツ呟きながらもその日は夕飯として何の肉かわからないモノを焼いて塩とハーブっぽいのを使ったステーキを作るとパンっぽいモノに、味見して判明したチーズと作ったステーキを軽く細切れにして挟んで、己が好きなチーズバーガーもどきを作った。ハンバーグはつなぎが無いので断念。サヴァイヴはライラを優しく起こすと夕食を披露。


「これは............??パンにチーズとツノナシツノアリオオウシモドキの焼肉を挟んだの?」


「あ、ああ。もしかしてダメか?」

 

(なんだそのトゲアリトゲナシトゲトゲみたいな名前の生き物は)


 その反応でこの世界では変なモノかと焦るがライラは続けて言う。


「パンとかサンドウィッチって朝ごはんの為に買って食べていたから夜食べるのはあまり無いわ。けどダメなことなんて無いわ!とても美味しそうね!そういえば似た様なモノは王国のマーケットで見かけたわね〜。じゃあ、いただきます!」


 今日知り合ったばかりで異世界から来たと言う怪しい人間が作った物を平気で食べるライラ。


「どうかな?」


その問いに無言でサムズアップをし喜ぶが、異世界では良い意味なのか不安になる。地球でもサムズアップが侮辱になる国はあるからだ。だがそんな不安を払拭してくれる屈託ない笑顔のライラを見て安心。


「美味しいわ!シンプルだけど良いわね、美味しい物同士合わせて食べれば当然美味しいわよね」


「本当は焼肉じゃなくてミンチにした肉を焼いた物を挟んで食べるんだ、ハンバーガーって言うんだけどこの世界でも同じ名前かな?」


「うーん、同じ食べ物はあるけど肉塊サンドウィッチとしか言わないわねぇ」(モグモグ)


「まあ似たのはあるよね、満足してもらって何よりだよ」


(サンドウィッチはあるならハンバーガーもライラが知らないだけであるだろう)


そう言いながらライラの対面に座り答えるサヴァイヴ。


「貴女は食べないの?」


「私の分は一人暮らしの備蓄量だったから作ってないよ。それにこの世界に生まれたばかりだから空腹感はまだ感じない」


「気にしなくて良いのに............遠慮はいらないのよ?」


「ありがとう、気にしないで」


(強がっただけ!チーズちょっと食って腹減ったよ!!でもアレ何の乳から出来ているんだろう............怖いな............)


 そう思っているとライラは笑う。


「ふふっ、ほら半分にしましょう。この世界には心を少し見れる魔法があるのよ、デリカシーの無い事をしてごめんね」


 それを聞き転生ファンタジーを舐めていたとサヴァイヴは思った。


「あ、ありがとうね。私の世界の空想物語の本みたいな事を平気でやるなんてなぁ............面白い」


(感情とかを読み取るくらいかな?しかし、異世界って言ったら無双とかチートをよく聞くが私に何か素質はあるんかな?あるよな?)


 そう思っている彼女に微笑み続けるライラ。


(嘘よ、読心術は私の専門外だから。それに、だって貴女の顔見るだけでわかるわ、悲惨な亡くなり方をして訳のわからない世界に飛ばされて大変よね)


 ただライラの優しさに甘えて食事を二人で摂ったのであった。そして少し雑談とこの世界の事を聞いたりして時間は過ぎ寝る事になる。


「貴女はさっきのベッドで寝ていいから気にしないで、他に2つあるから」


「そうなのか、ありがとう。おやすみ」


(両親がいるのか、いや今は一人暮らしと言っていたな............)


「うん、おやすみなさい」


 優しい声色で返して別の部屋に入って行く。


「............実感わかないなぁ、ソシャゲのデイリー消化も無いし、てかそもそもスマホもねぇし寝るか」


(ここの部屋の灯は蝋燭なところを見ると電気はそんなに使えないのか?幸い気温は低いから窓開けていても心地良く寝れそうだな、なんか良い匂いするし............)


 そうして暑がりな彼女は眠りにつくが夜中に大きな音で目を覚ますのであった。

やっと次に初戦闘です

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