098-レストラン『デアルータ』でのランチ1
レストラン『デアルータ』はここ...インナーリウムにあるのが三号店で、国内では四店舗しかない。
そこに俺たちが辿り着くと、見えたのは順番待ちの列だった。
まあ、予約済みなので、店舗の前にある整理券発行機を操作して、優先してチケットを発行してもらうだけだ。
「シノ様ですね、ご案内いたします」
「ええ」
すぐに店内へ案内される。
店内はロッジのような内装で、どの席も埋まっている。
奥に近い席に案内された俺たちは、珍しく紙のメニューを開く。
「アザランヌエ...ロースト鴨かな?」
パソマ星系群特有の動植物を使ったメニューなので、専門用語が多い。
そのために下に注意書きがされており、そっちは分かりやすくなっている。
「前菜から注文しよう、ニジュエのソルカー(芋のポタージュ)とカスガル(伝統的なカスガルⅡのサラダ)でいいかな?」
「この...エリエン(ニシンっぽい魚と肉のゼリー寄せ)は?」
「それ前菜なの? まあいいけど」
飲み物は炭酸水。
単体で飲んだことがある奴だ。
強炭酸ではないが、軽くて飲みやすい。
「お料理をご注文されましたので、サービスのパンとご注文の炭酸水になります」
パンは胚芽パンとバゲットのようなやつの二種類で、バゲットもどきだけはおかわり自由らしい。
すぐにカスガルとエリエンが同時に運ばれてきたので、俺は店員に言って取り皿を貰い、皿に取り分ける。
なんだかんだこういう食事は久々だ。
アルは食べ慣れているようで、フォークとナイフの扱いが上手い。
遅れて運ばれてきたニジュエのソルカーも、優雅なスプーンさばきで少しずつ飲んでいた。
彼が食べている間に、俺は次を注文する。
アザランヌエと、スマラントッキ(辛味のチキンステーキ)、スベンカ(魚のソテー)だ。
メインにあたるらしい。
「お、美味しい」
俺は手をつけていなかったソルカーをすくって飲む。
地球での芋ポタージュと似ているな。
カスガルも食べてみるが、バジルっぽい風味のレタスというだけで珍しさはなかった。
やはり地球は、グルメな世界なのかもしれないな。
食べたことのない味というのはエリエンの魚だけだった。
魚のあの独特の風味がなく、口内で溶けるのだ。
「あっ、これ美味しい!!」
数分後に来たアザランヌエを、アルは楽しんで食べていた。
スマラントッキはちょっと失敗だったかもな、辛味が日本人的には強すぎる。
エスニックというわけではないが.....
激辛チャレンジぎりぎりのような気もする。
水を飲みながらなんとか完食する。
「あ、アル! スープは残したらダメだよ」
「はーい」
スベンカのスープは汁というかソースだが、パンで拭って食べる。
気付けば、殆ど食事が終わっていた。
まあ、最後はデザートになるわけだが......
「ん? 何だこれ」
メインの下に、もう一つ項目がある。
「サブリエ(真のメインメニュー!)」らしい。
俺はそれをウェイターを呼んで注文した。
「お待たせしました、サブリエでございます」
メニューに画像が無かったのを、俺は納得した。
超巨大な肉のカットだ。
二人で少しずつ切って食べる。
デカい肉は大味っぽいイメージがあったが、どうにも違うようで、満足のいく味わいだった。
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