088-インナーリウム到着
オリオンは、ゲートに近づく。
ここも中々、凄いものだな。
「わぁ...!?」
「これはまた...凄いね」
無数の輸送艦が行き交う、ゲートの入り口。
どこからワープしても、ここに辿り着くようにされているようだ。
ゲートまでの短い距離には、物凄く精密な筒状の構造物があった。
内側には、広告用ディスプレイが無数に張り付けられている。
宇宙なので音は通さないが、広告は再生が終わると横にずれるようになっていて、ゲートまでゆっくり移動する区間で嫌でも広告が目に入るようになっていた。
「(綺麗だけど...悪趣味だな)」
広告区間が終わり、ゲートに接近する。
ゲートを潜り、そして一瞬で風景が切り替わった。
「こっちはもっと凄い!?」
「こっちが本体...かな?」
インナーリウム側のゲートは、冗談みたいに凝っていた。
ゲートから出て、インナーリウムプライム側へは大型の電飾で誘導灯が作られていて、その左右の一番手前には像がある。
像が何で出来ているかはわからないが、多分ホログラムではない。
その奥にも、均等な間隔で台座が並んでいて、そっちには企業のロゴのホログラムが並んでいた。
「ここはまだワープ禁止宙域だから、ゆっくり行くよ」
俺はそう言うと、船をゆっくりと進ませる。
流石に交通量が多く、色々な船とすれ違う。
大抵は輸送艦だが。
輸送艦を見分ける方法は簡単で、武装がないか少なく、装甲が厚そうなら輸送艦だ。
それ以外は、前面に武装を満載していたり、流線型で粒子抵抗なく加速できるタイプなど色々だ。
輸送艦はあまり考えることがないが、戦闘艦はそうもいかない。
だからか、多様な形状をしている。
「おっと」
前方からフレイターが来たので、俺は船をゆっくりとずらして対処する。
フレイターから発光信号で「感謝する」と飛んでくるのを、航行コンピューターが伝えてきた。
フレイターは流石にデカすぎるから、回頭も回避も出来ないんだろうな。
今通ったのはオリオンの20倍程度のサイズだった。
「あれでライト・フレイターだから驚きだよね」
「うん...」
フレイターには三種ある。
ライト・フレイター...つまり1番軽いフレイター、次にヘビー・フレイター、さらに大規模だがさらに重い。
最後にマザー・フレイター。
こちらは王国には一隻しかなく、船というか動く輸送基地のようなモノだ。
ワープでしかまともに移動できないので、実質主力艦と言えるだろう。
まあ、夢のまた夢だが。
上ばかり見ても仕方ない、今は堅実に前を見るだけだ。
「ワープ可能域に出たね」
「次はどこへ行くの?」
「オリオンでの生活は快適だけど、たまにはこういうのもアリだと思って...インナーリウムⅨのホテルステーションに宿を取ったよ」
「ホテル!? 良いの!?」
「うんうん、勿論」
稼いでるからな。
第九ステーションで荷下ろしすれば、輸送依頼が完了して金が入ってくる。
SELLの輸送依頼は物品の重量に応じて最低報酬が上下するから、今回の場合は企業側の裁定次第でそこそこからかなり高額になるはずだ。
胸を弾ませ、俺はワープボタンをポチッと押した。
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