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086-アイネマン・プライム惑星見学3

午後。

シャトルは惑星へと降下していた。

俺たちは上部展望室へと移動しており、そこで空と地上を一緒に見ていた。


「......てっきり真っ暗かと思ったんだけど」


空はスフィアウォールで完全に覆われており、裂け目の部分しか恒星の光は当たらないはずだった。

だが、都市のように工場部分が明るく輝いている。

暗闇など関係ないようだ。


『眼下に見えますのが、工場区画となります。また、ライトには意味があり、白は平常運転、緑は問題処理中、黄色は一時停止中、赤色は緊急停止中のサインとなっておりまして、各区画の担当者が対応するのです』


惑星規模だと、機械に任せるより人間の方が安いらしい。

そういえば、惑星規模の工場とは言うが、一体何を生産しているのだろうか。

色々な企業が参入しているというし、区画分けされているという事は本当に様々なのだろうが。


『普段は見る事が出来ませんか、区画は取り外しが可能です。工場が入れ替わったり、生産ラインに欠陥が見つかった場合はすぐにパージし、新しい区画がそこへ差し込まれます。専門の見学企画が不定期に開催されておりますので、ご興味のある方は本社ホームページよりメールマガジンにご登録ください』


一応見学は出来るのか。

ただ、ここに居る間に見れるかどうかは分からないな。

個人情報の問題もこの世界では依然としてあるし、登録はやめておくか。


『それではこれより、輸送艦専用の港へと向かいます。外の景色をお楽しみください』

「楽しめって言ってもな.......」


問題などほとんど起こらないようで、時折白いライトの中に混じって緑のライトが点灯する程度で、見るべきモノは殆どない。

つまらない光景だ。

そう思っていた時。


「うわぁあ!」

「何? あっ!」


眼下に広がっていた工場のライトが、一斉に虹色に発光し始めたのだ。

それはすぐに終わったが、また再び、今度はパターンを変えて綺麗に輝く。

このシャトルの為だけに、イルミネーションのサービスがされているのだろう。

これは......凄いな。

シャトルは十五分程度飛行して、やや速度を落とした。

イルミネーションはいつの間にか終了し、まばらに緑の光が見えるだけとなっていた。


『到着です、こちらが輸送艦用の港となります。ここで荷下ろしをし、素材や部品などが工場へ高速で配送されます。まさにこの惑星の出入り口であり、重要な拠点です。これらが数百キロメートルの間隔をおいて設置されているため、日々輸送艦が休みなく出入りしています』


恐らくだが、企業専属なのだろうな。

そういう運用をする輸送艦は、企業属で定期便を出している。

危険手当も出るだろうし、派遣では務まらないので正規雇用だろう。

操船技術と危機対応のスキルさえあれば誰でもできる、理想の勤め先だ。


『これにてツアーは終了となります』


アナウンスが響く。

惑星内部には、見せられないモノも多いのだろう。

何しろ、テナントの所有者が全部違う訳だからな。

俺は上昇していくシャトルの中で思った。

これは俺の希望だったが、アルは楽しめただろうか? と。


「アル、楽しかった?」

「うん!」


曇りない笑顔で返された。

どうやら、来て良かったようだな。

俺も満足して、アルも不満はない。

それなら――――最高だ。

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