084-アイネマン・プライム惑星見学1
翌日。
俺たちはアイネマンⅣのステーションにいた。
なぜそこにいるかというと、直接オリオンで見て回るというのは出来ないからだ。
それをやると迎撃される。
つまり、そういうバカをシャトルに詰めて見学プランにしようと思った人が居たらしく、シャトルに搭乗してアイネマンプライムの見学ができるようになっているのだ。
勿論タダではないが........
『521番搭乗口のお客様、シャトルの準備が出来ましたので搭乗を開始いたします。』
シャトルに乗り込む俺たち。
流石にシャトルの中でも大型のようで、二つの展望室と軽食スペースを備えたものだった。
今日の客は少ないようで、下の展望室には殆ど人が居なかった。
『ご搭乗の皆様方にお知らせいたします、本艦は30分後に出発いたします。その後、六時間のツアーとなりますので、軽食スペースや自動販売機をご利用ください。お手洗いは展望スペース両方の出口と軽食スペース横に全部で三つございますので、ご利用ください。』
「だってさ」
「うん.....」
「今日はお弁当持ってきてるから、お昼は楽しみにしててね」
「うん!」
弁当には天麩羅が入ってる。
この世界、油の処理が滅茶苦茶楽で揚げ物がやりやすい。
あとは、揚げ向きの食材も多い事か。
元は知りたくないが、でっかいエビみたいな食材も売っていた。
『これより出港いたします。多少揺れますので、手すりにおつかまりください』
ガントリーが解除され、シャトルがステーションの外へ向けて動き出した。
オリオンの鍵かけたっけな.....
ステーションを抜けたシャトルは、回頭を始めた。
そういえば、オリオン以外に乗ったのは久々だな。
『これよりワープに入ります。ワープ中の携帯端末のご利用はできませんのでご了承ください』
それを見越して、いくつか長尺の動画をダウンロードしてある。
アルにはゲームを買い与えている。
「...へぇ、こうなるんだ」
魚眼レンズを通したように宇宙が歪み、星が高速で前から後ろへと流れていく。
オリオンでワープする時と大体同じだが、何か大きなものが動くような轟音が小さく響いているのが聞き取れた。
船体も軋んでいる。
これがワープドライブを使ったワープなのか。
感心している間に、ワープを抜ける。
どうやら、船の質量に依存してワープの時間は変化するようだ。
『ワープ終了。ご覧ください、展望室正面に見えますのが...アイネマンプライムでございます』
「おっ!」
俺は前に寄って、それを見た。
展望室に立っていた数人も、窓際に寄る。
前方に、惑星が見えた。
『本船はこれより、第二巡航速度で惑星に接近いたします。ごゆっくりご覧ください』
俺は胸元に下げていたオペラグラスを使って、まだ遠いそれを見る。
銀色に見えた惑星だったが、表面がどうなっているかよくわかった。
惑星を覆うように、何かの構造物が覆い被さっている。
「驚いた...ダイソン球まで実現してるんだ...」
潮汐力をどうコントロールしてる? 惑星内部の温度変化はどう制御する?
想像もつかない。
よく見ると、ダイソン球はジグザグだが一本の裂け目が意図的に作られており、その中の光の当たる部分が観測できた。
オペラグラスの性能限界ではあるが、地上も一片の隙間なく金属で覆われているようだ。
格が違うな、究極のSci-Fiがここにあるぞ。
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