072-クラリウムの関門
スターゲートを通過した俺たちは、プラキオル星系へと進入した。
クラリウム星系群の玄関口であるその場所は...
「わぁ.....!」
「すごいね」
ゲートの周囲には、構造物があった。
ただの構造物ではない。
台座のような形状の巨大構造物で、目を引くのはその上だ。
巨大なホログラムが投影されていて、そこに何かのロゴが立体で表示されている。
本来回転しているものなのだろうが、巨大すぎて回っているかすらも分からない。
「反対側にもある!」
「別のロゴだね」
よく見ると台座の形状も違う。
写真で検索をかけてみると、最初に見た方は「マクシミリアン・シップヤード」....名前の通り、大手の造船所だ。
もう片方は王国の国章であった。
「王国の管轄下にある.....って事なのかな」
改めて調べてみると、ここの情報が出てきた。
ここは、クラリウム星系群が成立した際に、各種ステーションやコロニーを建造した企業と、採掘業者たちの名を刻んだ記念碑を建てたらしい。
「ここだと邪魔になるね、ワープかけるよ」
「うん」
とりあえずは、アイネマンに向かう。
ここはプラキオルで、非常に海賊が多い。
何故かといえば、2ジャンプ先にロー・セキュリティ星系であるハザラインがあるためだ。
クラリウム星系群から出て行く輸送艦を狙って、積んでいる制御回路や武双などを奪うそうだ。
逆に、入っていく輸送艦は狙われない。
クラリウム星系群内部で傭兵を雇って出て行くのが主流であるようだ。
「ゲートからゲートはちょっと遠いね」
「僕、お昼食べてくるー」
「レーションじゃ駄目だよ、ご飯作ってあげるから」
俺は席を離れる。
そして、すぐに気付いた。
「.....今日は即席麺で我慢してね」
「はーい」
「夕ご飯は頑張るからさ」
「わーい!」
この世界にも即席麺はあった。
というか、輸送依頼を受けていて、実際に積んでいる。
その時ついでに業者から私用で購入したのが、今日のアルのお昼ご飯だ。
俺の昼飯でもある。
「日誌でも書くか?」
一応航海日誌を付けている。
俺は書くのが下手で、長い文章を書くと恥ずかしくなるので、
「航海日誌 64日目 デュシオンを通過。唐揚げは半分上手く行った」
昨日の日誌はこれだけだ。
今日はどうするか.....
考えていると、アラームが鳴った。
顔を上げると、ワープ終了まで残り一分となっていた。
「最近時間が過ぎるのが早いな......」
採掘艦隊への同行で鍛えられたかもしれないな。
無為に時間を過ごす能力にばかり特化した気がする。
オリオンは、次なる星系....アイネマンへと接続されたゲート前へとワープアウトした。
「なるほど.....流石に多いな」
傭兵ステーションが周辺に複数ある。
ついでに、ゲートを艦隊が警護していた。
戦艦が多い。
傭兵のものではないが、傭兵派遣組織「エンフォース」の所属艦だ。
普通に通る分には問題ないが、ここで戦闘行為を起こせばあっという間に蜂の巣にされるだろうな......
戦々恐々としながら、俺は船をゲートへと近づけるのであった。
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