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063-自宅待機生活

こうして、奇妙な生活が始まった。

ステーションに居ながら、船から出られない生活。

しかも、食事はレーションなので、俺は久々に好きな時間に寝て、好きな時間に食事ができる生活を手に入れたというわけだ。

そして俺は、食堂に出てレーションを食べる事にした。


「レーションって言うから、もうちょっと粗末なものを想像してたんだけど」


本来は軍事作戦の最中で素早く栄養補給を行い、精神衛生を保ち、さらにヒーターなどを使い回すためにあるようなレーションだが、この世界では意味合いが違う。

フードボックスと呼ばれるものがパックの中に詰まっており、これを取り出して専用のトリーターへ入れて待つと、フードボックスの密封が解け、アツアツの食事が楽しめるというものだった。

食事の内容は、肉・魚・ベジタリアン向けの三種類で、面白いのは主食はパンという事だ。

どうやって入れてるのだろうと思えば、


「し、四角い...」


真四角のパンがそこにはあった。

齧り付いてみれば、香ばしく甘い。

焼きたてのように暖かく、熱すぎもしない。

いいパンだった。


「そういえば、パンっぽいやつだけのレーションもあったな」


高カロリー食という事で、常食禁止との項目があった。

パンというより菓子パンみたいなものなのかもな。


「何もかもが四角い、ディストピア飯かよ」


あっちと違って、こっちはペーストじゃないが。

四角い肉に、四角い野菜。

しかも何が悔しいって、美味いんだ。

肉は外側はカリカリ、中はジューシー。

野菜は青臭さがなく、ただし素材の味はそのまま楽しめる。(一応ドレッシングが付いてはいるが)

デザートには、やはり四角いゼリー。

中には四角くない小さいカット果物が入っている。


「いいもん食ってるなあ」


流石に大国だけはあるってことか。

俺は予想外に高品質な王国軍レーションに対して唸った。

最後に、端っこにあった四角いジュースのパウチを開けて、中身を全部飲み干した。

ゴミはフードボックスだけで、潰してダストボックスに入れればいいだけだ。

トリーター...フードボックス調理器はエネルギーパックを交換すれば何度でも使える。

便利なもんだ。


「っていっても、娯楽がなぁ」


お風呂に入りながら、俺は呟く。

オリオン内では娯楽が少ない。

あるとすれば屋内遊戯だが、地球のものなのでアルを誘っても興味を持ってくれるかわからない。

というか、こんな状況でも勉強に励むアルを見ていると、遊ぶ気も失せてくる。

だが、俺には商人としてくらいしか仕事がないのもまた事実。


「運動するか」


確かランニングマシンくらいなら、居住区にあったはずだ。

マジでそれくらいしかやる事がないので、俺はぷにぷにしてきた腹を引き締める運動を決意した。


「だが、それはそれとして...」


ブリッジに上がった俺は、メールをチェックする。

プラド達は待機、アストレイ達も同様らしい。

この生活はいつまで続くんだろうか。

食糧が融通してもらえなくなったら、俺たちはどうなるのか。

殺し合いで食料を奪い合うなんて、俺は絶対に嫌だ。

情勢が変わることを、今は誰もが望んでいる。

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