062-大災害の呼び声
ウソだ。
そのニュースを見て、俺は震えが止まらなかった。
映って居たのは、粉々になった惑星。
同時に、右上のテロップでは...「星系封鎖」の文字が踊って居た。
惑星を破壊したのは何か?
そう、大型の宇宙怪獣だ。
この星系を覆って居た惑星がまとめて砕け散った理由は何か。
それは、宇宙怪獣が星を食い荒らしたからであった。
そして、眠りについた宇宙怪獣は、外殻を形成し「卵」へ。
それが現行の惑星であったそうなのだ。
ちょっと寝た間に、とんでもない事になって居た。
「どうしよう、星系封鎖だって」
「もう帰れないのかな...」
残念ながら俺たちの旅はここで終わりのようだ。
星系が封鎖されれば、否応なく船は外に出られないだろう。
外部との流通が止まるが、人類全体の安全を守るためには必要な措置なのだろう。
「いや...ゲートを使わずに出る手段がないわけじゃないけど」
だけど、それを使えることがバレたら、もうこの国には居られないかもしれない。
あらぬ疑いをかけられ、最悪逮捕されるかもしれないからだ。
つまりは最終手段だ。
「とにかく、続報を待つしか無い」
それにしても...
さっきから耳鳴りがひどい。
耳をほじってみたが、変わらない。
キンキンと、脳内で響き渡っている。
もう少し寝るか...?
『続いてのニュースです。現在ダズ・クヴァタ星系群内では非常事態宣言が発令されており、TRINITY.支援による星系放棄案が提出されました。』
ダズ・リベラプライムの州議会前では暴動が起きているようだ。
そりゃそうか。
今回破壊されたのはダズ・リベラⅡ、ダズ・リベラプライムに住む彼らには文字通り“他人事”では無い。
俺が言い始めた「宇宙怪獣」だが、複数人経由で広まったらしく今では「宇宙怪獣」がインターネットでの呼称となって居た。
「ダズ家は事態をどう見てるんだろうな...」
「わかんない...」
伯爵であるゴードン・ダズ伯爵は、現在も声明を出して居ない。
州議会の最高議長を兼ねる彼は、意思決定における最重要人物だ。
彼の発言一つで、人命や人道といったものは無視されてしまうだろう。
だからこそ、沈黙を貫いているのかもしれないが。
「まいったな...星系封鎖は完全にTRINITY.名義かぁ」
「TRINITY.名義だとどうなるの?」
「...覆したり、袖の下で交渉するのは難しいってこと」
調べた限りでは、スターゲートは王国が配置したものではなく、古代文明の遺産であるから、停止させる事はできないらしい。
ただ、スターゲート付近にTRINITY.の艦隊が駐留し、通ろうとする艦船は撃沈される。
逃れてジャンプできたとしても、待っているのは指名手配である。
当然、国に属する組織では無い国際警察のようなTRINITY.が介入するという事は、ダズ伯爵家公認かつそれだけの事態という事であり、袖の下による懐柔や、決定の覆しは不可能であるという事だ。
ここから何かあるとすれば、ダズ伯爵家が何らかの要請を出して、TRINITY.側がそれを了承した時だけ。
俺たちには何も変えられないし、何もできないのだ。
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