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057-プラド艦隊同行6

結局、採掘は日を跨いでも続いた。

まあ、気持ちは分からなくもない。

すぐに規制が入るかもしれないと思えば、精も出るというものだ。

俺は作業の合間にご飯を作り、買い置きのアイスを齧りながら作業をする。

既に鉱石カーゴスペースは3分の2が埋まり、もう少しで再度ワープに入る予定だ。


「すごい稼ぎだ...外部に知られたら、すぐに規制が入るな」


アルは夕食中なので、ブリッジは俺一人だ。

空調の音が静かに響いている。

俺は計算ツールで量り売りの値を計算し、あれらがインゴットでどれくらいになり、どの程度の価格で取引されるか調べていた。

たった一日で、500万MSCにはなる額を稼いでしまっている。

勿論、適切に分配されるため、一人一人に渡る額はこれより低くなるが。

しかし、それだけ稼げるということが公になって仕舞えば起こるのは混乱である。

外部からも採掘屋たちがこぞって集まり、治安は大きく悪化するだろうな。

そして、皆が稼げる鉱石以外を掘らなくなり、そのノウハウも失われて...全てを掘り尽くした時に、誰がこのダズ・クヴァタ星系群に居たいと思うだろうか?


「プラドには一応守秘義務を徹底するように伝えておくか」


既にダズ・クヴァタ星系群を統括するダズ伯爵家には伝わっているとは思うが、しかし違法採掘を防ぐため私有化にするにしても慎重にやるだろう。

大穴が開いてしまえば、事態を鎮静化するのに必ず血が流れる。

それだけ、人の欲望とは抑えの効かないものだ。


「まあ、俺が関係ないといえばそれはそうだが」


俺の関わることではない。

ただ、作った人脈をそのまま活かすためにも、この地にはこれからも安寧でいてもらいたいものだ。

それに、供給量の変化が原因で起きる鉱石価格の変動による急激な物価の変化についていけるほど、俺は商人としての経験値がない。

無責任ではいられないだろう、こうして俺は聞いた秘密を部外者に渡したのだから。


「まあそれは、おいおいでいいか」


今日はただ、採掘艦隊の気の済むまで掘り続け、換金して皆で喜び合えばそれでいい。

どのみち、わざわざ利益が出ることを他人に話すような人間がこの艦隊にいるとも思えないしな。

いや、リオなら或いは...だが、プラドに不利益が起こるような事はしないか。

むしろ彼なら、稼いだ金で採掘艦に乗り換えてからだろう、何かを起こすのは。

中型採掘艦の相場は一隻500万MSC程だから、このまま数日掘り続ければ稼げるだろう。

デポジュリアはそれだけ換金性が高いのだ。

大型採掘艦は、一隻1500万MSC程、プラドたちどころか、アストレイ達もそうそう手の出せるものではないだろう。

採掘量は段違いだが、こういう場所で使うには不向きなのだろうな。

超大型は...まあ、これはそもそも販売されていないので、ここで考えても仕方ない。


「ん?」


その時。

戦闘コンピューターが熱源を探知し、警告音を発した。

俺は急いでオーバービューを見ながら周辺をスキャンするが、異常はなかった。


「どうしたんだ...?」


こんな誤作動は見たことがない。

だが、問題ではないだろう。

採掘艦や輸送艦のシールドを破るほど強い自然現象は発生しないだろうから。


「よし、そろそろだな」


作業用ドローンが戻ってくる。

カーゴスペースがほとんど満載になったため、俺はチャットで離脱する旨を報告して船を回頭させるのであった。


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