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053-うまい話

「そういえば、こんな話を知っていますか?」


アストレイ、レックス、そしてもう一人輸送艦艦長のハリーを交えて話していた俺たちだったが、唐突にアストレイが話を持ち込んできた。


「最近、採掘調査隊がダズ・リベラ星系外周部で今まで発見されていなかったアステロイドベルトを発見したとの噂を」

「初耳だな、何だそりゃ」

「知らないですね」

「知らんねえ」


アストレイはかなり酒が入っていた。

とはいえ、与太話の類でもなさそうだったので、耳を傾ける。


「希少鉱石が大量に存在しているらしく、崩壊した惑星の最も遠くに飛んだ部分...つまり表面付近とされているんですよ」

「なるほど、つまり...ダズ・クヴァタ全体がそうだと?」

「ええ、座標データは既に公開されていますが、多くの採掘艦隊がこのことを知りません、我々も安全マージンを確保して向かいたい所存ではあるのですが...」


これも報酬の一部か。

俺は興味をそそられ、アストレイに追加で話を聞くことにした。

まず、どの座標なのか。

全部で何個あるのか。


「座標データはダズ・デルバ文字で区分されてますから、タルタの次、タレンの1番から10番がそれにあたるはずです」


ダズ・デルバ文字は地域固有言語っぽいな。

なるほど、ナビに書かれていたこのマークには名前があったのか。


「許可のない採掘は禁じられてますか?」

「採掘組合に登録していれば問題はないはずです。ただ、まだ未確認の小惑星帯なので、腐食性ガスや爆発性鉱物による船の損傷は自己責任ですね」

「なるほど」


次回の依頼内容は決まったな。

採掘艦隊からの依頼を待つのではなく、採掘艦隊に恩返しをする。

希少鉱石なら、大量に掘る必要のある一般鉱石よりも単価は高い。

なんなら、一部は俺が買い取るのもいい。

短期間で資本を確保すれば、プラドたちは一気に成長できるはずだ。


「今日はありがとうございました」

「いえ、また会いましょう!」


そして、酒場が閉店時間となったので俺たちは解散となった。

俺は皆に挨拶をして、お土産を受け取り酒場を後にした。

流石にアルは寝てるだろうから、お土産は明日渡そう。


「おかえりなさい....」

「わっ!?」


そう思っていたが、アルは起きていた。

俺がオリオンに戻ると、アルが出迎えたのだ。

パジャマに着替えていて、明らかに眠そうな様子だったが。


「なんで起きてるの? 早く寝ないと」

「リリーさんが、寂しいと嫌だと思ったから.....」


全く。

俺は溜息を心の中でつく。

そういう気遣いは大人になってからするものだ。

ありがたい....けれど、俺はこれを認めてはならない。


「ごめんね、だけど....次からはちゃんと一人でも寝る事。わかった?」

「はーい....」

「寝れば身長が伸びるから、いつか私を追い越してほしいな」

「うん!」


俺はアルを見送ると、キッチンに行って冷蔵庫にお土産を入れ、すぐに浴場へ向かう。

そこで軽くシャワーを浴びて、自室に向かう。


「おやすみなさい」


ベッドと机以外は何もない部屋で、俺は灯を消して眠った。


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― 新着の感想 ―
これは何となく罠の臭いがするぞ… 何か起きても自己責任、という建前で鉱山のカナリア扱いされる程度ならまだ優しいけど
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