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050-アストレイ艦隊同行2

今日のメニューは至極単純だ。

ミンチ肉を冷蔵庫から出して、塩水で練って焼くだけ。

これを専門用語でハンバーグと呼ぶ。

だが、連日同じメニューではアルにも可愛そうだ。

それだけに、俺は冷蔵庫で寝かせていた必殺技を準備した。

栄養価の高そうな野菜を適当に炒めて、温めたそれに投入。

ハンバーグはミディアム程度にとどめる。

流石に合成肉だけあって生食も出来るらしいからな。

焼きすぎない程度にして、既に完成していた――――カレーに入れる。

そう、これこそ....


「ハンバーグカレーだよ」

「わぁあああ.....」


今まで見せてきたものの融合。

時間がない俺が必死に考えたものだ。

カレーを冷蔵庫に作り置きしていなかったら詰んでいたが、しかし俺の悪運は強かった。

大盛りにしたアル用の皿を先に置き、カップを二つと麦茶もどきが入ったピッチャーを置く。


「先に食べてて」

「うん!」


俺はキッチンに戻り、カレーを加熱するのに使った鍋と、まな板をシンクに入れておく。

宇宙では水は貴重だ。

むろん、ちょっと使った程度ではなくならないが、洗いものの回数は最低限にしておきたい。

席に戻り、俺もカレーを食べる。

やはり寝かせると美味しくなるな。


「おかわり!」

「早くない? ちゃんと噛んで食べるんだよ」

「はーい」


この宇宙はパン文化が強いんだが、ライス文化もあるようでアルは難なく受け入れた。

日本のものに似た品種を探すのに手間取ったが、今ではその品種の袋が三個ほど貯蔵室に積み重なっている。

あまり買いすぎると、劣化するからな。


「はぁ」


口の中に溜まってきた辛さを、麦茶もどきで流し込む。

この麦茶もどきはティオルトという品種で、デンバー星系でのみ栽培されているものだ。

意外にも飲む奴が少ないらしく、流通量が少なく高価だが、俺の稼ぎなら安いものだ。

ささやかな嗜好品は生活の質を上げる。

過ぎなければ何物も毒にはなりえない。

だからってタバコや酒をやる趣味はないが。


「おいしかった! 今日もありがとう」

「うん」


アルは言いつけ通りよく噛んで食べたらしい。

俺はアルが去った後、皿を片付けてまとめてシンクで洗う。

あと一時間で休憩は終わりだが、若干眠いな......

何とかブリッジまで持てばいいが。


「満腹になると後が厄介だってわかってるはずなんだがな」


だから太るんだよと思いつつ、あまり脂肪にならない事に溜息をつく。

どこに脂肪が行っているかは俺自身よく分かっているから。

まあ、あまりお腹を冷やさないようにすれば、トイレで作業することは避けられるだろう。


「スープでも作っておくか」


粉末スープを作り、上に持っていく。

どの世界にも似たようなものはあるという事らしい。

それらを売り捌くのもまた、俺の仕事の一環だ。

ブリッジに戻り、席に着く。

スープを一口飲んで、窓の外を見た。

休憩中の採掘艦隊は、ステーションの周囲にある桟橋にワイヤーで舫を作り停泊している。

かくいう俺もそうだ。

ここでの日常なのだろうな。

どこの世界、どこの国、どこの場所でも、そこには根ざした生活がある。

その最適解の先は、こういう大規模な艦隊なんだろう。


「さーて、頑張っちゃうかな」


今日限りの仕事だ。

何も辛くないし、稼いで日銭にしてしまおう。

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