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044-仕事終了

依頼は完了し、俺はプラドと会っていた。

その場での報酬の支払いと、俺の預かりになっている鉱石の引き渡しである。

こういうのは対面が一番だ。


「往復しなかったから、効率よく運べたな....そんな大きな船を使ってるのに、俺たちみたいな中小艦隊の依頼に応じてくれてありがとう」

「こちらこそ、適正価格より少し色を付けてくれたので感謝しています」


本来の報酬である19万MSCから少し増えて24万を今回は受け取っている。

輸送中に数えたが、あそこにあった鉱石は合計で約120万MSC。

それを艦隊の採掘量で分配した結果、俺の取り分がそうなったのだろう。


「どうだろうか、今後も仕事を共にしたいんだが」


ほら来た。

やはり相手としても、信頼できる相手と仕事をしたいのだろう。


「その収容量なら、往復が難しい場所で掘れる、だから...」

「ええ、構いません。次の依頼をお待ちしていますよ」

「ありがとう、助かる!」


というわけで、依頼は終了した。

俺は口座に送金されたのを確認すると、その場を後にする。

そして、ステーションの長い外周通路を歩く。

不思議な事に、誰とも遭遇しなかった。

ドックに入ると、空調の音と静寂から打って変わって、喧騒が耳に飛び込んでくる。


『24番ドックに入港中のお客様にご連絡です、配達予定のお荷物が到着しました、繰り返します、24番ドックに入港中のお客様――――』


修理中らしい船の周囲を、忙しなく飛び回る修理用ドローンも見えた。

それを尻目に、俺は移動用リフトに乗り、オリオンが入港している80番ドックに向かう。

この時間帯は人通りがそれなりにあるらしく、入港している採掘艦の横で喋っている人たちや、採掘機を自分でメンテナンスしているらしい人間も見る。


「さて......」


すぐに仕事を探さないと、暇でしょうがなくなるが.....

あまり動くと、次の依頼が入った時に困る事になるな。


「そうだ」


アルは俺が仕事しているとき一人で寂しいだろうし、こういう暇なときにどこかに遊びに行くべきなんだろうな。

しかし、俺は父親の経験も母親の経験もないわけで、アルが楽しめそうな場所が分からない。

こういう時はどうしたらいいものか。


「.....本人に聞くか」


丁度、リフトがオリオンの前に着く。

俺はリフトを停めると、オリオンの乗降タラップに近づく。

遠隔で降ろせるのがいいよな。

オリオンに戻った俺は、私室で他所行きから室内着に着替え、ブリッジに向かう。


「アルー、いる?」

「はーい」


声はいつもと違う場所から聞こえた。

俺がそこに向かうと、アルは俺の席にいた。

マーケットにアクセスしようとしたようだが、俺がパスワードをかけているから無駄だったようだ。


「何を買おうとしたのー?」

「な、なんでもない」


手を後ろ手に持っていき、顔だけ乗り出して尋ねると、アルは真っ赤になってそう言った。

可愛い。

そんな事を思ってしまって、少し自分が気持ち悪いなと自省する。


「アル、暫く暇になるんだけど.....どうする? どこか行きたいところある?」

「えっ、本当!?」

「うん、あまり遠くには行けないけど.....」

「一緒に.......何か食べたい!」

「.....いつもの事じゃない?」


いつも一緒に食べてるような。


「レストランとかに.....行きたい、かな」

「......なんだ、そういうことか」


普段の食事じゃ不満だったか....

まあ、仕方ない。

俺も、家で食う飯と外で食う飯は違うものだと認識している。

それに、お金持ちの家の子だからな。

いいものを食わせてやれないのは、個人的には情けないとは思っている。


「いいよ、今晩行こう」

「うんっ!」


料理のレパートリーを増やさないとな....

俺は静かに決意するのだった。

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