042-プラド艦隊同行2
採掘業務は、本当に退屈なモノだった。
ただ、それは向こうも同じのようで、しばらくすると通話に誘われた。
通話を繋げると、艦隊の数よりも多くの人間が参加していた。
『おーっす』
「こんにちは」
『お、女の子かよ!? 輸送艦乗りなんて野郎ばっかだと思ってたんだが』
やはりこういう反応か。
俺は若干の不快感を覚えるが、彼らが悪いわけじゃない。
俺個人の問題だ。
『自己紹介からしようぜ』
『おー、そうだな』
そして、内輪の流れがあるのだろう。
俺の反応を待たずに、自己紹介が始まる。
『まずは俺、プラド・アイメン。採掘艦サゴリアの艦長だ』
『自分は採掘艦シューディの艦長のライゼン・スクリム。よろしくな』
『同じく採掘艦シューディの機関士のイルゼ・サットルだ、シューディは旧型だから機関士が要るんだよ』
『買い替えろってか?』
『マサドライトの鉱脈でも発見できたらいいんだがね』
やっぱりマサドライトは、地球での金と同じくらいには価値のある鉱物のようだ。
俺は頷く。
フレデリカ・カストルという人物が、マサドライトを高く買ったのは、決して贔屓というわけでは無いらしい。
『まあ、こんなメンツでやってる』
「ご紹介ありがとうございます」
その後、採掘艦トーカの艦長ジジュネン・タリアと副艦長のドルザ・クイモナ、採掘艦イハイネの艦長ラック・レイトス、採掘艦ディーオの艦長ウ・サ・リオナ、採掘艦シュバの艦長ダットナン・セーベルが挨拶を終え、新人だという採掘フリゲート「アルバス」「サピオラ」の艦長ルーク・ダンぺとリオ・ズダナの二人が自己紹介を終えた。
「では...私は輸送艦オリオン艦長のリリー・シノです。以後お見知り置きを」
俺も自己紹介を行い、空気が一気に軽いものへと変わる。
流石に男所帯だけあり、地球でボイスチャットでゲームをしている時に、女性が入ってきた時のような歓迎ぶりだが...疎外感は感じる。
俺は別に、仲間に加わりたいとかそういうわけではないが、明確に「違う」と思われているのは納得がいかない。
ただ、理解が出来ないわけではない。
『シノさんは普段何してるんです? その艦...オリオンって中型ですし、採掘艦隊付きではないでしょ?』
「普段は衣料品や食料品などの雑貨を仕入れて運んで売ってますね」
『あーなるほどな、折角こんなところまで来たんだから、チャレンジみたいな感じか』
『こんなところって』
『間違ってはいないだろ?』
俺だって、もし女性と話す機会があったとして、もし拒絶されたり地雷を踏んだりすれば、野郎に嫌われるよりショックを受ける事になる。
何故かは知らない。
人間の本能なんだろうか?
「あの、」
俺がそう言いかけた時、目の前のセンサーモニターに変化が現れる。
放出された鉱石に対して、戦闘コンピュータが回収するか否かを尋ねてきている。
俺はそれを回収するように指示し、飛んでいった作業用ドローンが鉱石を回収して鉱石カーゴスペースに収容する。
『えらく手際がいいな、他星系での経験もあるのか?』
「いえ、そういうわけじゃないですよ」
『あんまり聞くなよ、失礼だろ』
これが同性同士であったなら、どんな会話になっただろうか。
俺は若干の違和感を感じつつ、時を過ごすのだった。
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