004-ゲートジャンプ
「.....よし」
俺は浴室へと入った。
シャワー室が三つ、奥にそこそこ広い大浴槽が存在する、狭くもなく広くもない浴室だ。
服を脱いで、浴室へと入る。
「.....」
あまり下を見ないようにシャワーを浴びて、逃げるように浴槽へと足を踏み入れる。
そこで初めて、髪をまだ纏めていたことに気づいた。
ヘアバンドを外して投げ捨て、そのまま湯に身を沈める。
「.......」
割と時間がないが、3分くらいはこうしていてもいいだろう。
ふと、上を向く。
何がとは言わないが、脂肪の塊が浮いてきたからだ。
天井の灯り...嵌め込まれた蛍光灯のようなものを眺めながら、懸命にそれから目を逸らす。
俺は断じて巨派では...というより、見る専であって欲しかったわけでは無い。
「はぁ...」
3分数えて、浴槽から上がる。
頑張って髪を洗い、身体も洗う。
「よし、出よう」
身体を直視せずにどう身体を拭こうかと考えていた俺だったが、風呂と脱衣所の敷居を跨いだ瞬間、その懸念は解消された。
付着した水分がまとめて剥がれ落ちたような感触で、髪もしなやかさと湿度を保つ程度に乾いていた。
「凄いな...SFってのは...」
その後、レプリケーターという製作装置を使って、俺の今の体でも入る服を作成する。
普通の服だと胸もケツも入らないからな。
「女子って大変なんだな...」
見よう見真似で体裁を整えるだけでも、10分くらい掛かった。
俺は急ぎ足でブリッジへと上がる。
「目的地まで4分...か」
人と会うのに不快な格好でなければいいんだが。
なにしろ、国が違えば常識も違う。
星や世界が変わってしまえば、この格好でも全裸くらい破廉恥に映るかもしれないのだ。
「...問題はないか?」
ネットを使い、この世界の常識的に大丈夫そうだと確認した直後。
ワープ空間から抜けたオリオンが、「ゲート」と呼ばれる設備の前で停止した。
「これは...」
確かに、「ゲート」だ。
円環が複数連なった形状をしていて、真ん中には白い光が奥へ向かって流れている。
「どうやってアクセスすれば...あ、出来た」
ゲートコントロールシステム...どうやら、一般人でも操作できるようだ。
しかし、向こうの状況まではわからなかった。
俺はゲートコントロールをフェーズ2に移行して、オリオンと「ゲート」をつなげる。
ゲートに捉えられたオリオンは光に包まれ、次の瞬間。
「ここが...ゲートの先か」
俺は、オリオンは、その先へと飛んでいたのであった。
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