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029-リュックを背負った獅子が目覚める

『敵艦の武装展開を確認した』

「ふん、愚かな奴め」


艦隊の中にいた偵察艦の中で。

一人の男が薄ら笑いを浮かべて言った。

デュールの部下であるアリコンである。

包囲射撃を受けるオリオンが、彼の目には映っていた。


「戦艦相手に輸送艦が長く持つはずもない。粗野な海賊に依頼するなど狂気の沙汰だが、悪くない取引だったな」


アリコンは満足げに息を吐く。

追手をかわした輸送艦は、ここで墜ちるのだ。

凡愚のデュールを操り、ビアトール・インダストリアルが王国の、ひいては宇宙の覇権を握る。

そんな計画が彼の脳内で反響していた。


『戦闘モードに移行完了。ミサイルランチャー発射管展開』


オリオンが変形し、甲板の中央部――――ジグザグに切れ目が入っているのが見える場所が、奥から前面に向けて順番に開いていく。

その一つ一つが、ミサイル発射管なのだ。

直後、何の兆候もなく、ミサイル発射管から同時に何かが飛び出す。


『敵のフリゲート艦四隻をターゲットに指定します。絶対距離・角速度・加速度修正適用』


オリオンの戦闘コンピューターが自動でミサイルの軌道を修正し、船の上空に飛び出したミサイルは、統率された動きでそれぞれが分散、標的のフリゲートに牙を剥く。


『何だ、あの数のミサイル!?』

『迎撃しろ!』


フリゲート艦は一斉に射撃を開始する。

だが、ミサイルが速すぎる。

標的との絶対距離に合わせて、推進剤を一切無駄にしない加速を見せるミサイルは、射撃を振り切ってフリゲート艦に直撃した。

フリゲート艦は反対方向に速度を上げようとするが、二発目のミサイルがシールドを破壊した。

三発目で致命傷を負い、四発目で爆散する。


『ダルクがやられた!』

『ビビんじゃねえ、ちょっと速いがラムアタックだ!』


艦隊は速度を上げ、オリオンに迫る。

それをブリッジで見ていたリリーは――――


「シールド展開!」


シールドを展開した。

展開されたシールドが力場を形成し、砲撃と向かってくる艦からオリオンを守る。

分厚い壁に衝突する格好になったフリゲート艦は、潰れた空き缶のようになって爆散する。

ギリギリで逃れた艦も、ミサイルの餌食になる。


『大型モノ・レーザータレット起動。射程圏内の駆逐艦を排除します』


オリオンの前面甲板に搭載された砲塔のコンシールド(武装を隠しておくための偽装装甲)が収容され、内部から戦艦級のレーザータレットが姿を現す。

それらは単装故に長大な射程と極大の威力を持つ。

無慈悲に斉射されたビームの束が、駆逐艦を次々と貫いていく。

戦艦級のビームの前では、駆逐艦程度のシールド出力では相手にもならないのだ。


『な、何だコイツは.....』


首領は驚愕に満ちた表情を浮かべていた。

今までの輸送艦の常識には全く当て嵌まらない獲物であった。


『ふ....ふざけんじゃねぇ、この程度で諦めてたまるか!』


部下に命令し、海賊の戦艦は近距離用の弾薬に換装。

最大船速でオリオンに接近する。

そして、全武装でオリオンに決戦を挑む。

彼等の中には焦りがあった。

始末できなければ、前金どころか命が危ない。


『敵艦総数、22に減少。巡洋艦をプライマリー・ターゲットに指定』


巡洋艦二隻も必死に砲撃していたが、オルトス艦とオリオンのシールドは仕組みが違う。

シールド容量を突破されるとシールドが維持できなくなるオルトス艦と違い、オリオンのシールドは「展開されている間は突破できない」ものなのだ。


『セントリードローン展開します』


相手を始末しきれないと判断した戦闘コンピューターは、オリオンの周囲にセントリードローンを展開する。

メインの推進機構を持たず、姿勢制御スラスターのみで稼働する特殊なドローンであり、長大な射程と、流体プラズマナノビームという、高速で動く対象に対して有効な武装を持ち合わせている。


『行け行け!』


戦いはまだ終わらず、オリオンに向かって多くの艦が突撃をかけ続けていた。


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