240-衣装問題。
『絶対ダメです!!』
ペルソナの声が、ホテルの部屋に響く。
なぜこうなったかといえば、俺が皇室から送られて来た当日の衣装をペルソナに見せたからだ。
通信は軌道上のステーションからのものだが、ラグは一切ない。
「なんで? 別に派手って訳でもないでしょ」
『ダメです、露出度が高すぎます。帝国ではどうだかわかりませんが....王国だと殆ど娼婦同然ですよ』
「うーん....」
ただ、皇室から送られて来たモノであるのは間違いない。
これを着ないで当日出席するのはまずいだろうな。
「皇帝に相談したいけど、そんなに仲いいわけでもないしね」
『ナスカ様にご相談されては?』
「.......」
死んでも嫌だ。
だが、現状はそうするしかないか。
少なくとも、改めて着てみてわかった。
俺もこれを着て表に出るのは嫌だ。
俺で嫌なんだから、女性ならもっと嫌だろう。
『ん? リリーかよ、どうした』
「実は....」
俺は仕方なく、ナスカに連絡する。
渡した携帯電話をまだ使っていることに驚いたが、たまたま持っていただけだろう。
事情を説明すると、ナスカは、
『ああー...成程な、大丈夫だぜ、俺が何とかしてやるよ』
「ありがとう」
『どうせ貴族共の忖度だぜ、リアシュはそんなもん着る事を望んじゃいねーしな、英雄っぽい服でいいな?』
「いいけど、私のスリーサイズ知ってるの?」
『知らねーけど、皇室権限で何とかする! じゃあな!』
電話は切れた。
これでは不安しかない。
ただ、何とかはなりそうだ。
「....英雄っぽい服装でってお願いした」
『なんですか、それ....』
「露出少なそうだし、マシじゃないかな」
俺は着ていた服を脱ぐ。
皇帝の望んだ服装じゃないなら、これを俺に着せてどうしようというのだろうか....
娼婦同然って相当だぞ。
皇室が送り主なら受け取ってもらえると思ったのか?
「まあいいか」
一生着る事が無いだろう服は丁寧に畳んで箱に戻す。
いつものジャージに着替えて、ナスカを待つ。
だが、
「皇室からの送付物です」
「ありがとう」
本人が来ることはなかった。
当然か、皇族はそうそう動けないだろう。
俺もあまり顔を合わせたくない、気まずい。
「うん、こっちはマシかも」
『男ものじゃないですか?』
「インナーは女性用だね、胸も大丈夫」
こういう衣装、前世のウェブコミックで見たぞ。
本来なら肩幅と腹筋が強調される服装だが、英雄っぽいという注文には合っている。
この短時間でよく見つけてきたな、こんなもん。
「帯剣したら完璧に騎士じゃない、これ」
『ええまあ...なりたいんですか?』
「いや、全然」
剣は重いだろうし、この身体で持てるとは思えない。
というか、剣で人を斬るのはオリオンで船を落とすよりもっと嫌だ。
まあ、とにかく服装は何とかなった。
「ブーツも付いてるね、用意がいい」
『男ものじゃないですか?』
「うーん、タイツ履けば大丈夫」
格好がつけばいいんだ、格好がつけば。
俺は頷き、衣装をしまった。
↓小説家になろう 勝手にランキング投票お願いします。




