235-サルバン星系へ
ガイラ星系は、首都サルバンへの直通だ。
ただし、今回の俺たちはそのままサルバンへ向かう事はない。
オリオンは事前に指定された座標へとワープしている。
「それにしても、本当に慣れない」
「それほどのことなんだぜ、帝国内ではな」
俺は溜息を吐く。
ナスカはそう言うが、近衛艦隊が出迎えに来るって相当なんだよな。
そこまで凄いことをした自覚はない。
ただ、断ると気まずいからここまで来ただけだ。
「でも、帝国の艦隊を間近に見れるんですから、幸運と思っていいんじゃないでしょうか?」
「確かに」
帝国の艦隊は確かに、王国と戦争にならない限りは見れないだろうな。
まあ、見れたからなんだという話ではあるのだが。
帝国への物資輸出の情報収集としてなら、合法的に船をスキャンできるこの機会は有益かもしれない。
「アルは今どうしてる?」
「指示通り、部屋でゲームをして待機していますよ」
「了解」
アルはなるべく見せない方針で行く。
そもそも表に出るべきなのは俺だしな。
「それにしても、インターネットの様子が変だなぁ」
元々変ではあったが。
マーケットツールは共通らしいが、SNSのようなアプリは共通ではなく情報を拾えなかった。
ナスカも知らなかったので(なんで知らないかは謎だが)、ペルソナに調べてもらってインストールしている。
だが、SNSも障害か何かなのか、アクセスできない。
リレー通信を拾っているはずなので、どこかで途切れていても拾えるはずなのだが....
「情報封鎖してんじゃねえの?」
「あー...あり得るかも」
王国だと起こりえない事だ。
政府より企業間の勢力の方がメディア的には強いからだ。
封鎖しようにも難しいと、ジュディから聞いたことがある。
「皇帝の暗部の命令なら、逆らえる奴はいねえ」
「なんで知ってるのさ」
「誰でも知ってる事だぜ?」
そうか?
まあいいか。
ワープの終了まで残り5分だ。
昼飯は軽く済ませた、これからの事を考えると胃痛がする。
俺はコンソール下の小物入れから胃薬を出して飲む。
「そういえば、ワープレーンとワープトンネルって干渉しないの?」
「しませんよ? そもそも形式が違いますし...」
話すネタもついに尽きて、俺はペルソナと埒のない無い話をする。
ナスカが欠伸する声が聞こえる。
そもそも、こいつは何なんだ。
これから近衛艦隊と合流だっていうのに、バカでも緊張する場面だろう。
度量があるのか大物なのか、判断に困るな。
「そういえばナスカって、家族はいるの?」
「ああ」
「それはよかった、支払い能力はあるんじゃん」
「そりゃな、俺は多分殴られるけど」
殴られるで済めばいいが。
追放刑になるようなろくでなしが借金を抱えて帰ってきたら、普通は半殺しだ。
こんな厄介者を抱えて、両親やいればの話だが兄弟は迷惑だろうな。
そんな事を思いつつ、俺は流れていく風景に目をやる。
「ワープ終了まで残り10秒」
そして、ワープが明ける。
明けると同時に、巨大な艦が二隻目に入る。
上から見て逆八の字にこちらを向いている。
あの大きさは、主力艦だろうか。
その中間に、凄まじい数の艦が待機していた。
全て、綺麗に整列しているが。
「発光信号を確認。”これより貴艦は近衛艦隊に合流し、共にサルバンへのゲートへ向けて光速フィールドによる光速航行に入る”です」
「光速フィールドねぇ....」
知らない技術だ。
俺は頷きつつ、シールドを張っておけば大丈夫かと納得した。
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