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016-アツアツ航路

ゲートを抜けた先は、ポリャニスティム星系だった。

さて、ここからが勝負どころだ。


「ワープ開始」


オリオンをワープさせると同時に、船体は滑り出し、ワープトンネルの中を駆け抜ける。

ワープ距離を調整したので、「その場所」の眼前へと出る事が出来た。


「ひゃ.....」


ポリャニスティム星系は、元々は小さい太陽を持つ星系だったのだけれど、ある日突然太陽が膨張、崩壊は免れたものの、放たれた熱量はそのまま残存し、高温のガスフィールドとして商路に立ちふさがったのだ。

当然、この高温ガスのフィールドに入ってしまえば、中の人間は長く生存できない。

それを回避する手段は、唯一ガスフィールドの存在しない、道中の惑星二つを経由するほかない。

スイングバイで加速しつつ、惑星と惑星の間を渡っていかないと辿り付けない。

けれど、この船なら.....


「ワープ開始!」


オリオンはワープへと入る。

ワープ時間は約六時間。

もし、六時間後眠っていたら......俺の命は無いだろう。


「...ハッ!?」


うとうとしていた所で急に目覚めた。

まだ5分しか経っていない。


「...商品整理でもするかぁ」


コンテナに入った商品の中身を整理する。

小型スキャナーで中身をチェックして、データ通りか確認してからコンテナを移動させて整理する。

地味な作業だが、六時間を過ごすのには丁度いい。


「虚無だ...」


ワープ中が一番辛い。

他に船員がいればいいんだが、男は気は合うが信用ならないし、女性は女性で変に遠慮してしまいそうだ。

マサドライトが売れたら、船体操作用のロボットでも雇おうかな...


「経った」

『ワープ終了まで残り30秒』

「経ったぞおおおお!」


そんなことを考えながら六時間が経ったのを確認した俺は、急いでブリッジに向かう。

ワープトンネルから船が抜けると同時に、シールドを展開して船をそれらから守る。

熱が船体に届く前に、シールドでそれを防いだ。


『シールド展開時間:24:49』

「次の場所にワープ開始っと」


シールドセルは残り9個。

船を先へと向けてワープする。

ワープ中は熱を気にする必要はないが、展開時間は最大25分なのでワープ開けまでは展開できない。


「また六時間...」


六時間何をして過ごせばいいのか。

結局、それは読書に収束する。


「そういえばラジオもあったっけ」


艦についているラジオで音声を拾ってみるが、聞こえるのは雑音だけである。

基地局から離れ過ぎてるせいかもしれない。


「一瞬でワープが終わるゲーム内って、意外とすごかったんだな」


呟いてみるが、六時間の拷問は終わらない。

仕方ないので、この世界に来てから一度も清掃していないブリッジを掃除することにした。

意外と毛やら埃やらは落ちるもので、俺はそれらを纏めてダストボックスに放り捨てた。

残り三時間。


「三時間で何か作るか...」


と言っても、三時間で軽く作れるものは少ない。

料理舐めんなって感じだ。

スイーツでも作るか?


「材料系は揃ってるんだよな...」


牛乳、砂糖、小麦粉、果物類と基本は揃ってる上、ホイップクリームも自作できる素材は揃っている。

ナマモノから焼き菓子まで、なんでも作れるだろう。

とりあえず、クッキーでも焼いておくか。


「危なっ、い! シールド展開!」


三時間後、クッキーの代わりに焼かれる前にシールドを展開。

流石に寝ずに次のワープは行えない....

付近にアステロイドベルトはない。


「一徹で行こう....」


エナジードリンクを飲み干し、再びワープする。

とにかく暇なので、ザワークラウトを作って時間を潰す。

寝不足で刃物を使うのは危ないんだが、それを考える余裕もなかった。


「シールド...」


シールドを張って、最後のワープを行う。

全部で四回だから、往復分はあるかな。

シールドセル自体は時間さえあれば艦内で製造出来るので、仮に足りなくても現地にしばらく留まればいい。


「ふわぁ...寝るか」


入港するまで油断はできないが、とりあえず一難去ったと思っていいだろう。

適当に作ったザワークラウトの使い道を考えないと。

俺は六時間後にタイマーをセットすると、コンソールに突っ伏して眠った。


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