015-平和って退屈とセットだよね
戦闘艦と違って、オリオンのワープ速度は大したことがない。
なので、この船は普通に居住空間が作られているわけだ。
いつもとそう変わらない、のだが....
「うーん....パスタは飽きたな」
マカロニと普通のパスタを繰り返していたのだが...だんだん飽きてきた。
こんなもん俺一人で消費できる備蓄量ではないので、諦めて米を炊いてみる事にした。
自動調理器に研いだ米を放り込み、炊けるまで待つ。
自動調理器は複数あるが、自分の腕を信じたいのでその間に野菜炒めとみそ汁も作る。
「うーん、うまい」
味噌は切れたらもう補充出来ないが...
ちゃんと俺のよく知る白味噌で、深い味わいが出る。
もやしとキャベツと多分豚肉を順番に炒めて作り、炊けたご飯を頂く。
宇宙でもこの辺は変わらなくていいな。
俺はおかずを先に食ってしまうタイプなので、二杯目は塩を振って食べる。
皿を洗って、ブリッジに戻った。
「....はぁ、まだか」
到着まで二時間ほど。
次はハヴストラ星系で、ポリャニスティム星系まで後ゲート二つだ。
途中でトイレに行きたくなったらどうしようかと考えつつ、倉庫から持ってきたドリンクを冷蔵庫に入れる。
カチコチに凍っているが、冷蔵庫に入れれば自然に解凍される。
やる事も無いので、ブリッジに座りながら航海日誌を書く。
「...あ」
そして、オリオンはワープアウトした。
ゲートの側には星系軍の警備艦隊と、これからジャンプするらしい輸送艦が浮いていた。
すぐにこちらも、ゲートのジャンプ装置にアクセスしてジャンプする。
反対側には、ビリっけつの輸送艦を待っていたらしい輸送艦隊が待機していて、一緒にワープしていく。
一隻一隻の船が大きいから、ポリャニスティム星系行きでは無いな。
俺も船をポリャニスティム星系へのジャンプゲートへと向ける。
「ワープ開始っと」
船は滑るようにワープへ入る。
ハヴストラ星系は特徴のない星系で、惑星が三つしかないというだけの星系だ。
恒星の色は紫で、ハイ・セキュリティ宙域と呼ばれる安全度の高い星系だ。
ハイ・セキュリティの領域には海賊は殆どいないので、オリオンでも安全に航行出来るはずだ。
「娯楽がないのは問題だな」
この世界にもゲームはあるのだろうか。
そういうのがあれば、ワープ中でも暇を持て余さないんだが...
一応、この船のマニュアルを読んで時間を潰す。
満腹なのもあって、眠くなるしな。
襲撃された時、起きれないと終わりだ。
「...マサドライトはどうなったかな」
ワープ中はネットワークに接続出来ない。
立ち止まるのは襲ってくれと言っているようなものだから、更新できたマーケットデータだけを見る。
マサドライトの売却注文に対して購入注文が複数出ている。
いい兆候だ。
「そもそも、この世界のマサドライトの用途がな....」
マサドライト自体は、実は用途が非常に限られる。
装甲材としての利用手段が主で、他は集積回路などに使われる。
ナノマシンの通過効率がよく、通電性も良いからだ。
「軍に売り払うのも手か.....」
ジュディはどうも高い地位にいるみたいだし、軍とのコネもありそうだ。
その道から、軍に声をかけてみるのもいいかもしれない。
そもそも、地理の知識がほとんどない。
それに今気づいた。
「敵対国家くらいは分かるんだが....」
現在所属しているオルトス王国は、ホーエンティア帝国、ビージアイナ帝国、ヴァンデッタ帝国と敵対している。
積極的に敵対しているのはビージアイナ帝国だ。
だから、戦争に使う資源は常に欲しているだろう。
「あー、やめやめ」
考え出したら終わらない。
俺は考えるのをやめて、眠い頭を冷たいドリンクを流し込む事で覚醒させるのであった。
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