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014-別の仕事

そういうわけで、商談は成立した。

後はマサドライトの売却量について考えるだけである。

あまり多くを一度に流すと、足元を見られかねない。

そうならないようにペール商会側も調節するだろうが、一度買い取ったとしても買取額を回収出来るかはわからないだろう。

そこで、俺はとある案を思い付いた。


『Judy:各地で、ですか?』

『Lily:はい、この領土以外の各地にも情報を流し、購入者を増やせばいいのです』

『Judy:なるほど、しかしそれでは不都合が起きるのではないでしょうか? あなたの詳細が洗われる可能性が...』

『Lily:私の故郷にまで捜索の手を伸ばすことはできないでしょう』

『Judy:とりあえず、やってみましょうか』


というわけで、各地で噂を流すことで買い手を集めようという算段である。

あまり派手にやるとコーポレーションに目を付けられるが、噂程度なら動かないそうだから問題はない...はずだ。

そういうわけで、俺は俺が元々やろうとしていたことをやる事にした。


「よーし、来た来た」


人気の炭酸飲料と、食料品数種類。

マサドライトはミネラル(精錬済み鉱物)なので、多種類のカーゴスペースを持つオリオンなら、それらを持ったまま余裕で運べる。

勿論数kgという量では大した金にもならない。

輸送の難しい地域で割高で売却するために、大量に購入して積載する。

SELLのメンバーになった時点で、オリオンがカーゴベイに充分な保管性能を持っている事は情報照会さえすれば保証されるので、売り先はいくらでもある。

念の為目的地への依頼が受けられていないか確認した上で、俺はオリオンを出航させる支度をする。


「目的地は...Polyanistim...へっと」


目的地はポリャニスティム星系。

ここからゲートの距離的にはあまり遠くないが、とある理由から交通量は異常に少ない。

恐らく、ものすごく感謝されるはずだ。

ただし何度も使える手ではないが。

何度もやると、従来の輸送業者が困ってしまうからな。

立つ鳥跡を濁さず、だ。


『Lily:今から四日程、輸送に出ます』

『Judy:分かりました、お待ちしております』


俺はジュディに連絡を入れ、艦橋の操作パネルを操作して出航準備を行う。

航行はオートパイロットに設定、出航まではマニュアル操作で行く。

レーダーとスキャン装備の再設定を終わらせて、機関を再始動させた。

水素燃料のゲージが減りつつ、駆動音が響いてくる。


「こちら輸送艦オリオン、SELL所属のリリー・シノです。出航したいのですが、誘導願えますか?」

『こちらステーション管制室、申請を受諾します。誘導灯に従って出航してください』


俺は船体下部を固定していたガントリーが外れる音を聞く。

ここはまだハンガーベイなので、空気があるから音が聞こえるのだ。

船をゆっくり浮上させて、各所のスラスターをうまく使いつつ、狭いハンガーベイから出る。

ステーションには、薄いベールのようなフィールドで守られている入り口があって、そこを通ることでエアロックなどの処置を取らずに船は宇宙に出られるらしい。


「おっと」


入り口は出ようとする輸送艦で埋まっていた。

ぶつかられそうになりつつ、速度を上げて離脱した。


「さてと.....ジャンプドライブは.....やめとくか」


ジャンプドライブの使用にはエナジーセルと呼ばれる特殊な燃料が必要になる。

これ自体は艦内の作業室で作れる(純粋エネルギーと化合物の組み合わせのため)が、最大チャージ数は三回ぶんで、ジャンプドライブの稼働中と冷却中は交換できない。

この船はまともな戦闘能力が無いので、もし襲撃されると厳しい。

ジャンプドライブの起動には準備が必要で、もしジャンプ先で襲われるとどうしようもないからだ。

そうなると...ポリャニスティムはここから4ゲートジャンプ先である。

近い...んだが、まあ高く売れるだろう理由は現地に行けばわかる。

俺は船をワープへと移行させるのであった。


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