117-ハナテック・企業エキシビション3
一時間後。
色々見て回った俺たちは、まだ見ていなかった場所を見に行くことにした。
戦闘用、産業用のブースを過ぎれば、次は民間用だ。
今までが民間用じゃなかったのか、と思ったが、要するに「個人でもギリギリ払えなくもない価格帯」のものだ。
例えば......
「あ、あれって」
「ホテルのだ! ......ちょっと形違うけど」
「恐らくは別メーカーのものかと思われますね、ハナテックには高級志向の傘下メーカーであるサグラテックがありますので、そちらの可能性も」
それ桜じゃないのか?
まあいいか。
俺たちを出迎えたのは、ホテルステーションととても似た形状の模型だった。
錠剤のカプセルみたいな主軸の周囲に、リング状の構造が見えている。
「そういえば、あの構造って何に使うんだろ? 慣性制御はもう実現してるから、回転させる必要はないよね?」
「ファッションです!」
「ファッションなんだ....」
大体の構造物に一つはついているので、何か重要な機構かと思ったのだが。
ファッションなのか.....
こういう時、おそらくペルソナは冗談を言わないだろうしな。
「デザイナーが趣味で入れることが多いのですが、スペースとしての活用も可能ですよ」
「ふうん」
あのホテルの場合だと、どうなってるんだろうな?
俺が調べようとしたとき、
「お泊りのホテルの場合ですと、水族館になっているようです」
「水族館ねえ」
地球ですら、小学校の行事で行ったのが最後だ。
今度アルと行ってみよう。
次に行くと、
「あれ? これってスターゲート?」
「に似せて作られた別荘ストラクチャーですね、スターゲートは古代遺跡で複製も再現も現状の技術では不可能です」
「奇抜な趣味だね」
「でも...かっこいいと思う!」
そうか?
それにしても、スターゲートってそういう側面もあるんだな。
道理で各地にあるわけだ。
複製は出来ないということだ、外見はいくら似せられても、その機能はいまだ解析できていないという事なんだろうな。
「えっ、なにこれ?」
次の場所に向かおうとすると、色々なシャトルが集まっているのが見えた。
そこには巨大な模型はなく、似たような装置が等間隔に置かれていた。
「あれ! 何か撃ってる!」
「ああ、セントリーガンか」
「だけじゃないですよ! 色々な機能がある、小型のストラクチャたちですよ」
売り子みたいな熱心さのペルソナを放置して、俺は解説を次々に表示する。
『作業用小型構造物:残骸サルベージ器”ピットラス”』
『個人用倉庫構造物:採掘保管サイロ”プリートン”』
『監視用小型構造物:私有地監視装置”アピオネイラ”』
『設置式固定砲台:セントリーガン”ジビケ”』
なるほど、見事な程に個人用のものばかりだ。
アピオネイラは惑星持ちの企業や金持ちが使いそうな印象を受ける。
「さて、どうする? もう一回見て回る?」
「うん!」
「もう一度回った方が楽しめると思います!」
もう見ていないところはなくなったが、アルとペルソナはまだ見る気らしい。
俺は操縦をペルソナに預け、改めてエキシビション会場を見て回る事にした。
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