114-企業エキシビション日程決め
さて、怪しい話を聞いてしまったわけだが。
まだまだ観光はこれからだ。
インナーリウムでは買い物をメインに進めてきたが、そもそもが企業のエキシビションを見るために来たわけだ。
アイネマンの時はガイドに尋ねる必要があったが、今はオリオンのメインコンピューターの演算リソースを使う事も出来るペルソナが居る。
予定を組んでもらうのも、簡単なことだ。
「まずは企業エキシビジョンを体験するという意味でも、最初にハナテックをお勧めしたいです」
「どういう展示なの?」
「ハナテックはストラクチャ構造物の製造・流通に携わる企業ですから、ストラクチャ装備や形状維持技術の展示などが見れますね」
なるほどな。
いつか自分の城を構えるのなら、参考になる部分もあるだろうか。
「ロー・セキュリティにあるステーションや、企業戦争地帯にあるシタデル(戦争特化型の構造物)なども見ることができるはずですよ」
「企業戦争か...」
アルを巡って現在起こっている企業戦争。
他人事ではないな。
「また、ハナテックは主力艦の中でも城塞攻撃に特化した“攻城艦”を民間向けにも販売しており、あまりよくは思われてないようですね」
「それはそうだね」
セキュリティソフトを売っている会社がウイルスも売っていたら、どう思われるかなど考えなくてもわかる。
城塞を売り、攻城艦を売り。
死の商人と呼ばれていそうな企業だ。
「アルはどう? 興味ある?」
「うん!」
アルは最先端の技術というものに興味津々だ。
理解できなくもない、昔の俺もそうだった。
科学と付く博物館に学校行事で行くときは、楽しみで眠れなかったほどだ。
「次はどうしようかな」
「イザリオ・バイオテックなどはどうですか? 同ステーションには野菜を使ったレストランも多いので、そこで昼食を摂ってから向かうというプランも提案できますよ」
「あっいいね、それ」
バイオテックか。
つまり、バイオ技術の展示ということになる。
オリオンにあるレプリケーターのようなものだろうか。
一度も使ったことがないんだよな。
「この世界には、まだまだ知らない野菜が多いからねえ」
「すっごく楽しみ...だけどリリーさん、野菜だけでお腹いっぱいになるかな?」
「なるよ、食べてみればわかるから」
今すぐ山盛りの野菜を出してやろうかと思ったが、考慮なく盛られた野菜は美しくない、だ。
どうせ山盛りにするなら拘らなくては。
「ごほん、最後は.....エェヘルドンナ・シップメーカーです」
「エーヘルドンナ?」
「エェヘル、です」
すごい名前のが来たな...
とはいえ、わざわざペルソナが紹介するならば、決して無駄ではないのだろう。
「アルが興味がありそうな分野だけど、何があるの?」
「高速シャトルの試作品の展示などがメインですね」
「高速シャトル?」
「スプリットシップと呼ばれている、アンドロイド反乱戦争の末期に開発された特攻艦をリバースエンジニアリングし、速度だけに割り振ったシャトルですね」
アンドロイド反乱戦争って。
まあ、ペルソナからすれば過去のことなんだろうな。
後で調べておくか。
「工場とは違うものが見れそうだね」
「ええ、シップヤードではなくシップメーカーですからね」
製造屋の場所は見たが、設計屋の仕事はまだ見ていない。
どのようなものがあるかは見てみなければわからないだろうな。
不安はあるが、今は楽しもう。
「予約は必要?」
「いえ、自由参加ですので....混みあいますが、二日後なら統計上は空きが出る筈です」
「分かった」
二日後に出かけよう。
俺はアルを交えてペルソナと、綿密な計画を練るのであった。
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