111-ドローン新調
ブライダス直営店を出た俺たちは、最後にエスカーテ・ドローンメーカーのクラリウム直営店へ向かった。
理由は単純。
今までのオリオン基準搭載のドローンでは、多目的になりつつある任務に対応できないと以前より思っていたからだ。
最低でも採掘ドローンは欲しい。
作業用ドローンは、もう少し繊細な作業ができるものを。
「まあ、ペルソナに頼めば探す必要はないんだけどね」
「常に主人の望むものを用意するのが、助手アンドロイドの務めですので!」
店内に入った俺たちは、アンドロイドに話しかけて即注文をかける。
この店は持ち帰るタイプの店ではなく、受注生産か在庫に検索をかけてその場で決済、配送タイプの店舗だからだろう。
『ご注文は、DR-511型作業用ドローンとPC21-544型採掘ドローン、GGD-VACNA型攻撃ドローンをそれぞれ40、10、50でよろしいでしょうか?』
「ええ」
別に確認するべきところもない。
俺と駄弁っている間、ペルソナの頭脳の中では複数の処理が並列で行われている。
彼女は常に俺の求めるものを知っていて、俺がいつその質問を口にするかを待ち構えているようだ。
元気さと単純さという性格の裏には、恐ろしいほど冷徹な計算が潜んでいる。
まあいいが。
「暇になったなあ...ペルソナはモノを食べられないから、一緒に楽しめそうな所も限られるし...」
予想外に時間が余った。
このまま帰るのも何だかなという時刻だ。
「私に配慮する必要はないですよ、リリー様! 一緒にいられるだけで、幸せです!」
「...そっか」
俺はアルを思い出す。
彼は一人でオリオンの中で待っているはずだ。
アルを置いて、ペルソナと二人で楽しむというのは何か間違っているだろう。
だからこそ...
「一回オリオンに戻って、アルを呼んでこよう。三人でどこかでご飯でも食べればいいし」
「いい考えだと思います! では、評価の高いレストランを探してみますね!」
「うん」
俺は踵を返し、ペルソナと共にドックへ繋がる通路へと戻る。
だが、何だか騒がしい。
「どうしたんだろう?」
「大量の入港申請があったようですね、作業員が一斉に移動しています」
「そんなことまで」
「ふふん、私は地獄耳です!」
恐らく、ステーションのアナウンスを聞き取ったんだろうな。
俺は反対方向へ向かう人の群れを眺めつつ、ドックへ戻る。
既にオリオンの周囲にはコンテナが積み上がっている。
盗まれないのかと思ったが、そもそもIDで管理されてるんだったな。
「悪いね、すぐに仲間を増やして」
「いえいえ、むしろ部下が増えてうれしいです!」
巨大コンテナの中には、ペルソナ用のアウターメイルと数時間前に購入した制圧ボットが入っている。
ドローンはまだ届いていないようだな。
「ご飯食べてる間に届けばいいけど」
「滞在期間はありませんし、このまま明日まで待つのもいいかもしれないですね!」
「だね」
とにかくこのままでは中に入れる事も出来ない。
個包装ではなく巨大コンテナでひとまとめだからな....
作業用ドローンが届いて、それからにしよう。
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