109-L A Z E R H A W K S
「ダメだ、グリップが手に合わない」
「これなんかどうですか?」
「うーん...ちょっと重いかなぁ」
「でも、射撃アシスト付きですよ? 護身用くらいなら...」
一時間後。
俺たちは、銃器を扱う専門店『ビニシメ』を訪れていた。
こちらはクシトラ人の町工場と王国の武器メーカーが統合して生まれたメーカーで、質の高い銃器が手に入るらしい。
実弾からレーザーを使う銃まで揃うというので、選んだ。
今は射撃訓練場で俺が使うレーザーガンを選ぶところだった。
ハンドガンの方が軽いのだが、手入れが難しい上宇宙空間では使えないものも多いので、レーザーガンとなったんだが...
予想以上に重い。
「軽量化できないのかな」
「素材に使われている変調クリスタルが重量の大半を占めていますからね...」
「なんとか腕に固定できたら、重くてもいいんだけど」
何か、こう...松葉杖の先端のような形状の、銃を腕に固定する器具があった気がする。
いや、アレはライフル専用か...
「用途を絞るのでしたら、軽くすることもできますが...」
「具体的には?」
「まず、長期戦を想定すればするほどクリスタルは重厚になります。それから、長射程を目指すと銃身自体の重量も。短射程かつすぐに使えなくなる想定なら、リリー様にぴったりなレーザーガンになるかもしれません!」
まさに「護身用」か。
恐らく10発撃てれば重畳レベルのものになるんだろう。
「まあ、私に高度な銃は要らないよ、いざという時、本当の最後の最後に撃てれば良いわけだし。だって、ペルソナがいるでしょ?」
「はいっ!!」
ペルソナが俺を守ってくれる限り、俺に武器はいらない。
それにこの後、制圧用ボットも買うのだから、艦内において発砲する機会は少ない方がいい。
リオナのような人間に銃を向けられた時、すぐに反撃できるならそれで。
「でしたら、こちらが良いかと!」
「これは?」
「BFS-082-F91、レイザーホークスです」
俺はペルソナが急いで棚から取ってきた実銃を受け取る。
今までのものより格段に軽い、それでも重いが、ずっと持っていられないほどではない。
「レーザートランサークリスタルは交換式で、付属するキットでチップへの加工が必須です」
「うん、これならいけると思う」
俺はレーザーホークスを構えて、撃つ。
悲しいくらいにエイム力が低いので、的の中心から5センチくらい離れたところに当たった。
演習火力なので、雑に扱っても怪我しなくて良いのが気楽で良いな。
肌に当たっても、軽い火傷で済む。
確かに性能は相応に悪いが、虚仮威しにはなりそうだ。
「それより、ペルソナの方は決まったの?」
「ええ、既に本機には推奨されているスペックの銃火器データがありますので!」
ペルソナは楽でいいな。
全てのスペックが計算で成り立っている以上は、そうなるのだろうが。
兵器には兵器が似合う、という事なのだろう。
「どれも軍用じゃない? これ」
「はい、そうです! その分整備性が高く、互換性も優秀ですよ」
「継戦性を重視って事ね」
「はい!」
大型四、中型三、小型六。
全て軍用の民用品か、軍用の横流し品だ。
横流しといっても、在庫の放出という公然のものだろうが。
「キットはつけてないものもあるんだね、予備は同じ大きさで共通だから不要って感じ?」
「そうです、部品の互換性が――――」
『お客さん、そろそろ後がつかえてるんで、早く決めていただけますか?』
ペルソナの声を遮るように、天井のスピーカーから声が降ってくる。
俺は購入する旨をペルソナに伝えると、銃器が全部入ったカゴをペルソナに渡す。
流石に俺は持てない、大型のレーザー兵器のせいで100kg越えだ。
「追加の購入はない?」
「大丈夫です! 今後使用感等を考慮して追加で購入するかもしれませんが.....」
「大事な主戦力だしね、お金は惜しまないよ」
では、次に行く場所を言おう。
俺は店員にオリオンの停泊している場所を伝え、ペルソナに向き合う。
「次はアンドロイドの武装を売ってる所に行くよ」
「えっ.....恐れながら、今の武装で充分ではないですか?」
「念には念を、だね。――――それにそこに行けば、戦闘用のボットも売ってるしね」
「なるほど!」
頷くペルソナ。
アンドロイドのパーツは既に全部そろっているが、武装はない。
外付けだけではなく、アンドロイドに装着、もしくはアンドロイドを接続する武装はそこでしか買えないのだ。
俺は再び、ペルソナと共に喧騒の中へ。
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