107-傭兵ステーションで武器探し
「というわけで、今日はペルソナの武器を探すよ」
「私の...ですか?」
俺はペルソナの前でそう宣言する。
緊急収入270万MSCの使い道を、俺は以前より決めかねていたことに使うことにした。
それは、俺自身の身を守る力の不足。
ペリメーターで15万MSCくらいで買ったレーザーガンは頼りないし、元から持っていたレーザーガンは俺には扱えない。
更に、ペルソナ自身のスペックを活かす事。
ペルソナは四肢を交換する事で、あらゆる事に対して特化できる。
その中に、戦闘用のものがあることを俺は把握していた。
ペルソナには武器が必要だとも、思った。
「ついでに私の武器と、制圧用ボット、作業用ドローンもね」
「それでしたら、私もお手伝いできると思います!」
ペルソナも嬉しそうに言った。
よし、行こう。
「あ、アルはお留守番ね」
「えっ、なんで!?」
「今日は武器を見に行くから、子供が入れない場所もあるんだ。ごめんね」
キッズスペースなどもなさそうなので、アルは置いていくことにした。
ペルソナに預けると、今度は俺一人になって武器選びが難しくなる。
「お昼は冷蔵庫にラップかけてあるから、温めて食べて」
「はーい...」
アルには悪いのだが、仕方ない所もある。
大人の世界ってやつだ。
流石に実武器がある場所に子供は連れて行けないのである。
「よし、じゃあ行こう」
俺は船を出航させる。
向かうのは、インナーリウムⅡにある傭兵支援マーケットステーション。
本来は用事のない場所だが...
「流石に戦闘艦が多いな」
ステーションの周囲には、無数の戦闘艦が飛行していた。
輸送艦用のドックはガラガラだったので、物凄く楽に入港できた。
アルを置いて、オリオンを完全に施錠。
いつもの服装で、ペルソナと共に外に出た。
「お気を付けを、傭兵は性的暴行事件の傾向が非常に高いです」
「ペルソナがいれば大丈夫でしょ」
「はい!」
ドック内を歩くだけで、ヒソヒソと喋る声が聞こえる。
視線も感じる。
だが、余計な反応をしなければ問題ない。
ペルソナの基礎能力で、成人男性くらいなら制圧できるからだ。
「傭兵は全体的にガラ悪いよね」
「詮のない言い方をしますと、結局は社会不適合者の吹き溜まりですので」
おおー。
俺は溜息を吐く。
意外と口が悪いぞ、このアンドロイド。
だが間違いではない、彼ら彼女らの殆どは平常な社会生活を送れないからこそ、こういった方法でしか金を得られない。
よって教育も受けておらず、暴力だけが全てになりやすい。
争いの中で生きて争いの中で死ぬ。
それが哀れだと思うのは、俺が一般人だからだろうか?
「(ああいう死に方をするなら、俺は無力なままでいいな)」
今までオリオンが戦って、殺したような人たち。
彼らのような死に方をするのなら...一般人の方が幾分かマシだろう。
「あれ? どっちだっけ」
「こっちです、リリー様!」
通路に出て、ペルソナに従って歩く。
喧騒が遠くから近づいて来て、ようやくステーション内に設けられた「街」へと出た。
人混みの中を歩きつつ、目的の店を探す。
「あ、ありました、ありましたよ、リリー様!」
「やるじゃん!」
『ハクダン』、要は銃器以外を取り扱う店舗だ。
クシトラ星系群に分布する、金属鍛冶に精通した種族が製造した武器があるらしく、高価格帯だが高品質な金属類が手に入る。
だがここは傭兵支援ステーションであるため、並んでいるのは全て刃物だ。
俺はペルソナを殿として、店に入るのだった。
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