105-この出会いに感謝を
ブリッジに向かった俺は、クローゼットにあったパーカーと下着とGパンをペルソナに貸した。
そして、色々と話をした。
アルの素性と事情、俺が地球から来た事、出身国家を偽っている事、この船は無から生まれたか、どこかからか来た事を伝えた。
そして、全てを一瞬で整理したペルソナは、
「ありがとうございます」
それとだけ言い放った。
俺とアルが頭に疑問符を浮かべていると、彼女はにっこり笑顔を浮かべて、
「私を信用してくださっているようで、本当にうれしいです!」
と答えた。
ああ、そうか.....俺たちの素性を話すということは、俺たちは全面的にペルソナを信用してたって事か。
「集合意識型のアンドロイドは、確かに勝手に情報を共有してしまう欠点があります。でも、自律型....私のようなアンドロイドであっても、同じように信用されないことは育成過程で学習してました、でも......信用してくださって、私は誇らしいです」
「ぜひその期待に応えたい」という姿勢が前面に出ていた。
俺は、ペルソナは純粋なのだなあと感じる。
まぶしい程に。
「ねえ、ペルソナって何が出来るの!? 戦えるの....?」
「はい、私は多機能型アンドロイドですので、戦闘用換装パーツを取り付けていただければ可能です!」
「かっこいい!」
アイとも仲良くできそうだな。
俺はうんうんと頷いてみせる。
「そこでなんだけど、ペルソナ」
「はい」
「基礎教育っていうのは、どこまで?」
「全種族の家事類を一通り、戦闘技能や武器の扱い、各種ブルーワークの工程基礎をインストールされています、熟練者には及びませんが、なんでも命じてくださって構いません!」
「了解、じゃあ......夕ご飯の手伝いをしてもらおうかな」
「はいっ!」
ペルソナは敬礼した。
ノリがいいようで助かる。
まずいな。
俺はそんな感想を抱く。
彼女が居るだけで、全部終わっちまう。
流石に地球の料理は出来ないようだが、食材の加工から指示を受けての機材の準備がとても滑らかで、すぐに仕事を奪われそうだと察した。
「ふう....ペルソナはすごいね」
「ありがとうございます、でも....私は、リリー様の作る料理を知りませんので、こういう雑用でしかお力になれないのです」
「充分だよ、その内教えるからアルに作ってあげて」
「はい!」
ペルソナは素早くパンの入ったバスケットを用意して、食卓の方へ持っていく。
今日はクラムチャウダーを作っているので、バゲット風のパンを買ってきておいたのだ。
これからは買い出しも自分だけで行う必要がないわけだな。
「ねー、ペルソナ、今日の晩御飯なにー?」
「リリー様には秘密ですよー、クラムチャウダーらしいです」
「クラムチャウダーって何....?」
「分かりません!」
後ろから声が聞こえてくる。
二人は気が合いそうだ。
俺とは違う......
「リリー様! クラムチャウダーって何でしょうか?」
「魚介類の甘めのスープみたいな感じかな」
「すごいです! 私の知識には無いです....! 地球に行ってみたいです!!」
「いつかね」
「はい!」
いいや、違うな。
ペルソナは仲間だ、本当の意味で。
だから――――
「ありがとう」
「えっ、何でしょうか....?」
「私たちを、認めてくれて」
「はい、当然です!」
この出会いに感謝を。
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