103-納品と受け取り
「確かに、納品分受け取りました。では」
「ええ」
二時間後。
荷下ろしを済ませた俺は、ベルガータの職員と話していた。
この流通ステーションは、格納庫と倉庫、管理センターと居住スペースしかないので、滞在する人間も三百人程度だという。
職員は俺の荷物と、自分が持っていたタブレットの情報を確認すると敬礼して去っていった。
荷物はまたもやアンドロイドが操縦するリフトが持っていった。
「さてと」
俺はドック全体を見渡す。
この時間帯は出払っているのか、フレイター専用だろう大型ガントリーは全て空だったが、その代わり輸送艦用のスペースはオリオンの他に四隻ほど停まっていた。
流石に携帯端末を取り扱う流通ステーションだけあり、オリオンだけでは到底追いつかないのだろうな。
いや、もしくは入れるのではなく出す目的かもしれない。
何しろ、インナーリウムⅤはインナーリウムで夜間人口が一番多い惑星だ。
ここで携帯端末を買い求める人も居るだろう。
「(戻るか...)」
ドック内部は薄寒い。
普段利用者が少ないからだろうな、こんな場所に金を使うくらいなら居住区に使った方が経費で落とせる。
俺はとぼとぼ歩きながら、思う。
いつか商会を設立したりした時は、ステーションをこんな風に保有することになるんだろうか、と。
それはとてもスケールの大きい話で、今の俺の思いつきで考えることではなかった。
「アル、どうしたの?」
「配達の人からメール来てたよ、ほら」
ブリッジに戻ると、俺はアルに出迎えられた。
メール欄を見ると、ホテルステーションに配達したが不在だったので再配達を申し出る場合は連絡を、とあった。
こういうところは地球と同じなんだな。
「丁度良いや、ちょっとステーションの管制と話してみるね」
俺はステーションの管制に、再配達の事を伝えて滞在時間の延長を願い出た。
アンドロイドの管制はそれを承諾したので、俺は再配達先をここへと変更した。
「ねえー、何の荷物?」
「フフ、さてなんの荷物でしょう」
送り主はハブ・コムとなっている。
ということは、届く荷物は一つしかないだろう。
俺は新たな出会いに胸を躍らせつつ、アルに流し目で笑って見せた。
「食べ物だと良いな...」
「食べ物じゃないかもね」
「えっとー...じゃあ、飲み物? お酒?」
「そっちでもないかも」
この間何を買ったかもう忘れたのか?
まあ、俺にとっては重要だが...アルにとってはどうでも良いことかもな。
そういえば、アンドロイドが居たら、交代で晩飯作れるな...
俺一人だと賄えなかった事が、出来るようになる。
それだけで値千金ってものだ。
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