表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/32

3月1日(金)

 寝坊した。昨日は結局、寝付けたのが午前三時ごろだったから、アラームの音が聞こえないぐらい起きれなかった。


(うた)ぁ、遅れるぞー」


 お兄ちゃんの声がした。時間がやばいのはわかるけど、お兄ちゃんからそう言われるのはなんか気分が悪い。


「わかってるよ、今行く」


 とりあえず着替えて、バッグを持って一階に向かう。


「詩、時間ないけど朝ご飯どうするの?」


 お母さんが洗い物をしながら尋ねた。


「いらない。お菓子持ってくから、お腹空いたらそれ食べる」


 健康的では全くないけど、時間がないんだから仕方がない。

 お茶だけ飲んで我慢する。


「早くしないと置いてくぞー」


「別に先に行っていいから、お兄ちゃんは黙ってて」


 髪の毛をとかす。幸い目立つ寝癖はついていなかったから、軽くとかすだけで済んだ。


「じゃあ、行ってきます」


 お兄ちゃんと一緒に家を出た。

 空は青く晴れていて、昨日より少し温かかった。二月から三月に切り替わったんだって実感した。


「何そのブローチ、買ったの?」


 カバンに輝いているアメジストのブローチを見ながら、お兄ちゃんが聞いた。高いものだと見抜いているのか、怪訝そうな表情だ。それとも、私はこういうのをあまりつけないから、不思議がっているんだろうか。


「大切な人からもらった」


「ふうん」


 自分から聞いておいて、その興味なさそうな反応は、何とかならないものか。


 如月がいない日々が戻ってきていた。でも、不思議と寂しさは感じなかった。来年会えたら、どんな話をしようか。どんなことをしようか。今から楽しみで仕方がなかった。


「詩、急がないと遅刻するよ」


「わかってるよ。今行く」


 きっと、如月に話したい、今度如月と一緒に来ようって、彼のことを考えながら今日から過ごしていくんだろう。


 桜が咲いたらお花見に行こう。


 夏には花火大会に行きたい。


 紅葉を見たりお月見をしたり。


 クリスマスとお正月をめいっぱい楽しんで。




 ――そうして私は、如月を待つ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ