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第8話 迷宮商人リミーナ

「だっだれだおまっ………いや、アンタは?」

 流石に女性に面と向かってお前呼ばわりはアレだと思って言い直す。


 女性の姿は少しブカッとした上下白の衣装を着ていた、どこかオリエンタルなデザインの物だ。

 その上に黄緑色のフード付きのマントを羽織っている。

 瞳は大きく目鼻立ちは可愛らしい感じ、髪は青色をしていて瞳も青だ、肌は色白でこのジャングル出身の人間とは思えない。

 歳は二十代前半くらいかと思えた。


「私はリミーナ、迷宮商人をしている者です」

「おっ俺はケンジだ……って迷宮商人?」


「ウチはミミーや、よろしゅうな。そんで迷宮商人ってのは探索者がダンジョンを探索しているとふらっと現れる連中やで。謎が多い連中やけど役に立つアイテムとか必要としてる物を売ってくれるから探索者からはありがたがられてるんよ」


 見るとリミーナはマントの中に背負子を担いで何やら色々な物を運んでいる様に見えた、背中のマントが異常に膨らんでるもの。


 マジか、ゲームならともかくマジでこんな危険な所で一人バザー開いてる様なヤツがいるのかよ。 

 事実はゲームより奇ですな。


「けど、迷宮商人か……実は俺達は今…」

「私は迷宮商人です。お客様が今一番必要としている物が何なのか、既に把握しておりますよ」


 そう言うとリミーナは懐から一枚の……チケットサイズの紙を取り出して来た。

 虹色のメタリックカラーな光を発している無駄にキラキラなチケットだ。

 ……なぁんか胡散臭さいな。


「えっと…その紙切れが何なんだ?」

「それってまさか、『確定チケット』やないの!?」

 ミミーが馬鹿な事を言い出した。

 何だよ確定チケットって、全然ファンタジーな感じがしないだろうが。


「その通り、これは迷宮を探索する者ならば誰もが求めるお宝の一つでございます」

「ウソつけ! んな紙切れにどんな価値があるってんだよ!」


 俺のツッコミにリミーナは両手を広げて語りだした。

「これは聖なる祭壇でのみ使えるレアアイテムです。知っての通り聖なる祭壇ではモンスターコインを捧げるとそれに応じた物が与えられます」


「ああっ水や食料が与えられたよ、かなり助かった」

「そうです、しかし祭壇から与えられる物にはごく稀に超レアな物が与えられる事があります。それは魔法を付与された武器や防具、強力なマジックアイテムやスキルオーブなどその種類は多岐に渡ります」


 マジで迷宮ガチャだな。

「それは……凄いな」

「まあそんな大当たり引いた探索者なんて殆どおらんねん、当たり前やけど…」


 リミーナはチケットをバッと俺に向けた。

「しかぁ~し! この『確定チケット』を聖なる祭壇に捧げるとその超レアな『何か』を確実にゲット出来るのでぇ~~す!」


 俺……それ知ってる。

 それっスマホゲーに出て来る最高レア確定チケットじゃん!


 アレが最高レア確定かまでは分からんがもしその話が本当なら俺達の詰んだ状況を打破出来る可能性がマジであるかも知れない。


「聖なる祭壇は捧げ物をした探索者が一番必要としている物を与える、つまり俺達に今必要な物……ぶっちゃけると火力か?」


「そうや、あの再生能力と魔力による防御能力を持っとるトラ公を問答無用の一撃で沈める圧倒的な火力を持った武器やマジックアイテムが必要なんや」


「ならばほぼ確実にこの『マジックチケット』ならそれをゲット出来るでしょう!」

「おおっそれが本当なら凄いな! ……けど、俺達そんなの買える金なんてねぇぞ?」


 コイツは迷宮商人と名乗った。

 なら当たり前だが商品に見合った金額のお金が必要な筈だ、俺達には一枚のモンスターコインすらない、現金もだ。


「……それならウチに任せとき」

「ミミー?」

 ミミーが宝箱を開けて中から黒い手に何かを掴んで何かを出して来た。


 それは金色に光る鉱石の結晶だった、ほのかに光ってるぞ、何あれ。


「そっそれは、魔力の純度が極めて高い魔鉱結晶マジッククォーツですか!? 素晴らしい!」

 リミーナは魔鉱結晶とやらを手にするとめっちゃくちゃ目を輝かせながら魅入っていた。


 どう見てもかなりの価値がある物だよなアレ。

「ミミーあの鉱石は」

「ウチのへそくりやね、ずっと万が一の為に持っててん。使うタイミングが来て良かったわ~」


「……どうしてそこまでするんだよ? そんなもんまで手放すとか……俺にはそれに応えられるだけの能力も何もないんだぞ?」


 思えばなし崩し的に一緒に迷宮ジャングルに来たが、俺達の間には迷宮を探索する以外何の利害関係もない。

 そんなヤツの迷宮探索の為に財産を投げ打つ様な事をミミーはしているんだと俺でも分かった。


 しかしミミーの反応は違った。

「ウチがここまでする理由か……そうやね、流石にそろそろ説明の一つもせんといかんね」

「話してくれるのか?」


 ミミーは「もちろんや」っと返事をした。

 そして話し出す。

「ウチね……元は人間なんよ」


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