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第7話 ストロングなタイガー

「グルルルルル………ッ!」

「ひぃいっ!?」


 あっあかーーん!

 これ、絶対に勝てないヤツだ!

 だって虎さんデカイ、俺の倍以上にデカイ。

 こんなのに襲われたら一撃で死ねるわボケ。


 しかし俺は死にたくない、腰は抜けて膝はガクガクだがマジックガンはまだ持っていた。

 トラ野郎に向けてマジックガンを射つ、射ちまくる!


 バンッバンッと放たれる弾丸は虎の身体に着弾した、やったかと思った。

 すると身体の傷から射った弾丸が押し出されるように出て来て傷口が塞がれてしまった。


「ソイツ再生能力持ちの特殊個体や!」

 そんなんありかよ!?

 こちらの攻撃で少しはダメージがあっても回復されたらどうしょうもない。


 それでも俺はマジックガンを虎に向かって射つ、しかし今度はトラ野郎の身体から青白いオーラのようなのを身に纏った。


 すると弾丸がトラ野郎の毛に当たるだけで弾かれてしまった。

「こっ今度は魔力で物理防御力でも上げて来ましたってやつ?」

「………ご名答やね」


 笑えねぇーー!

 最早トラ野郎は余裕ぶっこきまくってのっそのっそとこちらに向かって歩いて来た。


 当然腰が抜けてる俺には走って逃げる事すら出来ない。これは詰んでしまったか?

 くそっ死にたくないから足掻いてはみたが、やはりマンガやゲームの主人公にはアラサーじゃなれなかったみたいだ。


「………ミミー! 逃げろよ!」

 俺は無駄だと分かっていてマジックガンを射ちまくる、もう出来る事がトラ野郎の気を引くくらいしか無いからだ。


「何を阿呆ぬかしとん?」

「ミミー!?」

 いつの間にか宝箱が俺の隣に来ていた。


「バカッこの状況で逃げないって何考えてんだ! 俺は腰が抜けちまって動けねぇんだよ、お前だけでも逃げろ!」

「うわっ情けない事を堂々と言うんやね……」


 悪かったな、情けないとか知るか!


「……けど、その男気には感心したで」

 宝箱が開いて中から黒い手が出てくる。

 その手には黄色く丸い水晶が握られていた。


 ミミーが水晶をかざすと水晶から光が放たれる、俺の視界がホワイトアウトした。

「………え?」


 そして気がつくと俺達はあの聖なる祭壇の所にいた…………何で?


「こっこれは一体……?」

「ふふん、その理由はこれやで!」

 ミミーを見るとあの水晶を見せてきた。


「これは『帰還のオーブ』って言ってな、事前に登録した場所に一日一回だけ瞬間移動で戻ってこれるマジックアイテムやねん」

「……………」


 そんなアイテムがあんなら説明くらいしといて欲しいわ。

「いや~本当はゴブリンを狩りまくった帰り道の短縮の為に使おうと思っとったんよ」

「そうか、けどそう言うのがあるんなら教えておいてくんね?」


 俺は今だに腰が抜けているぞ、もうめっちゃくちゃ怖かったんだぞ!


「いや~ごめんって、あっ水飲む?」

「………ああ、飲む」

 ペットボトル飲料水を飲み、少しは落ち着く。

 まだ心臓がバクバクいってるな…。

 しかし少し時間が経つと抜けていた腰も何とか回復して立ち上がれるようにはなった。


「正直……ダンジョンを舐めてたな」

 ゲーム見たいにレベルアップとかあって魔法みたいな力や道具がある。


 これなら俺でも何とかなるじゃないかと、何の根拠もないのに考えてしまった。

 ここはゲームじゃない、俺でも何とかなる相手だけが出て来てくれるような初心者の為のダンジョンなんてあるわけがなかった。


 ちょっとした運一つであんなどうしょうもない化け物が突然目の前に現れる場所なんだダンジョンってのは。


「ミミーあのトラに似た化け物は何なんだ?」

密林魔虎みつりんまこやね。このジャングルでも個体の戦闘力なら最強クラスや、素早く力も強く魔力も高い、何より気配を消す能力は脅威や」


「……確かに目の前に現れるまで全くいるのに気付かなかった」

「ケンちゃんが雑魚過ぎるから助かったんやね、普通なら不意打ちの一撃で死んどる。それをしなかったのは逃がさない自信があったんや、まあそれが慢心やったから逃げられた訳やけど」


「あんなのどうしろってんだよ…」

「う~ん現状ウチの中にはどうにか出来るアイテムなんてなに、モンスターコインが無いと聖なる祭壇も使えんしね」


 ガチャを回すにはスマホなら課金すれば何とかなる。しかしこのダンジョンガチャはそんな甘い仕様じゃない。


 モンスターコインも回収しそこなったし、どうすれば良いんだ?

 俺達はそろって頭を悩ませた。


「……物入りと言うなら相談に乗れるかも知れませんよ?」


「いやっ物入りってより、単純にあの化け物をワンパン出来る武器が欲し……」

「そうやで~それも遠くからあのトラ公を一撃で沈められ」


 俺達は固まった。

「「………………ッ!?」」


 俺とミミーは同時に声をした方を見る。

 そこにはいつの間にか女性だ立っていた。


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