第4話 ステータスをゲット
「この趣味の悪いコインはなんなんだ?」
「モンスターコインやで、魔力を持っていて、この迷宮で様々な事に使えるまさに迷宮の通貨や~」
ジャングルに通貨の存在意義とかこれいかに?
しかし様々な事に使えると言うのなら持っておくしかないだろう、何しろこちとら無一文だからな。
公園に居たときは鞄とか持ってた筈なのにあの草原にいた時点で何も持ってなかった。
まさかサイフも失なわれてしまったのか? スマホはあったのに!
そんな事まで一々考えてしまう、今は生きるか死ぬかと状況なのに現代人のしょうもない平和ボケしてる頭の思考ってやつなのか?
するとミミーの蓋が開いて黒い手がニュニュ~と伸びて来た。モンスターコインとやらを掴むと自身の宝箱の中に入れる。
「これはウチの中に仕舞っとくで~あんさんに持たせてたら無くされるかも知れなへんからな~」
「……分かったよ」
一瞬、盗まれたのかと思った。
まだまだお互いの事を知らなさ過ぎる俺達だ。
しかしこのマジックガンとかいう阿呆なネーミングの拳銃の威力は本物だったし、少しはこの謎ボックスの事を信じるべきなのかも知れない。
そもそも裏切られたとしても、元から放置されててたら死んでた身の上。今さらの話である。
足掻くだけ足掻いて駄目ならしゃ~ないってな。
何となくだが、ゴブリンとの発の戦闘で色々と吹っ切れた気がする。
「アンタ……いやっミミーか。取り敢えず俺もここから出る目処が立つまでは頑張って見ることにするわ」
「オッようやくやる気になったん? それなら改めてよろしゅうなケンちゃん」
ケンちゃんって……。
まあ呼び方とか別にいいか。
「あっそれと迷宮でモンスターを初めて倒したんならステータスが与えられた筈や、確認しとき~」
「ステータス?」
あのゲームの? 流石にそんなもんまで現実にあるって言うのかよ…。
「ステータスを見ろって言われても」
「こうっステータスでろ~って念じると出るで」
「………?」
俺はステータスでろ~と念じた。
するとマジでステータスウィンドウが何もない空中にブブゥンって現れた。
それはまんまゲームのあの感じのヤツだ。
【名前:矢守ケンジ】【種族:人間】
【性別:男性】【職業:無職】
【レベル:1】
【筋力値:6】【魔力値:36】
【器用さ:19】【知力:18】
【俊敏値:9】【幸運値:5】
【保有スキル:なし】
そしてステータスを確認、何というか微妙なステータスとしか言えない。HPとかMPまでは流石にないか、そして全体的にまさにレベル1って感じのステータスである。
素直に言うと雑魚としか言えないステータスだと思う、何気に魔力が一番高いのは嬉しい。
いつか魔法とか使える日が俺にもくるのだろうか、是非とも格好いい魔法とか下さいと夢見るアラサーです。
…………スキルゼロだけど。
「ステータスは他人からも盗み見られる事はないで、けど解析スキルの【アナライズ】みたいなスキル持ちやとこっちの能力をとかバレるかも知れんから気をつけて~な」
「俺、スキルゼロなんだけど……」
「…………そ、そうか。まあこれからやで、これからこれから~~」
「…………」
何の慰めにもなってねぇよ!
そんなやり取りをしながらも俺と宝箱のミミーは再びジャングルを進み始めた。
ジャングルを進むと何度かゴブリンと遭遇した、棍棒相手にマジックガンで応戦するので基本的に余程接近されたりしなければ負けはない。
流石に銃があればサラリーマン(ステータスだと無職だった……しかし俺の心はまだ勤め人のままなのでサラリーマンなんだよ!)でもゴブリン相手なら勝てるらしい。
ゴブリンは緑色をしてるので何気に緑溢れるジャングルだと周囲と同化していて分かり難い。
もしかしてそう言うのがあるからジャングルにゴブリンなのだろうか?
俺としては棍棒ゴブリンなら倒せるが弓矢とか使ってくる遠距離武器持ちのゴブリンとかが複数出て来られたら詰むと思ってる。
そんなのが現れる前に一息つきたい所だ。
「流石に喉が渇いてきたな、けどジャングルで水を手に入れる手段とか知らないし…」
「水や食料か、それならどうにかなるかもしれんよ?」
「マジか?」
「ついてき、実は最初からそれを目指して移動してたんよ」
ミミーが先に進む。てっきりテキトーに歩いてるんだとばかり思ってた。
そしてミミーを後を追うとジャングルの木々が生えていない場所に出た。
そこには苔を生やした石柱が四方に四本立つ祭壇の様な場所があった。