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第3話 迷宮ジャングルのゴブリン

 扉の中に足を踏み入れる。

「!?」


 その次の瞬間、またあの視界が一変する感覚に襲われた。

 そして気がつくとそこは鬱蒼として木々が生い茂るジャングルだった。迷宮らしいので迷宮ジャングルって所か?


 明らかに日本の森とかじゃない、湿度も温度も高いし、人が歩けそうな道すら見当たらない。

 うわぁっこう言うカラフルで毒持ってる蛇とか虫とかが沢山出て来そうな場所にリーマンスーツを飛ばすとか悪意ありすぎだろう。


 しばし呆然としていると俺の直ぐ隣にあの宝箱が光と共に出現した。

 なる程、こんな感じで俺もここに転送されたのか。


「うわぁっここが迷宮か~カラフルで毒とか持ってる虫や蛇が沢山いそうやね~」

「えっアンタも迷宮を知らないのか?」


「んなわけないやん、冗談やで冗談。流石にナビの一つも出来るヤツがおらんと迷宮じゃ生きていけへんよ~」

「…………」


 何だコイツ。



 ◇◇◇◇◇◇



 そして迷宮だかジャングルだかよく分からん場所を俺とミミーは進む。

 熱いし湿気があるので本当にツラい、しかし変な虫に刺されてりしたくないから薄着にもなれないんだよ。


「もう結構歩いてるけど、そのモンスターとか全然でてこないけど? まあモンスターより今は変な虫とかが集まって来ないかが心配だけど…」

「ああっ別に変な虫はいても毒持ちとか早々おらへんよ~」


「えっそうなの?」

「この迷宮ジャングルのモンスターは毒に耐性のあるヤツばっかりや、やからその手の生物はとっくに絶滅するまでモンスターに食い尽くされとるんよ」


「ぜっ絶滅するまで食い尽くされた……?」


 モンスター、マジで名前だけじゃなくて本物の化け物ってヤツじゃないか?

 迷宮に行く選択、早まったかも知れない。


「と言うかそんな情報があるなら先に言ってくれ!」

「そんなん言われてもな~こんな話されたら迷宮行こか~なんて話にならへんやろう?」


「当たり前だよ、そんな化け物相手にこんな豆鉄砲でどうしろってんだよ」

「あっウチのコレクションを馬鹿にすることはあんさんでも許さんで! そのマジックガンなら雑魚なモンスターくらいなら束になっても余裕やで!」


 この銃コイツのコレクションなのか、傷つけたりしたら賠償金とか請求されたりするのか?

 無職にそんな支払い能力とかないぞ。


「………あっお客さんやで」

「ッ!」


 宝箱が止まった、前を良く見てみると生い茂った草むらがカサカサと揺れている。

 マジックガンを持つ手に力がこもる。


 少し待つと草むらから身長が低めの人影が現れた。

 しかしそれは人間ではない、マンガがゲームに出て来るゴブリンだった。


 緑色の肌を持ち物凄い凶悪そうな顔、そして手には棍棒を持ち腰蓑を装備したまさに俺の知るまんまのゴブリンがそこにいた。


「アレは……ゴブリンか?」

「なんや、あんさんの世界にもゴブリンがおるの?」


 あんなのいてたまるか!


「いや、空想の存在として描かれるモンスターだ」

「そうなん? ゴブリンはずる賢くて仲間と一緒に弱い敵を襲うモンスターやで」


 習性もまさに俺の知るゴブリンまんまだな。

 現れたゴブリンは三体、向こうもこちらに気づいたのか物凄い敵意とか殺気を込めた叫び声をこちらに向かって吠えてきてる。


「グギャギギャ!」

「こっわ、こっち来んなよ!」


 普通に戦えばこちらに勝ち目はないだろう、だって三対一だぞ。

 だがこっちには遠距離武器がある、そしてゴブリンはこのマジックガンが何なのか知らないとみた。


 だって拳銃を持ってるヤツを前にして三体がいつまでも余裕をこいてるのか迫ってこないからだ。


「悪いけど、先手必勝なんでね」


 実は移動の最中に何度かマジックガンを撃つ練習をしていたのだ。練習なので本当に撃つのはこれが初だ。


 マジックガンの引き金を初めて引く。

 すると弾を込めてもいないのにマジックガンから光る弾丸が放たれた。


 本来ある筈の拳銃を撃った時の反動は殆どない。

 そして放たれた光る弾丸だが明らかにゴブリンから外れていた。

 初めてのモンスターとの遭遇やらなんやらで力み過ぎたか!


 俺は急いでまた引き金を引こうとした。

 しかしそこで気づく、放たれた弾丸の軌道が目に見えて変化した。


 そして弾丸は吸い込まれる様にゴブリンの頭に着弾した。

 マジか、このマジックガン、まさかのホーミングするのか!? とんでもないマジカル仕様だな。


「当たった?」

「そうやで~そのマジックガンは戦闘初心者にはうってつけの武器なんやって~~」


 仲間がやられてあ然としたゴブリン、その間に更に一体を仕留めた。

 残り一体が逃げようとする。

 仲間とか呼ばれたら事なので確実に仕留めた。


 その場にゴブリン三体の死骸が転がる、これを俺がやったのか……。

 何とも言えない気分だ、しかし明らかに向こうはこちらを殺そうとしていた、ならやるしかないだろう。


 俺だって死にたくはないんだ。

 そんな事を考えていたらゴブリンの死骸に変化が起きた。


「………!」


 ゴブリンの死骸が突然発生した煙に包まれる。

 数秒ほど待つとゴブリンの死骸が消えた……は!?。


「ゴブリンが……消えた!?」

「モンスターは倒されるとその死骸は煙となって消える、迷宮の常識や~そんでドロップアイテムを残すんやで~」


 ドロップアイテム?

 あっ確かにゴブリンが消えた後に銅貨が落ちていた、ゴブリンの顔が刻印されているというデザインにイマイチセンスを感じない銅貨である。



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