第28話 龍刃刀【白夜】
俺の【サーチ】が連中の存命を知らせる、そして向こうもまた物凄い速さでハクの前に戻って来た。
ゴブリンキングがジャンプしてあの距離を戻ってきた、やはりとんでもないモンスターだな。
そんなゴブリンキングをパンチ一発でボロボロにしてるハクについてはノーコメントである。
そうっゴブリンキング、かなりボロボロだった。
ハクパンチをガードしたらしい腕と大剣はかなりひしゃげでいて見ていて痛々しい、それと恐らくゼネリアを狙ってハクは攻撃したんだと思う。
何故ならゴブリンキングだけなら普通に両腕がああなるハクの攻撃を受けるとは思えなかったからだ、なら受けた理由としては魔法使い的なジョブのゼネリア、恐らくは紙装甲である奥さんを護る為に踏ん張った結果なのだろう。
肩で息をするゴブリンキング、流石にここまでくれば勝負あったか?
その場合懸念する事はロイヤルゴブリン達が逃走を選択する可能性だが。
「ミミー、連中ここに来たときみたいに一瞬で現れたり消えたり出来るのか?」
「有り得るで、テレポートは乱発は無理でもあと一回か二回は使える腕前はあのゴブリンクィーンは持っとる」
「それを防ぐには?」
「ウチらじゃ近づいただけで攻撃魔法くろうて終いや、けどハク相手にそんなスキ見せたらどうなるんやろうね。結局はハクが油断せえへんなら問題は無いはずやで~」
成る程、ならばハクにお願いするしかないか。
「ハクー! 連中テレポート使えるから油断して逃がしたりするなよーー!」
「分かったーー」
ゼネリアが余計なことって言いたげな顔をして睨んで来た。やっぱりどっかのタイミングでテレポートして逃げる気だったか?
俺は俺やミミーを殺そうなんて真似をしてきたヤツに遠慮なんてしない。躊躇なく告げ口をしてやるのだ。
「おうおうっ! キングとかクィーンとか言っちゃって調子乗りまくってた割に大した事はないんじゃないか~~~い?」
「弱体化が効いとるん? 弱体化が効いとるん? 何なら助けて下さいお願いしますって土下座するんなら逃がしてあげようかと気まぐれ起こすかも知れんで~~~」
追加のヤジ攻撃を食らえ。
ゼネリアはブチ切れる。
「ああーーーーーーーーーっ! こ、この…その女の後ろの雑魚共が、キッキサマらなど本来なら一瞬で消し炭にしてるのだぞ!?」
「消し炭になれてなくてすみませんね~」
「一瞬で負けてあげれんくてすまんね~」
俺達のコンビネーションスルーが炸裂した、ゼネリアは更にブチ切れた。
「ゆっゆゆゆ、許さん! 貴様らだけはぶっ殺してやる! ハイネスヒール!」
回復魔法か、あのゴブリンクィーン、ヒーラーでもあるとか普通に反則じゃねぇか。
ゴブリンキングの重傷が瞬く間に回復した、なんつーか向こうも普通に何でもありだな。
「全力でいく! キングよっヤツらを殲滅するのだ!」
ゼネリアが更に魔法を連発した。
「フォースオブパワー」
「マジックアーマー」
「ストレングスアームド」
「スカーレッドオーラ」
「エンチャントグランドパワー」
「ブレイブハート」
「アブソルートブレイド」
多い多い! 発動してる魔法が多すぎるぞゼネリアてめぇさぁ~~。
「ゴォオオブゥウウウーーーーーーッ!」
今の今まで無言だったゴブリンキングが咆哮をあげる、その身体は真紅のオーラに包まれ、元からムキムキだった腕は更にムッキィーン、そして手にする黄金の大剣も光り輝いている。
まさに全てのバフ魔法を受けた強キャラの圧倒的貫禄、あんなのに殴られたら俺なんてひとたまりもない事が離れた場所からでも分かる。
そんなヤツを前にして、ハクが俺の方を見た。
「……これっ抜いていい?」
ハクが俺に見せるのは彼女が現れてからずっと持ち歩いていた太刀である。
「抜いたらどうなる?」
「う~んまたしばらくはお休みするかな……」
連中との勝敗については何も言わない、つまりはそう言う事だ。
またしばらくは俺達で頑張れって事か。
「ウチらの事なら心配いらへんよ~~」
「だそうだ…仕方ないさ、どうせやるなら派手に決めろよ?」
「……ふふっもちろん任せてよ!」
満面の笑顔を浮かべるハク。
そして見据えるのはロイヤルゴブリン達である。
ゼネリアがハクを睨みつけながら口を開く。
「我が魔法を持って極限まで強化したキングを前にして、その不遜な態度は変わらずか……ならば死と共にその罪の重さを教えてやろう!」
ゼネリアの言葉をガン無視してハクは太刀を抜いた。
その刀身は白く、そして淡く光っていた。
「コイツの名前は龍刃刀【白夜】って言うんだ、冥土の土産ってヤツで教えてあげる」
「ほざくなーーーーーっ!」
「ゴブォオオーーーーーーッ!」
ゴブリンキングが先ほど以上のスピードでジャンプして来た。真っ直ぐにハクに向かって飛んで行く。
ゼネリアが何かの魔法を発動した、ゴブリンキングと肩に乗る自身を護る為に魔法のバリアを展開する。
それをハクは悠然と見据える、手にした龍刃刀とやらをゆっくり構えた。
龍刃刀の白い光が更に強く輝く。
「消し飛べ……龍刃白光」
一閃、ハクの放った斬撃は光の奔流となった、その光は離れて見るとまさに龍のように見えた。
その光の龍がゴブリンキングとゼネリアを呑み込んだ。
凄まじい光と音。
俺とミミーには勝敗すら分からなかった。
しかし光と音がおさまればそれも分かる。
後には一人立つハクだけが残っていた、ゴブリンキングもゼネリアもその姿は消えていた。
後には金色に輝く二枚のモンスターコインが残っていた。




