第19話 待ち伏せ
「………嘘だろう?」
「ウソや~ん」
疲れたので聖なる祭壇に戻ろうとした。
すると聖なる祭壇から少し距離を取りつつ取り囲む様に大量のゴブリンが集まっていた。
「こっこれは一体……?」
「む~~ゴブリンの探索能力を侮っていた見たいやわまさか聖なる祭壇を発見された上にそこを拠点にしてる事まで見抜かれるなんて…」
恐らくミミーの言うことが正解だろう。
ゴブリンは仲間がやられてる間にこっちのガサを抑え待ち伏せをする事を選んだのだ、食料や飲み物はミミーがいるので問題無いが安全な寝床が失われたとなると困った事になる。
「あのゴブリンの数は流石に勝ち目がないな」
「そやね~」
【サーチ】を使ってみた、包囲する敵は通常のゴブリン以外にもゴブリンファイターやゴブリンアーチャーがいた。
それ以外にも反応がある、それもファイターやアーチャーよりも強い反応だと感じるだ。
レベルアップした影響なのか俺自身も相手を直接見る、或いはこうやって【サーチ】を使って気づいた反応で敵の強さを多少は知ることが出来る様になっていた。
それによるとファイターやアーチャーよりも強い反応が三つあった。中でも一つだけやたらと強いぞコイツって感じるのが特にヤバイ、開くまでも予感でしかないが……一撃でやられる感覚がある。
「強そ~な反応が三つ? それなら多分やけどゴブリンメイジやゴブリンナイト、あと一番強いのはゴブリンジェネラルやと思うで」
「ゴブリンジェネラルか…」
強そうなモンスターだな、そんなの出て来んなよ。
「そや、ゴブリンを指揮する能力を持つ上に戦闘力もピカイチの上級モンスターや、流石にここまで大量のゴブリンを支配してるのは別の特殊個体やと思うけど…」
「更に上がいるのか、本当に迷宮ってこっちを殺し来てる布陣ばっかだな」
「それが迷宮やね、迷宮は聖なる祭壇以外に信用出来る物はないねん」
今、さらりと迷宮商人も信用出来ない側に入れたなミミー……まっ同感だけどね。
いきなり現れていきなり消えるヤツなんて誰が信用出来ると言うのかって話だわな。
『次からは全商品、お値段を二十パーセントアップですよ。お客様』
何やら恐ろしい幻聴が聞こえた、聞かなかった事にする。
「仕方ない、聖なる祭壇は惜しいがまだ命を懸けるタイミングとかじゃない。ここは逃げるか」
「ケンちゃんが決めたんなら従うで」
「分かった、今回は逃げる。寝てレベルアップしてる事に期待するしかないな」
「ほなさっさとずらかるで~~」
向こうが待ち伏せをしてるなら大量の追っ手とかは多分無いだろう、なら安全なうちに逃げる。
格上のモンスターと雑魚でも大量のモンスター相手に喧嘩を売るとかね、アラサーがする事じゃないんだよ。
俺は命は大事に派閥の人間だ、ジャンプアップで成功を掴める人生に憧れもあるがそんな真似は自分には出来ない事も自覚している。
何事も地味にコツコツと続けて小さな成長を積み重ねる事しか出来ない。
そんな普通の人間なんだよ、まだレベルアップとかミミーと言う相棒がいるだけはるかに助けられてる俺だ。
今はまだ、なりふり構わずの無茶とかするときじゃないんだ。
俺達はジャングルの奥に逃げた。
その日はジャングルの中で一夜を過ごす、ミミーが夜の見張りをしてくれると言うので俺は休ませてもらった。
「探索者のレベルアップは寝らんとせんけんな~ほんま面倒な話やね~」
「全くだな、何で寝る必要があるんだ?」
「さあ? そんな風に世界は出来とるとしか言えないんや~、ささっ寝る事も速く強くなる為の準備やでケンちゃん」
「…………分かったよ、お休み」
こんな感じで寝た、そして翌日に起きるとステータスの確認をする。
【名前:矢守ケンジ】【種族:人間】
【性別:男性】【職業:無職】
【レベル:6→8】
【筋力値:21→25】【魔力値:67→76】
【器用さ:45→51】【知力:28→29】
【俊敏値:28→35】【幸運値:22→26】
【保有スキル:サーチ、アナライズ】
よっしゃあ、ステータスのアップもそうだが何気に新たなスキルをゲット出来てる事が嬉しい。
アナライズ、言葉のイメージとしては敵モンスターの強さを見る事が出来る的な感じか?
「おはようケンちゃん、それじゃあウチも寝るで~」
「ちょっと待ってくれ今、アナライズってスキルをゲットしてたんだが。これってどんなスキルなんだ?」
「アナライズ? ああっスキルを発動すると相手の能力を可視化出来るスキルやね、持ってるととっても便利な魔法なんやで~お休み」
ミミーが寝た……コイツで試して見るか。
むむっん~成る程、どうやらアナライズってスキルだと細かい基礎ステータスやらどんな攻撃に耐性があるかが分かるって感じか。
流石に保有してるスキルとかは分からないみたいだ、まあ相手の手札を全て見れりゃそりゃチートだしな。
ミミーが寝て起きるのを待って今後の活動を再開するしかないな。