第18話 強敵ゴブリン
俺は狙いを定めてそのデカブツにマジックガンを撃った。
しかし。
「ッ!? グッガァア!」
バギィッという音がした。
うっそだろう!? アイツ今、マジックガンの弾丸を手にしてた盾で弾き飛ばしやがった!
巨躯のゴブリンの装備は腰みのと左右それぞれの手には両刃の剣と円形の盾を装備していた。
防具こそないがぱっと見は戦士、ゴブリンファイターと言った感じのヤツだ。
その胴体視力とか反応速度は完全に人間離れしてる事はさっきの動きをみれば俺でも分かった。
真正面から戦えば俺じゃ勝てない。
ゴブリンファイターは雄叫びをあげると真っ直ぐこちらに向かってきた。
どうやら攻撃が飛んできた方に敵がいる事くらいは理解してるらしい。
「…………やるか」
俺は数発ほど更にゴブリンファイターに向けて発砲する。ゴブリンファイターは盾を使い余裕で防御した、あの盾もかなり頑丈らしい。
当たり前だが俺が狙ったのはゴブリンファイターの頭だ、そこが確実に仕留められるからな。
そしてゴブリンファイターもそれを理解していて発砲音が聞こえたらすぐに頭を防御した。
俺はジャングルの木々を越えてきたゴブリンファイターと相対する、ゴブリンファイターは普通のゴブリンよりも凶悪な顔をしていた。
その顔がニヤリと歪む、俺を一目見て『コイツになら勝てる』と感じたんだろう。
ジャングルでの移動スピードといい、逃げても足の速さは向こうが速い事も理解していた。
だがな……。
「グォオオオッ!」
「来るか」
俺がマジックガンを構えると盾を前方の頭近くに構えた、この距離なら当たり前だ、流石にタワーシールドみたいな長方形の盾なんてゴブリンは持っていないので必然的には守れる場所と─。
──守れない場所がある。
その図体のデカさが仇になったな!
俺はゴブリンファイターの足を狙った、魔力の弾丸はゴブリンファイターの膝をヒットする。
機動力を奪われたゴブリンファイター、予想外だったのかその痛みで叫ぶ。
どうやらゴブリンよりか頭がいいだけでやはり大して頭が良い訳ではないらしい。
ゴブリンファイターは痛みと怒りで俺を殺そうと狙ってきた。
しかし残念だったな。
「お前の負けだよ」
「!?」
突然、頭上からゴブリンファイターの頭に数発の弾丸がヒットした。
あれはさっきゴブリンファイターを撃った時はである、ヤツが防御の為に盾で頭を防御したその時、ヤツの視界が俺から完全に外れた時を見計らって真上にもマジックガンを発砲していた。
普通なら撃ってるのに盾にヒットする感覚がない弾丸があった事に気付きそうなものだ。
しかし外れたと勘違いでもしたのかゴブリンファイターは気にもとめなかったみたいだな。
マジックガンは素人が撃っても狙った敵にホーミングして当たる親切かつマジカルな仕様の拳銃だ、あさっての方向に撃った場合はかなりの時間差でターゲットに向かってホーミングしていく。
つまり一人時間差攻撃が出来るのだ、ぶっつけ本番だったが上手くいって良かった。
そして初めてのゴブリン以上の強敵を倒した、地味に達成感があって嬉しい。まっゴブリンはゴブリンだけどな。
「………っ!?」
ほんの少し気を抜いたら何かが飛んできた。
【サーチ】のお陰で気づけたよ、それを紙一重で俺は躱す。
木にそれが刺さった、飛んできたのは矢だ。
遂に現れたか……ゴブリンアーチャー。
当初こんなジャングルで一番会いたくないと思っていたヤバゴブリンランキング堂々の第一位、矢に毒とか絶対に塗ってきそうなモンスター第一位のゴブリンアーチャーである。
強敵との連戦だ。
しかしこっちもまだまだ体力も集中力も切れちゃいないぞ、これまでコツコツと重ねた戦闘経験とレベルアップによるステータスの向上。
それらの成果は確実に現れていた、やっぱり日頃から努力は重ねていくもんだな。頑張っていて良かったと俺は心から思った。
そして頑張って強くなったのは俺だけじゃない。
「こっちはウチに任せとき! そりゃあーーっ!」
「ギャギャッ!?」
ジャングルでも素早いミミーは既にゴブリンアーチャーに接近していた、ここからだと【サーチ】の反応しか分からないが、直ぐにミミーと近くのゴブリンアーチャーの反応が消えたのでミミーが剣やマジックガンで仕留めたんだろう。
俺も負けてはいられないな。
【サーチ】にはまだゴブリンアーチャーの反応が複数あった。
「いくらファンタジーな場所でも弓矢で銃に勝てると思うなよ!」
俺もゴブリンアーチャー退治に参加した。
射程も攻撃スピードもこっちが上なんだ、更に【サーチ】まである状況なら最初の不意打ちさえ何とか凌げば負ける事は無かった。
約二時間ほどの戦闘でゴブリンアーチャーや通常のゴブリンをかなり倒せた。
ゴブリンファイターも何体か現れてたが俺とミミーの二人がかりなら一分とかからず倒せたのには少し俺自身驚いたよ。
囲まれない様に【サーチ】で見つけたヤツを襲撃して短時間で全滅させて応援を呼ばせない、そしてモンスターコインを回収したらその場をさっさと後にする。
そして息を整えてまた襲撃にむかうを繰り返した。装備はともかく俺の集中力が限界に来たので引き返した。