第12話 迷宮ジャングル紀行
ハクが太刀に吸い込まれて三日が経過した。
俺も初日は聖なる祭壇のモンスターが近寄って来ないと言う謎の特性に助けられたせいでジャングルの中で仮眠を取るのに多いに苦労した。
何しろリアルにモンスターがいるジャングルである、毒虫とか毒蛇を気にする必要はないとミミーに説明されてもそれ以上にヤバイのがゴロゴロいる迷宮ジャングルだからな。
そりゃあ怖いなんてもんじゃなかった。
しかしミミーが俺が寝てる間は見張りを買って出てくれたので何とか眠る事が出来たのだ。
そして一度眠るとアレが来た。
レベルアップである。
【名前:矢守ケンジ】【種族:人間】
【性別:男性】【職業:無職】
【レベル:2→5】
【筋力値:8→19】【魔力値:40→63】
【器用さ:23→42】【知力:26→27】
【俊敏値:14→25】【幸運値:9→20】
【保有スキル:サーチ】
そうっあのトラ野郎を倒した事と多分それ以外にもハクの攻撃に巻き込まれたモンスターの魔力によって俺は一気に5までレベルアップしたのだ。
相変わらず魔力値だけ少し高めだ、軒並みステータスが上がっ……ん?
知力が3もレベルアップしといてほんの少ししか上がっていないぞ。
「まさか……」
「ん? どしたんケンちゃん」
「いやっ何でもないぞ?」
まっまさか俺の知力の成長の限界が迫っているのでも言うのか!?
……と言う事があったが概ね俺はレベルアップのお陰で強くなったのだ。
心なしかマジックガンの威力が上がった気がする、そしてジャングルの移動での足腰の負担がかなり軽減された。
一度ゴブリンとの戦闘中に接近された事があったのだがゴブリンの振るう棍棒が集中するとかなりスローモーションに見えて余裕で躱せたのだ。
行けると思った俺はゴブリンの攻撃を躱して蹴りをかました。
するとゴブリンは吹っ飛んで木にぶつかるとそのままモンスターコインになった。
コツコツと重ねた(?)レベルアップにより強くなってる事を俺はこの時ばかりは実感した。
それから今日まではあのトラ野郎みたいな強モブが出て来る事はなくゴブリンやそれと大差ない連中を倒してモンスターコインを集めていった。
全てはこのモンスターコインで新たな聖なる祭壇にて迷宮ガチャをぶん回す為である。
ペットボトル飲料水もコンビニ弁当もストックが殆どない。
俺の体力と空腹をだましだましで我慢してきたが、そろそろ限界だ。
何気にミミーが何も飲まず食わずでも平気らしく、そのミミック特有のサバイバル能力(?)にも多いに助けられた。
ミミック、まるでダンジョンで遭難したダンジョンど素人を助ける為に存在してるかの様な有能さと燃費の良さである。
俺もミミックになれればこの喉の渇きとか空腹からオサラバ出来るのだろうか。
そんな馬鹿なを事を考えてたりもした。
そしてようやく……。
「あっあったで~聖なる祭壇や!」
「お、おぉおおーーーーーー! 遂にあったか!?」
俺は八割がた放浪するゾンビみたいになっていた、しかしミミーの発言を聞いてなんとか人間に復帰する事が出来た。
残った体力を全て解き放ち少し遠くに見える聖なる祭壇て思しきジャングルの開けた空間にある小規模な遺跡へと全力ダッシュする。
ダッシュの途中でゴブリンが四体が現れた。
「ゴブゴブ?」
「邪魔じゃワッレェエーーーー!」
俺はダッシュするのに邪魔なゴブリン達をハクが入ってる太刀で殴り飛ばした。
「ゴブバァッ!?」
「ゴゴブッ!?」
「ゴブブぶぁっ!?」
「ゴブゴブるぁッ!?」
「俺の進路を塞ぐなぁああーーーーーーッ!」
荒れ狂う暴力の化身となったアラサー野郎は誰にも止められない。
ゴブリン達をぶちのめした俺は聖なる祭壇へと突き進む。
「……ようやく……辿り着いたな」
「もお~ケンちゃん! 倒したゴブリンのモンスターコインも回収せんで急ぎ過ぎやで!?」
すまん今はゴブリンなんて雑魚モブ心底どうでもいいんや。
俺はただ聖なる祭壇で休息を取りまくりたいだけなんだ。
俺達は新たに発見した聖なる祭壇へと足を踏み入れる。
そしてミミーと顔を見合わせた。
「ケンちゃん……それじゃあ」
「ああっレッツ……ガチャタイムだ!」
スマホゲーのガチャについてミミーに説明した俺だ、と言う訳で迷宮ガチャタイムである。