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第10話 召喚されし者、ハクシンラ

 聖なる祭壇から放たれた光は空へと舞い上がる。

 そしてその光は巨大な白い魔法陣へと変わった。


「なんだアレ?」

「……知らん、ウチもこんなん見たことないで」


 ミミーも知らないとなるとあの薄情女商人が消えるのをそのままにしていた事が悔やまれる、この状況についてもう少し説明させるべきだった。


 それにしてもなんだよあの巨大過ぎる魔法陣は、中から巨大隕石でも落として世界をリセットでもしょうと言うのか?

 するとマジで魔法陣の中から何かが出て来た。


「マジか!? マジでなんか出て来てるぅっ!」

「落ち着き! あれは聖なる祭壇から与えられる何かの筈や、きっともの凄い当たりを……は?」


 魔法陣の中から……白銀の巨大な龍の頭が出て来た。


「モモモモンスターじゃねぇかっ! あれガチャ関係ない、だってモンスター出て来てんじゃん!」

「あわわわわ、あかんウソやろどないしょう。あんなんどう足掻いて勝ち目なんてないでぇ~~!」


 俺達は取り乱した、当たり前だ。

 頭だけでも何メートルあるんだと想われる巨大さ、ドラゴンではなく龍なので蛇の様な長い胴体に背には毛が生えていた。


 瞳は赤色で宝石のようだ、しかしそんな事はぶっちゃけどうでもいい。

 何故なら命の危機だからだ!

 誰かぁ俺達を助けてくりーーーーーーーーっ!


 すると俺の願いが通じた!

 何とおっそろしい白銀の巨龍は光となったのだ、しかし消えてなくなってはくれなかった。


 光はこの地上、と言うか俺達の元に来ながら徐々に小さくなってく。

 そして砕け散った祭壇の当たりに着地した、その時には人間くらいの大きさになっていた。


 そして光が消える。

 そこには一人の女性が立っていた。


「我が名はハクシンラ、召喚の願いに応え此処に顕現した。汝が我を呼んだ者……だな?」


 こちらを見据えるのは十代の女性、見た目年齢だと女子高生くらいだ。

 俺と似たような天パー、しかし綺麗な銀髪を少し背中にかかるくらい伸ばしている。瞳は赤い、どうやらあの巨龍本人らしい。


 服装は……巫女服の衣装に近い物を着ていた。

 上半身は白い着物で袖がなく肩が露出していて下半身はあのダボッとした赤い袴姿で草履をはいていた。肩回りを軽量化した巫女さんである。


 その両手には金色と黒色のゴツい手甲を装備していた。腰にも同じ色合いの防具的なのを付けている。

 その眼光は鋭く、威圧感だけでヤバイのがわかる、俺なんぞデコピンで空の果てまで吹っ飛ばされてしまいそうな格の違いを感じた。


「…………答えろ」


「たっ多分だがそうだ……俺は矢守ケンジ、こっちはミミー。俺達はこのダンジョンでサバイバルをしてる、生き残る為に強い力を持つ物を求めて聖なる祭壇を使った……そしたら何故かおたくが現れたんだ」


「ミミーちゃんやで、ウチらは普通に凄い武器とかマジックアイテムを希望であってあんさんみたいなトンでも存在を召喚する気なんてサラサラなかったんよ!?」


「……………フッ」

 俺が答えると今度は静かに笑った。

 そして俺達の前に移動してきた。


「さぁて~何となく召喚されたんでそれらしい雰囲気出して見たけど……やっぱダメだね!」

「………え?」

「雰囲気変わりすぎやで?」


「ごめんね! それと召喚されたのはワタシの意思だから気にしなくていいよ、あの喋り方は……まあお堅い感じがし過ぎてたから今後は無しかな」


 急に剣呑な雰囲気が消えて明るい感じになった。

 こちらとしてはフランクに会話出来る方が助かるのでこのまま話を進めたいな。


「えっと改めて、ワタシはハクシンラ。龍の一族の者で君らを手助けに来た者だよ、ケンくん、ミミーちゃん、よろしくね!」

「よっよろしくやで~……」


 どうやらマジで助けてくれるらしい、あんな巨龍を見た後だとその強さに否が応でも期待してしまうが、見た目年齢女子高生な巫女服女子にあのトラ野郎の退治をお願いするのか俺達は?


 俺の中で凄い葛藤が起きてる。

 大人としてそもそも人としてそんなんで良いのかと、しかしフランクながらもその纏う雰囲気は全くこのダンジョンに気圧される感じがないのだ。


 まるでこんなダンジョンなんぞに危険なんてあるわけないじゃんと言外に言っている様な余裕っぷりである。

 ならここは素直に助けを求めてみるか。


「よろしく、なら先ず話しておきたいのはトラ野郎についてだな。コイツから俺達を守って欲しいってのが俺達の頼みなんだ」

「うんうん、それじゃあ話を……っとその前にお客さんかな?」


「?」

「あっ不味いでケンちゃん!」


 ジャングルから聞いた覚えのある雄叫びが聞こえた。


「なっ!? まさかあのトラ野郎が…」

「そうやっ既に聖なる祭壇が破壊された、つまりモンスター避けの力も失われてしもうてん」


 マジですか、なら既に向こうはこっちをロックオン済みだってのか?


「森林魔虎は追跡のプロや、一度狙った獲物は絶対に逃がさんねん。恐らく聖なる祭壇が見える位置からずっと機を伺っていたんや」

「怖ぇなあのストーカートラ野郎!」


 こんな小汚いおっさん、食っても絶対に美味しくなんかねぇぞ。


「フフッなら早速出番って訳かな?」

「……ハクシンラ」

「ハクでいいよ、呼びやすいでしょ」


 そう言うとハクシンラ、いやっハクは俺達の前に出た。

 恐らく俺達には一切見えないトラ野郎が何処にいるのか分かってるんだ。


 ハクはジャングルの一点を見つめていた。

「それじゃあいやっケンくんとミミーちゃんの前だし、少しだけ本気見せて上げようかな!」

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