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第1話 鍵を拾ったら

新作です、反応がよければコンテストとかに応募をと考えています、まあ低くても一応は応募しますけどね。

ブクマ、評価をして戴けると作品執筆への意欲となります、よろしくお願いします。

「良いか!? 残業をしたくないとか考えるな! 顔にも出すな! 俺達経営者にはお前ら雇った人間を月に四十何時間以内なら毎日残業させる権利があるんだよ!」


「どうしてお前らの方から『もっと残業します』や『休日出勤したいです』って言葉が出ないんだ!? 雇われる自覚がないのか!」


「ウチの会社は法的には完璧なホワイト企業なんだよ、分かったか!」


 そんな言葉が口癖だった我が社の社長、いわゆる親の七光りで馬鹿な二代目ってヤツで六十過ぎまで生きてきてアルバイトを含めて親の庇護下以外では働いた経験が皆無と言う男だった。


 そんな男と会社の上層部が馬鹿やって捕まった、ホワイト企業云々って話は何だったんだよ。

 会社はあっさり潰れた、突然無職となったアラサー、名前は矢守やもりケンジこと俺は途方に暮れていた。


 昼間の公園のベンチにて世の理不尽を全身で感じている真っ最中である、ちなみに他に人は誰もいない。孤独だ……。


「もう洒落にならんな、三十五過ぎて転職とかどうしろってんだよ……」


 あの会社に入る前から職を変えた経験なんてない、職安に行けばどうにかなるのだろうか?

 正直安月給だったから貯金なんてそんなにない、さてはてどうしたもんかね……。


 取り敢えず今は昼過ぎだ。お腹も減ったので何処かで何か食べるか。

 ベンチから立ち上がり歩き出す、すると地面に何か落ちていた。


 それを拾った。

「これは……鍵か?」

 やたらと手の込んだデザインをしているアート作品みたいな鍵である、ファンタジーゲームとかのアイテムとして登場しそうなヤツだ。


 子供のオモチャにしてはやけにリアルなファンタジーキーである。

 こう言うのも交番に届けておいた方が良いんだろうな、俺は昼飯の前に交番に向かうことに…。


「ん?」

 何だこれ、鍵が光って……──



 ◇◇◇◇◇◇



「………んあっ!?」

 視界が一変した、気がつくと公園から見知らぬ草原にいた。

 どこだよここは。


 回りを見回す、すると少し離れた所に何やら建造物が見えた。

 それは塔だった。

 かなりファンタジー感のある阿呆みたいに高く巨大な塔だ、スカイツリーよりもずっと高いと思われる。


 スマホで写真の一つでも取りたくなる迫力だ、しかしその前にこの突然の瞬間移動について誰かに説明してほしい。

 まあそんな事を説明してくれるヤツなんてどこにもいる訳がないじゃん。


 仕方ないので少しでも文明の気配がするあの巨塔に向かうことにした。

 歩くことしばらく、スマホを見ると約一時間くらい歩くと例の巨塔に到着した。


 近づくとその大きさがさらに倍ドンである、こんなの人間が作ったのだろうか。

 なにぶん本物は見たこともないが規模感はエジプトのピラミッド、その中でもダントツにバカでかいヤツとそれに近い物を感じた。


 見れば入口らしき物もあった、ここで外周を見て回るのか悩んだが今の俺には水も食料も何もないのでこのままだと大変な事になるだろう。


 体力があるうちに一番怪しい所を調べた方が良いだろうと判断する。

 俺は巨塔の内部へと足を踏み入れた。


 内部はまさに遺跡とかの通路と言った感じだ、ブロックを積んで作られたゲームとかでならダンジョンとかの廊下を思わせる。


 道は一本道なので迷わず中へと進めた。

 広い空間に出た、そこはドーム状の丸天井が広がっていた、中央には人の石像があったが他には特に何もめぼしい物は見当たらない。


「光源もないのにやたらと明るいな、天井が光っているのか?」

 無論回りを警戒しながら石像の方へと近づく、誰なのか見覚えは全くないが男の人の像だ。


 まるでファンタジーゲームに出て来るような防具に身を包み剣を持っている戦士の像だ。


『……よくこの地を訪れたな、新たなる探索者よ』

「…………………は?」


 なんか像から声が聞こえた、どこか厳かな雰囲気のある声だった。

 ただその声は男性なのか女性なのかイマイチ分からない声としか言えない感じだ。


『探索者の到来を歓迎する、この地より迷宮へと挑みこの巨塔の真実を見つけよ。さすれば巨万の富も栄光も力も望みのままである』


「あの~そんなん別に良いんで日本への帰り方とか教えてくれません?」

 なんか壮大なプロローグみたいな気配がするけど、こちとらいい歳こいたアラサーだ冒険とか迷宮とかノーセンキューである。


『帰還を望むか、ならばその願いもまた彼の地にあるだろう』

「えっ結局その迷宮って何処に行けっての? やだよそんな場所に行くの……ん?」


 見ると石像の背後にモゾモゾ動く何かがいた。

 以下にも怪しいヤツを発見である。

「もしかして……お前が喋ってたの?」

『ん、あっ……?』


 石像の死角に隠れていたのは……宝箱だった。

 黒いクモみたいな足を六本生やしてる宝箱だ、更に所々に目ん玉みたいなのが幾つものくっ付いてる、素直に見た目の感想を言うと……キモい。


「なんか…キモい宝箱が喋ってるな」

「んなっ!? キモいとかあんまりやであんさんほんまに~~~ッ!」


 なんかさっきまでと違い変な方言口調と何故がテンション高めの女性の声に変化した。

「まっまさかウチの成りきりトーク術を見破るとは……あんさん中々やるやないの!」


 喋る宝箱に褒められてもあんま嬉しくないよ。

 後あの目ん玉瞬きをした、どうやら本物らしい、デフォルメされてる感じだったけど本物らしい。

 うわぁってなった。


「それで、アンタは一体なんなんだ?」

「ウチはミミックのミミーや、よろしゅうな」


 ミミックってアレか? 宝箱に化けてゲームの主人公を襲うモンスターか。

 確か即死魔法とか使ってくる碌でもないモンスターじゃん。

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