恋人の妹が消えた
その知らせを真理沙から聞いたのは、彼女の妹、亜理沙が失踪してから一週間経ってからだった。
真理沙は深い悲しみと恐怖を抱えており、ずっと震えていた。何かしらの事件に巻き込まれたかもしれないと──。
警察が調べ始めても、なんの手がかりもない。真理沙は焦燥していた。そのうちに抱いてくれるようせがんだので、言われるがままに彼女を抱いた。
おそらく抱かれることで精神的な安定を求めたのであろう。
しばらくすると彼女に妊娠の徴候が現れてしまった。失敗することはなかったと思ったが避けることは百パーセントではないと聞いたことがある。
責任をとって彼女と結婚をした。
結婚してしばらくしてから、彼女の妹が発見された。ひと気のないダムに靴が並べられており、ダム湖の中から白骨が発見されたのだ。
遺書はなかったが自殺として処理され、しめやかに葬儀が行われた。
我々は子どもが産まれてから、その現場に花を備えに行った。真理沙はポツリと呟く。
「こんなところに突き落とされて、寂しかったでしょうね……」
俺は双子の妹を気遣う真理沙の顔をそっと見つめた。