魔力測定で測定器壊しちゃだめだからね?
魔力測定。それはクラス分けのための重要な指標である。
学園には学生の有する魔力に合わせた指導カリキュラムが存在し、その体制を有効に活用するため魔力量によってクラス分けをするのだ。
「やれやれ。魔力測定など実技試験の時に同時にやればいいと思うのだがな。学園の魔術に対する理解の浅さにうんざりする。」
「実技試験と一緒にやったら万全時の魔力量が測れないでしょ。」ナジミーが嗜める。
「やれやれ、君のような凡人にとってはそうなのかもしれないが、魔術を使ったからといって魔力量が上下するようでは一流の魔術師とは言えないのではないか?僕何か変なこと言っちゃいましたか?」
「次喋ったら手首もぐからね。」
「魔術で治せるが?」
「じゃあもぐね。」
「やめて欲しいんだが?」
「だが?って言うのやめなさい。」
「きゃー!さすがロベルト様!」
「きゃー!魔力量1200なんて流石よ!」
「きゃー!王宮魔術師クラスよ!」
「この程度当然だ。」
ロベルトがキメ顔をする。
女子たちは黄色い声をあげる。
「オリー、次はあなたよ。」
ナジミーがオリヴァーの背中を叩く。
「どうしよう。僕故郷では落ちこぼれって言われたから魔力量0で失格になるかも!」
わざと周りに聞こえるような声でオリヴァーは嘆く。
周りの生徒たちは困惑する。
「言われてないだろ。早くしなさい。みんな待ってるでしょ?」
「しかたないな。」
「オリー、あと測定器壊しちゃダメだからね。」
「…」
「ダメだからね。普通に迷惑だから。備品よ?」
「な、何言ってるんだい?」
「じゃあなんで動揺してるのよ。」
「動揺なんてしてないが?」
「だからその喋り方やめなさい。クラス分けのためには規定量を越えればいいからわざわざ測定器を壊してアピールしない。わかった?」
「べ、別にそんなこと考えてなかったが?」
「考えてただろ。引っ叩くよ。」
「わかったよ。普通にやるよ」
オリヴァーはそう言って測定器に手をかざす。
「なんと、魔力量9999?!ありえない!」
測定技師が驚く。
「やれやれ。俺はかなり手加減したのだが?」
周りの生徒がざわつきだす。
これ私のせいでもっと嫌味なかんじになったのでは?と考え込むナジミーであった。
「オリヴァーは幻術使いなんです!」
とりあえず誤魔化しておいた。
「「なんだ。幻術だったか。」」
皆は安堵した。