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9.

「変異抜刀『氷塊漬け』!」



 エアストの忍術。刀をすれ違い様に振るうことで、 対象を一瞬にして氷漬けにしてしまう技だが……



「ボエイッ!」


「うあっ!」



 ストレング・ライスが一喝するだけで技が弾かれて、その反動でエアスト自身が氷漬けになりかけてしまった。ただでさえ長引く戦いで消耗していたエアストには、防ぐすべもなかったのだ。



「エアスト! おのれぇ、帝国槍術『終の樹』!」 


「『理砕多留リサイタル』!」



 エアストの次にオルカートが最高の技を繰り出すが、ストレング・ライス己の拳で迎え撃った。その結果、



「な、に……!?」



 オルカートの槍は巨大な拳を貫くことはなく、逆に槍の先が粉々に砕け散った。更にオルカート自身も巨大な拳の殴られて城壁まで叩きつけられてしまった。皮肉にも、守るべき帝都の城壁に。




「流石は帝国の勇者だな! この俺様にここまでの手傷を追わせてくれるとはな!」


「くっ………くそ………! 化け物、め……!」


「ほう、俺様の拳で死ななかったとはな。槍が衝撃を緩和したか? だが、それもここまでだな」


  

 オルカートは壁に叩きつけられた衝撃で体が動かない。すでにオルカートも満身創痍なのだ。



(み、三日三晩掛けて続いた戦い……それでも、奴は……)



 薄れそうになる意識でも敵を睨み続けるオルカート。その先には血まみれでも笑って近づいてくるストレング・ライスがいる。三日三晩戦いが続いたというのに、ストレング・ライスに疲労の色は全く見られない。その事実はオルカートに絶望を与える。

 


「正直侮っていたぜ。人間のガキがここまで俺様とやりあえるとは思わなかった。やるじゃねえか! テメエの名を頭に刻んでやるよ。オルカート・ウィンター」


「くっ、ここまでか……!」



 魔王軍大元帥を目の前にして、オルカートが諦めたその時だった。




「俺の仲間に何しようとしてんだ、このやろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」


「「っ!?」」



 空から人が、少年が、勇者が落ちてきた。彼は、そのまま聖剣を突き立ててストレング・ライスに向かっていった。



「せ、セイブン!?」


「何!? あいつがそうか!?」


((何で空から降ってくるんだ!?))



 オルカートの言う通り、落ちてきたのはセイブンだった。どうやって空からやってきたのか分からないが、援軍が来たということだけは理解した。



「おらああああああああああああ!! 『聖剣サンダアアアアアアアアアアアア』!!」


「ぬぐっ! うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」



 セイブンはただ聖剣を向けて落ちてくるだけじゃなかった。そのまま落ちてくる勢いをつけて魔法剣による攻撃もストレング・ライスに放ったのだ。元々の聖剣による魔法攻撃に加えて落下による勢いをつけたことで威力も上がっている。それはセイブンの攻撃をもろに食らったストレング・ライスを見れば分かる。



「す、すごい……セイブンが聖剣を覚醒させたと聞いてはいたが、これほどまでとは……!」


「大丈夫か、オルカート!」



 地に着地したセイブンはオルカートのもとに駆け寄る。



「あ、ああ、無事とは言えないが、生きてはいるよ。それにしても……」



 オルカートが苦戦を強いられたストレング・ライスは体の所々が黒く焦げていた。オルカートも雷系統の魔法を浴びせたが、これほどのダメージは与えられることは無かった。


 だが、



「く、くくく……結構しびれるのを食らっちまったな~」


「な、何!?」


「嘘だろ!? あれを受けたのに倒れねえのかよ!?」



 ストレング・ライスは無傷とはいかなくとも平然と構えていた。しかも、セイブンを見て笑みすら浮かべ始めた。



「これほどの威力から察するに、テメエがサルクを殺した奴だな。会いたかったぜ!」


「けっ、仲間の仇討ちってやるか。受けて立つぜ!」



 セイブンはオルカートを守るように聖剣を構える。



「そおう来なくっちゃな! 食らえ『理砕多留リサイタル』!」


「聖剣ボンバー!」



 人類連合軍の勇者セイブン・ケロノスと魔王軍大元帥ストレング・ライスの死闘が始まった。



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