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俺の影にはGがいる  作者: 赤の虜
第一章 小鬼スタンピード
8/25

08 ミズキとの触れ合い

 大根役者魂を見せつけた戦闘訓練の後、俺は自室に戻ってきていた。

 現在、部屋には俺一人。

 ついさっきまでは専属メイドのユーリも付き添ってくれていたのだが、戦闘訓練のことを口実に、思いつめたように「少し一人になりたいんです」と言うと、気を遣って部屋に一人にしてくれた。


 本当はもっとユーリさんと会話したいんだけどね。

 だた、このあと呼び出しされているし、今の内に頑張ってくれた配下を労ってやらないと。


「ミズキ、今は他人の目もないし、出て来ていいよ」


 言った途端に、俺の影から凄まじいスピードで二匹の魔蜚蠊が這い出る。

 うわっ、そのスピード感で出てくるのか。


『ご主人様~!』


 どれほど嬉しいのか、まるではしゃぎ回る犬のように俺の身体をカサカサと這っていくG達。


 おう……、いくら配下とはいえ、俺は精神に大きなダメージがある。


 新手の精神攻撃を受けている気分だったが、意識して正気を保つ。


 なんのこれしき! 何せまだ二匹。これからを思うと、全身に魔蜚蠊が這うことだって考えられるのだ。こんなことで意識を失っていては、絶対にもたない。

 いや、そもそもどうしてミズキは他の魔蜚蠊を連れて、じゃれて? くるんだろう? ミズキだけでもいいのでは?


 天啓を得た俺は、そのままミズキに伝えてみた。


『みんな一緒の方がご主人様が喜ぶかなって思ったの!』


 楽しげなミズキに、つい顔が引きつってしまう。


 喜ばないよ! 意識を失いそうな危機的状況に陥っているから! やめて、お願いだからやめて!


『もしかして迷惑だった? ご主人様はミズキと一緒にいるの、嫌だった?』


 美少女ボイスで悲しげな念話を送ってくるミズキに、俺は慌てる。


「いや、迷惑なんてとんでもない。嬉しいよ、ミズキ達と一緒にいれて!」

『ほんとう? やったー!』


 すまんな、未来の俺よ。

 ミズキの機嫌のために、俺はお前を売ることにした。

 許してくれとは言わないぜ、だって、後で後悔するのも俺だからな!


 そして。

 俺は数分における触れ合いタイムを耐えきった。途中、ミズキから撫でることを求められ、Gを撫でた経験は一生忘れられないと思う。


『むっふー、ふふん、ふんふん』


 ミズキはよほど機嫌が良いのか、さっきからむふむふと謎の念話を発している。


 一息ついてから、俺はこれからの予定を思い出す。

 まず、夕食後にクラスのリーダーである天童君からクラス全員に、「話があるから」という形で呼び出された。

 要件については既に伝えられていて、異世界でのこれからについてクラスで話し合うとのこと。まあ、実際は天童君のクラスでの発言力を考えるに、これからの行動方針が伝達されて、従うか否かという話になりそうだが。

 それでも、俺達はまだマシな部類だろう。

 召喚国であるウェストリアも王様の人柄も対応を良いし、クラスには天童君という中立的なリーダーがいる。それほど状況は悪くない。


 まあ、もし反りが合わないなら、すぐに逃げ出すけどね。別にウェストリアに愛着とかないし。


 ただ一定期間、滞在する必要はあると思う。

 いくら固有スキルがあって、言葉が通じているとはいえ異世界。最低限の一般常識は抑えたいし、地理や魔物の分布、各国の情報など気になる点を調べたい。

 せっかく王城で調べ物ができる状況にあるのだから、それを利用しない手はないだろう。

 

 戦闘訓練については、最低限の魔法を使えたらと思うけれど、優先順位は低い。

 ミズキのような魔法を使える配下がいるからな、任せようと思っている。

 最強系主人公でなくても、味方が強けりゃいいと思うんだ。


 +++

 かつら 栄作えいさく


 固有スキル:生むは易し▶

 配下:魔甲虫キング4/100、魔蜚蠊ミズキ、魔蜚蠊

 +++

 

 スキルウィンドウを確認すると、キングさんからの起源還元がまた一つ増えていた。順調に魔物を退治しているようだ。

 願わくば、彼からの起源還元が俺の能力を強化するものであってほしいけれど、現状ではミズキもいるからな。少し心に余裕がある。


 天童君へのスタンスはひとまず協力的でいいだろう。

 あとは、ナンちゃんとアマちゃんのことだな。


 戦闘訓練では一身上の都合のためとはいえ、彼らを騙す形になってしまった。そのことに罪悪感がある。

 なので、俺は天童君の呼び出しの後にでも、彼らに俺の固有スキルのことを説明しようと考えていた。


 二人とはこれからも行動を共にすることも多いし、信用もできる。

 俺の固有スキルにも理解を示してくれるはず。


 とはいえ、報連相は大事だ。

 どう俺が考えているにしても、紹介される側のミズキの了解が必要だ。了承してくれるとは思うが、意思を確認することが肝要だろう。


「なあ、ミズキ。俺さ、ミズキ達に紹介したい人がいるんだ」

『えっ! 紹介だなんて……ご主人様、気が早すぎだよ! えっと、ミズキとご主人様の関係、ご両親は了承してくれるかな?』

「いや、結婚の挨拶とか彼女の紹介とかじゃないから! 普通に友達二人に俺の固有スキルのことを話そうってだけだから!」


 何やら誤解しているようなので、誤解を解いておく。


 というか、どこで覚えたんだ、そんなボケ。

 それに俺とミズキとの関係は主従関係だから、両親からすれば息子がGと主従関係を結んでいることを了承するかってことだろ? 

 うん、しないな。特に母親はGが苦手だから絶対しない。


「それで紹介しても大丈夫か?」

『うん、ミズキは大丈夫。楽しみだなー、友達って確か住田って人が言ってたデブとガリって人だよね!』


 住田の悪影響が無垢なミズキに及んでいたので、俺は慌ててナンちゃんとアマちゃんにはそれぞれ南郷西也、甘粕天星という名があり、デブとガリが蔑称であることを教えることとなった。


 ふう、危なかった。

 本当に余計なことをしないな、住田め。

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