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俺の影にはGがいる  作者: 赤の虜
第一章 小鬼スタンピード
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04 生むは易し 後編

ついに、Gが出ます。

 キングを見送り、引き留めておけば良かったと今さらながら思ってしまうが、もう遅い。彼は既に旅立ってしまった。


 だが、いつまでも落ち込んではいられない。

 生むは易し。

 俺の固有スキルについてはまだ生成ルーレットなる謎が残っている。だから、今日中にこの謎を解き明かすまでは気になって眠れない。


 武士系戦闘狂である魔甲虫との邂逅によって、俺は改めてここが異世界なのだと実感した。

 たとえ生成ルーレットによって、どんな配下が生まれようとも冷静でいられる気がする。


 そんな根拠のない自信を胸に抱き、スキルウィンドウの生成ルーレットをタップする。


【生成ルーレットが選択されました。これより、固有スキル:生むは易しによって生成される配下を固定するルーレットが開始されます。】


 キングを現れたときのようにアナウンスが頭に流れる。

 

 ちょっと待て。今のアナウンス、なんて言った? 

 配下を固定する? 

 もしかして、このルーレットってやらなくても固有スキルは発動できたのか? 

 待ってくれ、キャンセル。キャンセルボタンはどこだ!


 慌ててスキルウィンドウからキャンセルボタンを探すが、いくら探しても見つからない。


【生成ルーレットは犬、猫、猿、鳥、Gで構成されています。※ルーレットで固定した配下の生成は後から変更ができません。】


 遅いよ、注意書き! そんな大事なことは先に書いておけよ!

 あと、Gってなに? 他の配下は漢字なのに、なんで一つだけアルファベットなの!


【割合表示:犬1%、猫1%、猿1%、鳥1%、G96%でルーレットが開始されます。】


 Gの割合が高すぎるだろーが! なんだよ、この悪意しかない割合。完全にG以外当てさせる気ねえだろ! あと、Gってなに!


 半透明の円型ルーレットが出現する

 上部に矢印がついているので、おそらく回転し、停止した際に矢印が示す配下が選ばれるのだろう。


 とはいえ、だ。

 出来レース感が半端ない。

 何せGと書かれた黒い部分がほぼ全てを占めていて、残りの配下の文字は割合が少なすぎて、もはや読めないレベルで小さい。


【生成ルーレット開始します。】


 無慈悲なアナウンスによって、ルーレットが始まる。

 勢いよく回転するルーレットを見ても、俺の心は晴れない。


 けれど、それでも願わずにはいられないのが人の性。

 どうか、どうかお願いします、神様、仏様、キング様。

 どうか俺にG以外の配下をお願い致します。Gがどんな配下なのかは知りませんが、このルーレットからして地雷ような気がしてならないんです。

 お願いします! G以外にしてください。

 俺、犬派なんで犬とかすごく嬉しいです。お願いします!


 

 

 



 しかし、現実は厳しいもの。


【おめでとうございます。生成ルーレットにより、固有スキル:生むは易しにスキル:固定生成=Gの機能が追加されました。今度生成ルーレットは引くことができません。】


 何がおめでとうなのか。完全に狙ってただろうに。


【固有スキル:生むは易しによって、Gが生成されます。初日に生成されるGには名付けを行うことで、能力にボーナス(大)が付与されます。名付けを実行しますか?】


 俺の精神的ダメージなどお構いなしに、アナウンスが続く。


 うん? また、名付け? でも、キングのときはあまり考えてなかったけど、雌雄がわからないと名前が合わないこともあるかも。

 まあ、いいや。

 ミズキとかなら、雌雄どっちでも大丈夫だろう。


「じゃあ、ミズキで」


 このとき、俺はGショックで完全に投げやりになっていた。


【名付けがなされました。個体名:ミズキが生成されます。】


 キングと違い、薄い青の粒が部屋に現れ、生物の形に集約していく。

 徐々に形が安定していき、それは現れた。


 黒光りする体躯、左右対称に三対の肢、頭部から伸びる一対の触覚がピクピクするのに生理的嫌悪感が湧き上がる。体長は三センチほどなので、あまり元の世界と遜色ないだろう。


 +++

 かつら 栄作えいさく

 

 固有スキル:生むは易し▶

 配下:魔甲虫キング魔蜚蠊ミズキ

 +++


「は……ははは。あー、Gってそういうこと。そんな漢字だったんだー」

『ご主人様ー、これからよろしくね!』


 魔蜚蠊もといミズキが、見た目からは想像もつかない美少女ボイスでそう言い、カサカサと肢を高速で動かして、俺の足から胸元へと昇ってきた。


『ミズキねえー、ご主人様のことダーイスキ』


 魔蜚蠊のミズキのラブコールに、俺の精神はもう限界だった。

 意識が遠くなっているのがわかる。きっと、俺の意識が激しいストレスから身を守るため、意識をシャットアウトしようとしているのだろう。

 

 だが、まだだ。このままだとこの黒光りする虫が明日の朝、専属メイドのユーリさんに見られ、気分を害してしまうかもしれない。それだけは駄目だ。


「ミズキ、あ……ありがとう。お……俺はこれから異世界に来てしまった不満を大声で発してから眠りにつくから、ミズキは他の人に見られないように隠れているんだよ」

『はーい、ミズキ。見つからないように隠れてるね』


 ああ、ミズキ。声だけは可愛いね。声だけは。

 最低限の保険をかけ、俺は大きく息を吸い込んだ。


「いやあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」


 まさか、固定された配下がゴキブリだったなんて……。

 そりゃあないよ、異世界。

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