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嵐の前の静けさ

英気を養った次の日。

今日はレイフ先生と共に放課後数日間使い、野外演習の下見に同行することになっていた。

待ち合わせ場所に着くと名前は分からないけれど銀髪ボブの見たことのある生徒がいた。

確か今年の留学生の中にいたはず。


そんなことを考えながらレイフ先生の元に向かうと。やはり今年リークリングから来た留学生の一人らしくシファさんというらしい。リークリングの女神の加護で植物の知識が多いことに加えそれを操る緑の魔法も得意らしい。念のため毒草の確認と当日の説明に使うサンプルの回収をしてもらう様だ。


シファさんは穏やかでおっとりした印象だった。レイフ先生のおかげで初対面でも気まずくなることなく初日が終わり、2日目は2人共慣れたので普通に話すことができた。


そして、本日は最終地点の確認で森の奥まで来た。この辺りの魔物は数が多くない上に弱い為見段階で退治すると当日現れない可能性がある。魔除けの香で私達に寄り着かないようにして最終地点へ向かう。


シファさんが幾つか食用と間違いやすい毒草を当日の説明用に摘み取った後排除していた。


「あ、これさっきの毒草じゃないですか?」


「それは食用の方ですね。先ほどの植物は後ろにドット柄があってこれは無いんです。ない方は茹でれば食べれるんですよ」


「へー!知らないとちょっとした違いで食べちゃいそうですね…」


「ええ。でも、毒草は人間には毒でも昆虫には毒にならないので蚕などのエサにする地域もありますよ」


「流石リークリング出身の生徒さんですねー。植物への知見がありますね」


「本当にそうですね!」


「そ、それほどでは…!」


レイフ先生と私の賛辞にシファさんは顔を赤くしてワタワタと手を振った。


「あちらにラズベリーの茂みがありましたから、ちょっと摘んで帰りましょーか。こっちです」


レイフ先生の案内で少し脇道に逸れると


「いい感じに熟していますね!ジャムにでもしようかな」


「良い考えですね」


「宜しければ、先生に少しお分けしますね」


「ありがとうございます。楽しみにしてますね」


私がビアンカにお菓子にしてもらおうと夢中で採って、こっそり時空間庫にポイポイ投げ入れていたら、2人が微笑みあってなんだかいい感じに。

あらまぁっとおばちゃんみたいなことを内心で思っているとレイフ先生がこちらへやってきてベリーで汚れてしまった手を取って洗浄してくれた。

自分でできるのに?っと思っていると困ったような顔でこちらを見ているシファさんと目が合ってしまった…恥ずかしい。




学校に戻って解散かと思いきやレイフ先生に呼ばれたのでシファさんと別れた。


「先生、先ほどどうして洗浄魔法かけてくれたんですか?先生も私が自分でできること知ってますよね?私、水魔法得意ですし」


「あー、あれはですね。校長から他の女子よりちょっと特別扱いしろって言われてるので。あとはあなたが妹の様に思えるせいでしょうかねー?」


あ、なるほどだから頭をよくポンポンするし、手も洗ってくれると…私一体何歳だと思われてるんでしょう?!

何となくムスッとしてしまうとにっこり微笑んで頭をなでなで…不服であるが、イケメンに撫でられるなんて役得と言う事いして納得しよう。


「あ、これ。学園長からです。いつも通り呪いがないかの確認だと思いますが」


内心の葛藤に気づき訳もないレイフ先生が小さな封筒を渡してきた。受け取った手紙はレイフ先生の言う通り定期見回りの呼び出しだった。


定期的に校内と王宮に呪いが現れないか歩き回る日が週1である。学校では気が付くときに見ているから週1の時は普段行かない様なところを見て回るが、王宮は週1で私が入っていいのか⁈という場所にも行くのでとても緊張する。そして、週1で進捗の師匠への報告の日でもある。 何にしても緊張する日である。



レイフ先生と共に学校内の見回りをした後王宮に向かうため校長室を訪ねた。

師匠と訪れた王宮は、既に数回繰り返している見回りにも慣れてこのまま呪いは迷宮入りするのではと思い出したが、そんなことは無かった。


嵐の前の静けさ。そんな表現がぴったり合う様にこの後事件が起こるのだった。



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